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本編
705 我が息子
「え、何? 下でそんなことになってんの?」
グリフィーに乗って飛空船に戻ると、寝ぼけたジュニアがいた。
どうやら、騒ぎで起きてきたらしい。
「すっとぼけんな!」
「痛っ」
クソガキの小さな頭をゲンコツしながらさっさと船を動かせる。
ダンジョン化してるから、船の操作も思いのままなのだ。
「それにしても、いきなり動き出してびっくりしたぜ」
「俺だってそうだよ」
船の外を並走する物体について考える。
ジュニアがしれっと取ってきた一機。
まあ、普通にTAFの名前が彫られてある。
鋼鉄製で、内部まではわからないが魔力収束砲の小型版。
漏斗型で上部に四つの小型浮遊結晶を用いた装置がある。
【戦略魔導兵器:フェアリー】
ドラグーン内に格納され、展開。
船体防衛支援、攻撃支援を行う。
「フェアリー……」
触って確認してみた名前が、それだ。
妖精か……。
とんでもなくヤバい妖精もいたもんだ。
さらにドラグーンって物騒な名前もある。
何だよ、ドラグーンって。
「んーーー……俺も調べた感じ、動力源に細工されてるっぽいな」
「落ちたりしないのか?」
「俺がお前のリソース使って供給してるから、エネルギー切れは絶対にない」
「それもそうか」
MPの回復量とか、秘薬を飲めばあっちゅうまに全快だ。
圧倒的な秘薬の数を前にして。
ラストエリクサー現象なんて、俺には全く関係のない話。
「で、これからイグニールのところ? それとも教団?」
「教団。そして向こうにイグニールたちもいる」
奴さんは、何らかの高速手段でタブーに戻った後、すでにデプリ王都だ。
転移用のとんでもない魔法とかあるんだろうな?
じゃないとマップのデプリ王都に、イグニールたちのマークがあるはずない。
そんなものがあったら国宝クラスだと思うけど。
相手が公爵家とかだったら、ありえなくもない話だった。
「──奪還殲滅戦だ。何だかわからんがすげぇ兵器もあることだしな」
ワシタカくんに引かせ、デプリに高速で向かう飛空戦の中。
俺の言葉にジュニアが言い返す。
「お前さあ……一応言っておくけど、外交問題にならないの?」
「……なる」
問題にならないかと聞かれれば、そんな訳がないだろう。
国を相手にするとはそう言うことだ。
教団の本部自体は、王都の目立つ場所に存在する。
そんな場所に上から一気に攻撃を仕掛けるのは……まずい。
俺は、デプリは好きじゃないが良き心を持つ人もいる。
もしかしたら、無関係な人を犠牲にしてしまい兼ねないのだ。
「……それでも潰す」
こいつらをいつまでも放置していたら厄介だ。
信者は各国に存在する。
その全てを相手することは、さすがにしたくない。
だが、本部を潰せばしばらく黙るだろう。
「それで良いのか? お前の求める本来の平和はそれで来るのか?」
「うっさいな、なんだよ、げんこつするぞ」
「冷静になれって言ってんだよ。俺の主は、一応お前なんだぜ?」
「……」
黙っていると、ジュニアはさらに言葉を続けた。
「俺たちは、お前の幸せを一番に思ってんだぜ? ……一応な、一応」
「ジュニア……」
「だからそんな物騒な目をしてんなよ。早くイグニールを娶れやダボ」
「……確かに、ジュニアの言う通りだ」
この先、ここで手段を間違えれば、確実に平和は来なさそう。
マジで、宗教相手ってとんでもない状況だよな……。
今は教団内部だけで俺が敵だとされているが、ここで踏み込むと大いに目立ってしまう。
そうすると、非常に難儀な話だ。
つながりがあるってだけで恨みを持たれて周りに迷惑がかかるだろう。
「すまんな、心配かけて」
止めてくれたジュニアが、なんだか可愛いクソガキに見えてきた。
お前は立派なジュノーと俺の息子で良いぞ、もう。
「や、やめろお! 何で抱きしめんだよ!」
「いや、ジュノーが息子だって大事にしてたから」
「息子じゃねーよ!」
「まあ怒るなよ。よしよししてやるぞ。なんなら膝に座るか?」
「くそったれ! だったら俺にもっと金をよこせ! 贅沢させろ!」
はいはい、ゲームは1日12時間までな。
俺は休日はだいたい18時間くらいだったから、厳しめで行く。
「さて、気持ちも引き締まったところで」
「くそ! 早く離せよ! くそ、装備のせいで力強いな!」
俺は腕の中で暴れるジュニアを抱っこしつつ、言った。
「何となく思いついた作戦で教団殲滅と行こうか」
英雄になるよりも、卑怯者と呼ばれるくらいがちょうど良い。
だって俺は主人公じゃないんだからな。
誰にもバレないように、ちゃっちゃと終わらせてイグニールの元へ。
って奴だな!
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