文字の大きさ
大
中
小
401 / 650
本編
701 顕現せよ、イフリータ
キングさんを戻してグリフィーを出そうと図鑑を開くと、スロットに一つの空きが出来ていた。
召喚していたのは、キングさん、ジュニア、ポチ。
そして、空いている枠にもともと収まっていたのは、ポチである。
ポチは、イグニールと一緒にピーちゃんのケアをするために離れた位置にいた。
「向こうで、何かが起こっている……?」
俺はキングさんを出したまま、すぐにグリフィーを呼び出し、最速で向かう。
まったく、次から次に面倒ごとが起こりやがって。
「これだからデプリは、これだからデプリは!」
「プルゥ!」
グリフィーの速さにいともたやすく付いてくるキングさんも、頷いていた。
平常時はズルズルと這うようにして動くキングさんだが、高速移動時はぴょんぴょん。
基本的に這う音は聞こえないし、ぴょんぴょん中もドスンドスンとは聞こえない。
何と言う熟練された動きだろうか。
つーか、どうなってんだろう、その動き。
「しかし、何かしらが起こる可能性があるとしたら……ハウザーか」
あの蛇の入れ墨野郎である。
しかし、たとえAランク以上のクランマスターだとしても、だ。
ポチはそんな雑魚にやられるほどヤワではない。
さらに、その場には確実にイグニールもいるわけだ。
火力的な意味で行けば、イグニールの本気はうちの超戦力である。
キングさんでも、火柱を受けたらタダでは済まないくらいのな。
彼女とポチ、そして骨が一緒にいて、遅れを取るとは思わない。
気配を消すのが得意だのなんだの言ってたっぽいけど。
骨のカルマを見通す目からすれば、魂として確実にそこに見える訳だ。
故に、裏をかかれるような心配も何もないのである。
「……どうなってんだ」
どこをどうとっても、イグニールたちがやられるような心配はない。
ポチが犠牲になる、本当にどうなっちまったんだ!
「クソッ! クソッ、クソッ!」
「プルァ!」
落ち着け、と後ろでキングさんが叫んでいるようだった。
そんなことを言われても、焦ってしまうだろう。
ハウザーは、敵対しても余裕で返り討ちにできると思っていた。
聖人の話とか、そう言うのを知っているとなると。
もともと裏で繋がっていて、俺に情報を流した。
状況的には、そう言うことなのかもしれない。
何重にも、何枚にも、搦め手を使って俺をはめようとしているのだ。
くそったれデプリは!
聖人は一人ではないかもしれない。
実は何人もいて、あの聖人は雑魚の一人だった。
最初から犬死させる、勝てない前提で本陣を用意している。
そう言うことか。
「そう言うことか! くそが!」
「プルァッ!」
「ひでぶっ!?」
横っ面をキングさんにぶん殴られて、グリフィーから落ちて転がる。
かなりの速度だったから激しく転んで茂みに突っ込んだ。
「な、何だよ!」
「プルァ!」
ボシュボシュ!
鋭い水弾が、俺の正面にあった木に撃ち込まれる。
水弾のあと、文字が浮かび上がった。
叫ぶな、雑魚に見えるぞ、主よ。
そして落ち着け、マップを確認しろ。
「キングさん……そ、そうか、グループに入れてるから……」
「プルァ」
頷きながら、キングさんはさらに水弾で文字を書く。
主よ、もっと視野を広く持て。
今通り過ぎた場所に、イグニールの杖があったのに気づかないのか?
「……え」
キングさんの視線を追うと、茂みの中にイグニールの形見の杖があった。
「……なんで、こんなところに」
「プルァ」
何かのメッセージかもしれない、とキングさんは文字で告げる。
「メッセージ……」
一旦心を落ち着かせよう。
マップとグループを確認すると、イグニールもピーちゃんも生存していた。
もちろん、骨もジュノーも側にいる。
そして、とんでもないスピードで山を下って街に向かっているようだった。
「プルァ」
「形見である杖がここにあるのは、何か事情があるかもしれないだって?」
「プルァ」
「なるほど……でも、何となくこれでイグニールが何も戦えなかった理由が……」
そこで閃いた。
「杖を置いていった理由、それって状況説明できるやつを一人残してくれたんだよ」
イグニールが、機転を利かせてな。
俺はすぐにカオスアビリティの仮想画面を呼び出し、多額のお金をつぎ込んだ。
回せ、回せ、いくらでも使ってやるぞ、ハイジャンプとかいらねぇから!
「プルァ?」
「ガルゥ?」
その様子を見て首をかしげるキングさんとグリフィー。
「イグニールの杖にはイフリータがいる。図鑑の連中みたいに、いつも見てるからな!」
こいつに話を聞くのだ。
だから、俺は召喚時間を引き延ばすカオスアビリティを引くまでやめない。
この間に魔物を倒すのも良いけど、軽く3億くらいつぎ込んでさっさと引けた。
【カオスアビリティ】
・ゴッド/召喚時間+1000%
・Lv120より解放
・Lv140より解放
「よし」
これで呼び出せる時間が60秒から660秒に増えた。
召喚時間系のアビリティは、+1000%とか行かないと思っていたのだけど。
普通にゴッドでその数値が出てしまったとは、これいかに。
だが、まあ良いだろう。
邪竜3兄弟も、60秒という縛りから660秒という驚異的な時間暴れられる。
また、とんでもない何かを生み出してしまったのだろうか。
「プルァ?」
魔物をさっさと狩りに行くか、と言うキングさん。
俺は首を横に振って返答する。
「いや、時間がないからレベルを対価にする」
100レベルより先は、1レベルの対価で済むからな。
下がってしまったレベルは再びあげれば良いのだよ。
杖を構えて叫ぶ。
「──顕現せよ、イフリータ!」
そして、何があったか教えてくれ。
=====
「フハハハ、ワシらの召喚時間が伸びたぞ! 兄者! 暴れられるぞ!」
「そうですね」
「ぎゃおぎゃおっ!」
「そうですね。牛丼ゆっくりたくさん食べれる時間が増えましたね~」
「ぎゃおぎゃおっ!」
「兄者~! 牛丼も良いが、ワシまだ暴れたりないのだあああああ!」
感想 9,840
あなたにおすすめの小説
間違えられた番様は、消えました。
※小説家になろう様でも投稿を始めました!お好きなサイトでお読みください※
竜王の治める国ソフームには、運命の番という存在がある。
運命の番――前世で深く愛しあい、来世も恋人になろうと誓い合った相手のことをさす。特に竜王にとっての「運命の番」は特別で、国に繁栄を与える存在でもある。
「ロイゼ、君は私の運命の番じゃない。だから、選べない」
ずっと慕っていた竜王にそう告げられた、ロイゼ・イーデン。しかし、ロイゼは、知っていた。
ロイゼこそが、竜王の『運命の番』だと。
「エルマ、私の愛しい番」
けれどそれを知らない竜王は、今日もロイゼの親友に愛を囁く。
いつの間にか、ロイゼの呼び名は、ロイゼから番の親友、そして最後は嘘つきに変わっていた。
名前を失くしたロイゼは、消えることにした。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
スキルを奪われてお詫びチートをもらったので余生を楽しく……過ごさせてくれ
異世界に召喚されたその日、巻き込まれた青年に俺が得るはずだったスキルを奪われた。
お詫びとしてチートスキルを授かった俺は、第二の人生くらい好きに生きようと旅に出る。
行き着いた先は、寂れた町の場末の酒場だ。
なぜか客は男ばかりだが、日雇い冒険者や恐妻家の肉屋たちとの気楽な毎日は悪くない。
……ただ一人、どう見ても貴族のような美青年がこの地味な酒場へ通ってくる理由だけは、さっぱりわからない。
「お前らツケはやめろ」
そんな穏やかな日々を送っていたはずなのに、ある日、酒場へ厄介な依頼が舞い込んできた――。
他サイトでも掲載しています。
不定期更新です。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
『お前が運命の番だなんて最悪だ』と言われたので、魔女に愛を消してもらいました
竜族の王子フェリクスの成人の儀で、侯爵令嬢クロエに現れたのは運命の番紋。けれど彼が放ったのは「お前が番だなんて最悪だ」という残酷な言葉だった。
異母妹ばかりを愛する王子、家族に疎まれる日々に耐えきれなくなったクロエは、半地下に住む魔女へ願う。「この愛を消してください」と。
恋も嫉妬も失い、辺境で静かに生き直そうとした彼女のもとに、三年後、王宮から使者が現れる。異母妹の魅了が暴かれ、王子は今さら真実の愛を誓うが、クロエの心にはもう何も響かない。愛されなかった令嬢と、愛を取り戻したい竜王子。番たちの行く末は――。
愛犬たちと異世界辺境スローライフ~王家から逃げたアラサー女子、スマホ通販で快適生活~
女子高生と一緒に異世界へ聖女召喚された、アラサー女子・一ノ瀬玲。
ところが、召喚された二人を待っていたのは、あまりにも残酷な現実だった。
聖女として期待される女子高生とは対照的に、玲は年齢を理由に無視され、王城で居場所すら与えられない。
それでも何とか生きようとしていた玲だったが――ある日、食事に毒を盛られる。
「……私、命狙われてる?」
愛犬の柴犬・雷電とチワワのアビーに助けられ、玲は王城から逃げ出すことを決意する。
逃亡先で冒険者となった玲のランクは、まさかのFランク。
そんな玲を助けてくれたのは、辺境へ向かう騎士団長・レオンハルトだった。
そして玲のスマホには、異世界へ来た時から謎の【異世界モード】が存在していた。
【異世界通販】
【異世界銀行】
【アイテム収納】
【マップ】
【翻訳】
【ステータス】
「……これ、もしかしてチートじゃない?」
王家から逃げながら、愛犬たちと辺境を目指す玲。
魔物と戦ったり、旅をしたり、異世界通販で買い物したり。
ちなみに、記念すべき異世界通販の初購入は――犬のウンチ袋。
王城では散々だったけれど、もう戻るつもりはない。
アラサー女子と愛犬たちの、ちょっと騒がしくて、時々ほのぼのな異世界辺境生活が始まります。
初投稿なので誤字脱字
支離滅裂有るかと思います
凱旋した英雄は聖女を選びました。~冬の補給路を守っていた私は静かに軍を去ります~
「君は後方にいただけだ」――
凱旋した英雄の婚約者からそう切り捨てられた私は、
静かに軍を辞職しました。
――冬の補給路管理。
――兵糧配分。
――医薬品輸送。
――損耗率管理。
全部、私の仕事だったのですが。
三週間後、
王国軍は補給崩壊。
「なぜ食糧が届かない!」
「なぜ兵が飢える!」
……逆にお聞きしますが、
今まで“なぜか全部上手く回っていた”理由を、
一度でも考えたことはありましたか?
これは、
誰にも評価されなかった兵站官(へいたんかん)が、
隣国の辺境伯にだけ価値を見抜かれ、
人生を取り戻す物語。
今更「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、
私は隣国の最高機密ですので――!