装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

738 ロブリーあらためキモキバで

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「相手する? してくださいの間違いだろお?」

「お前がな」

 図鑑からコレクトを戻し、すぐにグリフィーを呼び出す。
 サルトについてから召喚していたメンツは、最初に暮らして来たメンツ。
 懐かしいだろう、と思って街を歩かせていたのだ。

 俺がダメージを受けた、即ちダメージを肩代わりするゴレオは気がつく。
 その後、コレクトが戻されたという事実。
 すぐに異変に気がついて、イグニールたちに教えてくれるだろう。

「それ知ってるぞお? ロック鳥は出さないのかあ?」

「こんな狭い場所で出せないからね。常識持てよ」

「戦いに常識なんて関係ねぇよお! どうするんだ? 逃げるのか?」

 ケタケタ笑いながら男は叫ぶ。

「逃げたら! 周りから奪う! これは脅迫だぜえ!」

「いや相手してやるって言っただろ。耳悪いのかな?」

「ああん?」

 適当に煽りつつ、俺はグリフィーの背中に乗って飛び上がった。
 すぐに引力を用いて男を引き寄せる。

「お?」

「好きに暴れられる場所を用意してやるから、ついてこいよ」

「ハッ、お前の言うことなんか聞くわけないだろうがよお!」

 そうやって啖呵を切る男だが、体は自然に浮かび上がった。
 それもそのはず、俺はグリフィーに乗って上空にいる。
 さらには引っ掛かりがなさそうな場所に常時移動。
 根掛かりしそうな釣り針を上手く巻き上げるように、ぶっこ抜いた。

「な!? そこまで強えのかそのスキルはよお!」

 上手く活用してるだけだが、まあ良い。
 強いって思わせておく。
 こう言う手合いはペースに乗せるのは面倒だからな。
 後手を取ってしまった分、先手、先手、先手のみ。

「あれれーおかしいぞー?」

 だから、煽る。

「奪う奪う言ってたのに、自由奪われてるの……そっちじゃね?」

「ふ、ふ、フ、フグァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!」

 何かが逆鱗に触れたのか、男の目がぎょろりと剥いて血走った。
 そしてジタバタともがいて必死に拘束を逃れようとする。
 引き寄せに緩急つけてその間グリフィーが高速飛行すれば、こいつが追いつくことはない。
 多少MPを使用してしまうことになるけど、サルトは山脈に作られた都市。
 すぐそこに、キングさんが好きに暴れられる場所があるんだよ。

「ぐぞお離せ! ばなぜええ! 俺は! グリード様の守護者の一人!」

「ふーん、それが何?」

「守護者の一人、尖兵のロブリー様だぞ! クソがあああああああ!!」

「そんなの知らんし興味ない。守護者気取るなら攻めずに守っとけよな」

「俺は! 俺は! 奪うのは好きだが、奪われるのは大っ嫌いなんだ!」

「ふーんあっそ」

 奪って良いのは、奪われる覚悟を持ってる奴じゃないとダメだぞ。
 よく言うだろ、殺すなら殺される覚悟をなんたらってな。

「スーパーで買って買ってと駄々こねる子供にしか見えん」

「ふぐあああああああ!」

「そう言う意味では、お前はセブンスよりも、あのガキよりも雑魚いな」

「絶対奪う! テメェから、テメェからよおおおお!」

「ふーん。グリフィー全力だ」

「ガルッ!」

 こいつは、なかなか上級の守護者だな。
 基本的にダンジョンコアの一部を受けて作られた守護者は、本質の一部を受け取る。
 強烈なまでに強い渇望は、まさに強欲のグリードの分身とも言えた。

「とりあえず山まで行ったらさ、自由にしてやるよ」

「ぐうう! ぐるるるるううう!」

 獣みたいなむき出しにされた敵意、殺意。
 喋れないほど、何かに飲み込まれているようだった。
 恐ろしいけど、初めて邪竜三兄弟に会った時ほどじゃない。
 チワワが吠えてるようなもんだ。

「山に行ったらそのリード外してやるから待て。待てなかったら躾けるぞ?」

「ぐるあああああああ!」

「だから落ち着けって、餌なしにするぞー?」

「ふぐるぼべらあああああ!! ぶばあああ!!」

 狂犬かよ。
 もうなんて言ってるかわかんなくなっていた。
 ギャグでやってんのか、その口調。

 まあいい。
 とりあえず声は聞こえてるみたいだから、さらに煽っとく。

「つっても、リード外して首輪はつけとくけどな?」

 おっと、だったら首輪に名前も彫っとかないとな。
 可愛い可愛い犬の名前なんてつけるのはおこがましい。
 目ん玉ぎょろぎょろ、よだれまみれで顔はキモい。
 その上で牙はなんかザクザク鋭いくせに噛み合わせは良さげ。
 このなんとも言えない見た目から、名前を決めた。

「キモキバとかでよくね? うん、お前の名前キモキバにするわ、今日から」

「俺の名前を、勝手決めつけてんじゃねえええええぶぼべられあああ!」

「体の自由とともに、名前まで奪われちゃったね、キモキバくん?」




=====
グリフィー「ガルゥ……」(なんかすっごい楽しそうだよご主人様)

※トウジは元から性格悪いタイプです。
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