装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

755 サソリ食い? ふざけんなよ。

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「キシャシャシャシャシャシャアア! ジャラアアアア!」

 ハサミかしょんかしょん。
 尻尾ふーりふり。

 急に様変わりしたダンジョン。
 空に現れた俺たちを敵と見定めた巨大サソリの威嚇行動。

「ワシタカくんに比べれば、別にどうでもないな」

「そりゃあなあ……でも凶悪な魔物だぞ?」

 美味しさの反面、手に入れるのにかなり苦労を擁するそうだ。

「毒腺抜きの方法もミスったら肉が食べれなくなっちまうからよお……」

「その口ぶりだと、戦って倒した感じっすね」

「もちろん倒したぞ。コツはさっさと尾節の先端をぶった切る事だ」

 よく倒せたな……。
 見立てでは、ランクAでも手こずりそうなくらいだってのに。
 ランクとかには、まったくこだわらないタイプなのだろう。
 俺も最初はCランクに上がれれば良いや、くらいのもんだったしな。

「とりあえずサソリは食べないので、ワシタカくんどうぞ」

「ギュルァァァアッ!」

 俺の指示に従って、翼をはためかせながら徐々に高度を下げるワシタカくん。

「クゥン」

「ダメ! 欲しそうな目をしてもダメ! 虫はダメ!」

 ポチのほしがりさん目。
 そんな目をされても俺はサソリは絶対に食わないぞ。
 例え食感がカニ、味がエビでも、絶対にな。

「サソリは虫じゃなくて、どっちかって言うとクモの仲間だぜ」

「アォン!」

「だったら良いじゃんみたいな顔されてもダメなもんはダメだ!」

 虫じゃないとか言われても一緒。
 どう見てもそれに似た仲間だから無理なのです。

「キシャーーー! キシャシャシャシャ!」

 キシャキシャ言ってる生物なんで食べられるかよ。
 ……ダメだ。
 あのかっしょんかっしょんしてるハサミとか。
 シュバシュバ毒を飛ばす尻尾とか。

「ん、毒を飛ばす? ……ワシタカくん、降りるのたんま!」

「ギュア?」

「そのまま高度を下げると、毒をもろ浴びちゃうから!」

 毒を持ってるのはわかるけど、飛ばすのは聞いてない。
 まったく、対空手段を持ってる奴らは厄介だ。
 それにたった100メートルぽっちじゃワシタカくんが避けきれない。
 ただのでかい的になるだけである。

「確かに色々と動けなくすると同時に、少し溶かして捕食しやすくすんだよな」

 パインのおっさんもそう言っていた。

「なんとか毒性を抜いて、少し溶かす要素だけ残せれば、固い肉でも柔らかくなるんじゃないかってやってみたんだが……うーん、どうやっても強すぎる毒が抜けなくってなあ……」

「そ、そっすか……」

 もう良いよ食べないから。
 そんなに言うなら、霧散の秘薬でも使ってみたら良い。
 毒性も、溶解性も全て打ち消してしまうと思うけどね。

「ギュア」

「それでも問題ないって言ってるし」

「ええ……?」

 なんだその自信。
 さすがロック鳥である。

「ドラゴンがいなければ空の王者とも言われるのがロック鳥」

 心配する俺に対して、ウィンストが言う。

「その中でも、トウジの従魔であるワシタカは、並みの個体よりも強大な力を持っている。故に、多少の毒なんぞ関係ないと言う事なのだろう」

「うーむ……」

「何を悩んでるのよ、心配なら霧散の秘薬使えば良いでしょうに。どっちにしろこの子がいないと真っ逆さまだし、あれこれ悩んだところで意味ないわよ」

「あ、そっか」

 霧散の秘薬か。
 異常状態に対しては、最強のアイテムである。
 くそっ、普通に毒のくだりで頭にあったのにな!

「虫を食べるのが嫌過ぎて、そっちまで頭が回らなかった」

「そんなに嫌なら無理に食べさせちゃダメよ、ポチ」

「クゥン……ォン」

 ややしょんぼりしながらも受け止めてくれたポチ。
 未開拓食材への欲求は、まだまだ悪い癖だな。

「アォン!」

「え? 個人的に持ち帰るのはダメかって? もちろんダメに決まってるぞ!」

 にっこり微笑んで言っておく。

「お前絶対夕食でこっそり出すだろうからな、カバンの中身は後でチェックする」

「クゥ~ン……」

 しょんぼりしてもダメなものはダメだー!
 取り急ぎワシタカくんに霧散の秘薬を投げる。
 すると、くちばしで器用に受け止めて瓶をパリンと割った。

「ギュア!」

「毒針自体が小さいから刺さらないけど、とりあえずこれで本気出せるってさ」

「そうなんだ? ってか、本気って?」

「ギュアッ!」

「たまには良いところも見せておかない小生の立場が無いとか言ってるし」

 いや、別に立場とかそう言うの俺の中でないんだけどな。
 どっちかと言えば、ワシタカくんは結構重用されている部類である。
 最近長距離が多いから、その度に出して飛んでもらってるんだから。

 むしろ、一生出す事ないメンツとかいるだろ……。
 まあそっちは……うん、特に必要ないから今後も出さない。

 すまんな。
 力になれないと嘆くなら、等級システムを恨んでくれ。
 そして初手でカス特殊能力しか引けなかったこともね。

 これに関しては運というかなんというか……。
 俺は何も言えないのである。

「まあ、ワシタカくんどうぞ」

「ギュアッ!」

 意気揚々と下に降りて行くワシタカくん。
 だが、サソリ軍勢も負けじと毒攻撃。
 かかったところで俺たちには全く聞かないのだが、お次は砂攻撃になった。

「キシャアアアアアア!」

『──キシャアアアア!』

 引き連れている子サソリとともに、大量の砂を生み出し嵐を作る。
 砂嵐というやつだな。
 堅牢な外郭、強靭な鋏、そして凶悪な毒とともに。
 土属性のスキルも扱うことができるようだ。

 砂漠であってたら、確かにどうしようもないくらいの強さかもしれない。
 だがここはお前らのホームではない。

「ギュア!」

 ワシタカくんが大きく羽ばたいた。
 突風が巻き起こる。

 ブオオオオオオオ!

 その瞬間、俺たちに向かって放たれた砂嵐が戻って行く。
 威力を数倍増しにされた砂嵐。
 そのままサソリ達を無残に刻み尽くしてしまった。

「うおお、すげえ……何今の……」

「ジュニアから図鑑の制空権を奪わせないために編み出した攻撃だってさ」

「ギュアッ!」

「逆風をコントロールすることで、威力を倍増させて相手に返すらしいし」

「ギュアッ!」

「へ、へえー……」

 なんか知らんうちに、図鑑のメンツが勝手に強くなっている。
 なんだろう、図鑑の中でみんな切磋琢磨してるのだろうか?
 次の召喚権みたいなものをゲットするために。

「ギュアッ」

「ちなみにジュニアは見事に切り刻まれて全裸にしてやったってさ」

「おい! 言うなよバカ! 服が木っ端微塵になっただけだから!」





=====
ポチ「アォン」
トウジ「はちみつも虫からできてるって?」
ポチ「ォン」
トウジ「それは……あ、甘いから良いんだよ!」

ポチ(──閃いた!)
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