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本編

721 こじれ。いや、ダンジョンコアだろ……

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 次の日、俺たちはまだイグナイト家に滞在していた。
 そして客室の一つに、みんなで集合と至る。

「なんですぞ」

「なんだし? パンケーキ? 食べる!」

「ぷぴぃ?」

 色々と話さなければならない話があるのだが……。
 ひとまず、ポチを召喚しましょう。

「ォン!」

「おかえりポチ。ああ、このもふもふが寂しくて仕方なかった」

 再召喚可能になったポチを呼び出して、颯爽と抱っこ。
 そのままもふもふの刑に処す! 処すのだ!

「アォン……」

 ポチはため息を吐きながらも、されるがままとなった。
 もーふもふもふ、もーふもふ。

「あー、お日様の匂いだぁー……」

「すっかりトリップしてますぞ」

「ねえ、だから呼び出した理由なんだし! やっぱりパンケーキ?」

 師匠は相変わらずだな。
 パンケーキは、インベントリにいくつかストックしてあるから出しておく。
 一応焼きたてがそのままだから、師匠も飛びついて食べ始めた。

「パンケーキ! まぐまぐまぐまぐまぐ!」

「もーふもふもふもふもふ」

「……なんですぞ、この状況」

「ぷぴぃ」

「なら私はピーちゃんもちもちしよっかな、おいで?」

「ぴぃー」

 イグニールもソファーの上でピーちゃんを膝に乗せて抱っこする。
 そしてほっぺとかもちもちして感触を楽しみだす。

『ああ~』

「……いや、ですから話とはなんですぞ?」

『んあ~』

「えっと、骨もカラカラしてくださいですぞ?」

『むはぁ~』

「みんなの玩具になりますぞ?」

 まぐまぐ、もふもふ、もちもち。
 まぐまぐ、もふもふ、もちもち。
 骨を無視して和んでいると、骨が叫んだ。

「一人に、しないで! ですぞっ!」

「あ、カラカラが欲しいって? ほい」

「これ、赤ちゃん用の玩具ですぞ……そうじゃないですぞ……」

 さて、冗談もこれくらいにして、本題に移ろうか。
 イグニールとの結婚報告である。
 実はポチも交えて報告したかったから、みんなにはまだ告げていない。
 みんなでダラダラと過ごす状況の中、俺は言った。

「そうだみんな……昨日、俺とイグニール結婚したわ」

「え、この流れで?」

 俺の隣に座るイグニールがギョッとした表情をする。
 まさかこうしてぽろっと言い放つとは思わなかったようだ。
 しかしなあ……改めて報告ってなると小っ恥ずかしい。
 なんとなく、流れに任せてぽろっと告げたほうがいいと思った。

「なんだそのことですぞ? 骨の耳にはしかと聞こえてましたぞ!」

「あっ、そうなんだ」

「なんたって、地獄耳ですぞ! 黄泉の国より戻りし骨の地獄耳!」

「ふーん、まあ聞こえてた感じなら改めて説明する必要ないな」

「もともといつくっつくのやらと、ニヤニヤして見ておりましたぞ」

 骨の顔がニヤついた雰囲気になる。
 元が女だから、こう言う色恋沙汰には察しが良いってことか。
 女の勘は、なんとやらってやつである。

「このカラカラは……まったくもう、気が早いですぞ~」

「いや、それはブレイズのお下がりなんだが……」

 まあ良い。
 赤ちゃん用玩具は、いずれを見越してイグニスが色々とくれた物だ。
 ちなみに新婚初夜は秘密である、察してくれ。

「アォン」

「え? ポチも知ってたって? マジか!」

 俺の顔を見上げて「ふんす」と鼻を鳴らすポチ。
 どうやら、復活して早々図鑑のメンツから聞いたそうだ。
 なんだよ、みんな知ってたんじゃん……。

「ぷぴぃ?」

 首をかしげるピーちゃんは、まだ話をよくわかってないようだった。
 いずれわかる時が来るだろう。

 あと、ピーちゃんはこのままうちに連れて帰る。
 状況的に行くところもないのはわかっているはずだ。
 今更、先日起こった話を蒸し返すのは、辛いだろう。

「ピーちゃん飴食べなよ」

「ぷぴ!」

 だから楽しい雰囲気のまま当然のごとく一緒に過ごす。
 それが一番良い。

「……」

 実に和やかな景色がずっと続くと思われていたのだが。
 一箇所だけ、少しいつもと違う光景。
 なんと、師匠がパンケーキを口からこぼしていた。

「今、なんて言ったの?」

「ん? イグニールと結婚した」

「き、聞いてないし!? どういうこと!?」

「どう言うことも何も、言葉のままなんだけど」

「……ってことは、第二夫人だし?」

「第一だよアホ」

 それに俺の考え方は日本の価値観に染まっている。
 一夫多妻なんて、もってのほかなんだよなあ。

「でもでもでも、ジュニアがいるし!」

「いや、あれ……おままごとでしょ?」

 一応ジュニアには息子のような気持ちを持って接している。
 しかしながら、人間とダンジョンコア。
 体格差だってあるのだし、そんな訳にはいかんのだ。
 いたって冷静にそれを告げると。

「──っ! トウジのバカ! あんぽんたん! ハゲ!」

 ジュノーはパンケーキの皿を持ったままどこかに飛び去ってしまった。
 おい、ハゲは言い過ぎだろ!







=====
現状、タグにハーレムないので。
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