文字の大きさ
大
中
小
403 / 650
本編
703 聖者の行進? うん、蹂躙だ。
「プルァ!」
「ガルルッ!」
烈火のごとく、怒り心頭でいるとキングさんとグリフィーが何かを告げる。
水弾で書かれた文字を読む限り、何者かの軍勢が迫ってきているとのこと。
「……この状況で来るとか、基本的に敵だろ、敵」
全力で潰してしまえ。
もうなんでも良いんだわ。
この結果を生んだのはデプリ。
デプリが悪いんだわ。
そう思っていたら、森の奥から怒号
『続け! 聖戦だ! 聖人様が戦ってらっしゃるのだ!』
『異教徒は全てなぎ払い、勇者様を必ず取り返すのだ!』
森の奥の方から、そんな怒号が轟いてきた。
……普通に敵だ。
「よし、容赦なく蹴散らすぞ」
ロイ様を出すことも考えたが、飛空船に帰る手段がグリフィーくらいだ。
どうせジュニアは寝ているのだろうってことで、後でシメる。
「それじゃ、イフリータも頼むわ」
『相変わらず大精霊を呼び捨てにするのね』
「知らん、良いから力を貸せ」
『おー、こわ』
それに精霊ならわかるだろ、良いやつか悪いやつか、そのくらい。
すごーい存在だったら、な?
『はいはい……残りの時間は私がフル稼働してあげる』
「それで良い」
協力してくれるってことは、イグニールを取り返すことに不満はないらしい。
精霊なのにイグニールの親とかさ。
わけのわからんことを言っていたが、その親が良いっていうなら良いだろう。
親公認で、俺はイグニールを助けに行くんだ。
『向こうだ! 皆の者、異教者と言えど厄介な魔物を連れている!』
『そうだ! 気を抜くな!』
『この時だけ、奴は魔物を従えし魔王にも近い存在だと心得よ!』
『はっ!』
そして、今ここに大軍をもって押し寄せて来る教団関係者。
奴はらポチの仇として、完膚なきまでにボコボコにしてやる。
「キングさん、グリフィー」
「プルァ!」
「ガルルッ!」
俺の声に合わせて力強く頷く二人。
気合いはよし。
今回は、特に相手の気持ちとか考えずに行く。
もはや、野盗とかそんな類の奴だって感覚だ。
つーか、何が魔王だ。
何が異端者だ。
自分らのいうことを聞かなかったら全部異端なんだろうな。
正義は自分にある、とかクソみたいなことを言ってそうだ。
だったら、お望み通りなってやろうじゃん。
「──魔王にでも何にでもな!」
『いや、魔王になるなんてダメに決まってるじゃない……』
イフリータからのそんなツッコミ。
魔国の定義で行けば、魔王はただの国王だ。
人と魔族の争い。
魔族とは無縁な日本の感覚で行くと、ファンタジー。
しかし、この世界ではただの国家間の争いである。
人種が違ったり、信じているものが違ったり。
少しでも自分と違う部分があると、人は争うんだ。
いじめがなくならないのだって、そんな理由だ。
『居たぞ! 異端者であるトウジ・アキノだ!』
『囲め! そして聖人様をサポートしろ!』
『きっとまだ戦ってらっしゃるはずだ! 援護だ!』
『支援魔法展開! 展開機器も運び込んでます!』
押し寄せる軍勢、絶え間なく響く怒号。
「キングさん、準備は良いかな?」
「プルァ」
一度グリフィーを戻して、キングさんもグレイトキングにジョブチェンジ。
そして俺は再びグリフィーにまたがって、キングさんの隣に立つ。
数がどれだけかは全くわからないが、キングさん的には100を優に超えるとのこと。
「上等だよ」
いくら束になってかかってこようが、最強、大精霊、そして三十路。
その前には教団という文字は、宗教という教えは……霞む。
「理不尽、人外、屁理屈の三拍子にやられてしまえ」
『その呼び名、締まらないわねぇ……』
「そんな締まらない奴らにやられる教団って、なんなのって感じだけどね」
『性格……』
悪いのは知ってるさ、これが俺の本性でもある。
意地汚いぞ、俺は。
人前では取り繕おうとしているが、だいたいこうだぞ。
でもな、裏からこねくり回すようなことはしてない。
「こうして、正々堂々、真っ正面から叩き潰す流儀くらいはもっている」
『うーん』
「さて、イフリータ。性格が悪いのは、果たしてどちらだと思う?」
『……いや、理屈はわかるけど』
「理屈が通ってればあとはなんでも良いんだよ」
近年ロジハラとか正論ブチかますのはダメだとか。
そんなクソ腑抜けたことを言い出す奴もいるが……正論は正論だ。
間違っていることを間違っていると言って何が悪い。
間違ってたとしても、その言い方はない。
そんな切り返しもあるのだが、間違ってるんだぞ?
被害者ぶってんじゃねえ。
「ってことで、キングさん!」
「プルァ」
周りを教団の勢力が取り囲む中、俺は立てた親指をくるっと下に向けた。
そして、すぐに耳を塞いだ。
グリフィーも器用にフサフサの耳をぎゅっと伏せている。
瞬間──。
「──プルゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
キングさんの雄叫びが炸裂した。
全方位雄叫び攻撃、久々である。
やっぱりこれが、痛快だよな、と思った。
ドドドドドドドドドドドドド──!!
さらに、雄叫びとともに空から何か光の線が降り注ぐ。
……えっ
感想 9,840
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています(旧:いらないと言ったのはあなたの方なのに)
水谷繭※7/30書籍発売予定です!6/29まで公開します。
完結まで一括投稿済。
なろうの方では削除する予定はありませんので、読み途中たけれど読みきれないという場合はそちらでお願いします☺️
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました
◆小説家になろうにも投稿しています
凱旋した英雄は聖女を選びました。~冬の補給路を守っていた私は静かに軍を去ります~
握夢(グーム)「君は後方にいただけだ」――
凱旋した英雄の婚約者からそう切り捨てられた私は、
静かに軍を辞職しました。
――冬の補給路管理。
――兵糧配分。
――医薬品輸送。
――損耗率管理。
全部、私の仕事だったのですが。
三週間後、
王国軍は補給崩壊。
「なぜ食糧が届かない!」
「なぜ兵が飢える!」
……逆にお聞きしますが、
今まで“なぜか全部上手く回っていた”理由を、
一度でも考えたことはありましたか?
これは、
誰にも評価されなかった兵站官(へいたんかん)が、
隣国の辺境伯にだけ価値を見抜かれ、
人生を取り戻す物語。
今更「戻ってきてくれ」と泣きつかれても、
私は隣国の最高機密ですので――!
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません
由香乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。
破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。
しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。
外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!?
さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、
静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。
「恋をすると破滅する」
そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、
断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
処刑されるはずだった没落令嬢ですが、姫様の初夜を身代わりしたら子を授かりました
新 星緒没落伯爵令嬢のエルゼは大恩がある姫様を救うために、初夜の身代わりを引き受ける。
そして姫様や国を守るために誰にも行く先を告げずに国を去った。
三年後。初夜の晩に息子ヴァルターを授かっていたエルゼは、ひっそりと暮らしていた。ところが元婚約者に拉致られて、あわやというところに初夜の相手であるハインツ王子が現れる。
「ようやく見つけた。エルゼ、愛している」
「初夜の相手が君だと最初からわかっていたが?」
――身代わり初夜から始まる、純愛溺愛執着愛のお話!