装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

701 顕現せよ、イフリータ

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 キングさんを戻してグリフィーを出そうと図鑑を開くと、スロットに一つの空きが出来ていた。
 召喚していたのは、キングさん、ジュニア、ポチ。
 そして、空いている枠にもともと収まっていたのは、ポチである。
 ポチは、イグニールと一緒にピーちゃんのケアをするために離れた位置にいた。

「向こうで、何かが起こっている……?」

 俺はキングさんを出したまま、すぐにグリフィーを呼び出し、最速で向かう。
 まったく、次から次に面倒ごとが起こりやがって。

「これだからデプリは、これだからデプリは!」

「プルゥ!」

 グリフィーの速さにいともたやすく付いてくるキングさんも、頷いていた。
 平常時はズルズルと這うようにして動くキングさんだが、高速移動時はぴょんぴょん。
 基本的に這う音は聞こえないし、ぴょんぴょん中もドスンドスンとは聞こえない。

 何と言う熟練された動きだろうか。
 つーか、どうなってんだろう、その動き。

「しかし、何かしらが起こる可能性があるとしたら……ハウザーか」

 あの蛇の入れ墨野郎である。
 しかし、たとえAランク以上のクランマスターだとしても、だ。
 ポチはそんな雑魚にやられるほどヤワではない。
 さらに、その場には確実にイグニールもいるわけだ。

 火力的な意味で行けば、イグニールの本気はうちの超戦力である。
 キングさんでも、火柱を受けたらタダでは済まないくらいのな。

 彼女とポチ、そして骨が一緒にいて、遅れを取るとは思わない。
 気配を消すのが得意だのなんだの言ってたっぽいけど。
 骨のカルマを見通す目からすれば、魂として確実にそこに見える訳だ。
 故に、裏をかかれるような心配も何もないのである。

「……どうなってんだ」

 どこをどうとっても、イグニールたちがやられるような心配はない。
 ポチが犠牲になる、本当にどうなっちまったんだ!

「クソッ! クソッ、クソッ!」

「プルァ!」

 落ち着け、と後ろでキングさんが叫んでいるようだった。
 そんなことを言われても、焦ってしまうだろう。
 ハウザーは、敵対しても余裕で返り討ちにできると思っていた。

 聖人の話とか、そう言うのを知っているとなると。
 もともと裏で繋がっていて、俺に情報を流した。
 状況的には、そう言うことなのかもしれない。

 何重にも、何枚にも、搦め手を使って俺をはめようとしているのだ。
 くそったれデプリは!

 聖人は一人ではないかもしれない。
 実は何人もいて、あの聖人は雑魚の一人だった。
 最初から犬死させる、勝てない前提で本陣を用意している。
 そう言うことか。

「そう言うことか! くそが!」

「プルァッ!」

「ひでぶっ!?」

 横っ面をキングさんにぶん殴られて、グリフィーから落ちて転がる。
 かなりの速度だったから激しく転んで茂みに突っ込んだ。

「な、何だよ!」

「プルァ!」

 ボシュボシュ!
 鋭い水弾が、俺の正面にあった木に撃ち込まれる。
 水弾のあと、文字が浮かび上がった。

 叫ぶな、雑魚に見えるぞ、主よ。
 そして落ち着け、マップを確認しろ。

「キングさん……そ、そうか、グループに入れてるから……」

「プルァ」

 頷きながら、キングさんはさらに水弾で文字を書く。

 主よ、もっと視野を広く持て。
 今通り過ぎた場所に、イグニールの杖があったのに気づかないのか?

「……え」

 キングさんの視線を追うと、茂みの中にイグニールの形見の杖があった。

「……なんで、こんなところに」

「プルァ」

 何かのメッセージかもしれない、とキングさんは文字で告げる。

「メッセージ……」

 一旦心を落ち着かせよう。
 マップとグループを確認すると、イグニールもピーちゃんも生存していた。
 もちろん、骨もジュノーも側にいる。
 そして、とんでもないスピードで山を下って街に向かっているようだった。

「プルァ」

「形見である杖がここにあるのは、何か事情があるかもしれないだって?」

「プルァ」

「なるほど……でも、何となくこれでイグニールが何も戦えなかった理由が……」

 そこで閃いた。

「杖を置いていった理由、それって状況説明できるやつを一人残してくれたんだよ」

 イグニールが、機転を利かせてな。
 俺はすぐにカオスアビリティの仮想画面を呼び出し、多額のお金をつぎ込んだ。
 回せ、回せ、いくらでも使ってやるぞ、ハイジャンプとかいらねぇから!

「プルァ?」

「ガルゥ?」

 その様子を見て首をかしげるキングさんとグリフィー。

「イグニールの杖にはイフリータがいる。図鑑の連中みたいに、いつも見てるからな!」

 こいつに話を聞くのだ。
 だから、俺は召喚時間を引き延ばすカオスアビリティを引くまでやめない。
 この間に魔物を倒すのも良いけど、軽く3億くらいつぎ込んでさっさと引けた。



【カオスアビリティ】
・ゴッド/召喚時間+1000%
・Lv120より解放
・Lv140より解放



「よし」

 これで呼び出せる時間が60秒から660秒に増えた。
 召喚時間系のアビリティは、+1000%とか行かないと思っていたのだけど。
 普通にゴッドでその数値が出てしまったとは、これいかに。

 だが、まあ良いだろう。
 邪竜3兄弟も、60秒という縛りから660秒という驚異的な時間暴れられる。
 また、とんでもない何かを生み出してしまったのだろうか。

「プルァ?」

 魔物をさっさと狩りに行くか、と言うキングさん。
 俺は首を横に振って返答する。

「いや、時間がないからレベルを対価にする」

 100レベルより先は、1レベルの対価で済むからな。
 下がってしまったレベルは再びあげれば良いのだよ。
 杖を構えて叫ぶ。

「──顕現せよ、イフリータ!」

 そして、何があったか教えてくれ。






=====
「フハハハ、ワシらの召喚時間が伸びたぞ! 兄者! 暴れられるぞ!」
「そうですね」
「ぎゃおぎゃおっ!」
「そうですね。牛丼ゆっくりたくさん食べれる時間が増えましたね~」
「ぎゃおぎゃおっ!」
「兄者~! 牛丼も良いが、ワシまだ暴れたりないのだあああああ!」
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