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本編
759 怒るジュニア?
「え……そ、そんな……っ!」
アンダンテの一言を聞いて、俺も眉をひそめる中。
ジュノーが愕然とした表情を作る。
「ジュノー、耳を貸すな」
相手は虚飾の一部で、嘘をつく可能性しかないのだ。
虚飾、内容が伴わない上辺だけの飾り、見栄。
バカみたいに色々と語ってくれたが、それが真意だとは思わない。
「で、でも! あの髪、ラブちゃんの!」
「大丈夫だ」
襲撃を受けたとして、それに気づかないほどバカではない。
そしてかなりのリソースは蓄積されているのだ。
邪竜戦後、使用した希少鉱石とかリソースはほとんど返却している。
さらに勇者一行が来た一件のあとも、色々とリソースを渡していた。
「最終守護者が、そんなに一瞬でやられる訳ないだろ?」
ブラフだ、ブラフ。
信じて動揺する必要もないのである。
そんな俺たちのやり取りを聞きながら、アンダンテはくつくつと笑う。
「まあ、私としてはどうだっていい、些細なことだけどね?」
「黙るし!」
「でも、作られたわけでもなく彼女はただの代理権限持ち……この意味がわかるかな?」
「良いから黙るし! ラブちゃんはお前なんかにやられたりしないし!」
俺の肩に乗ったジュノーは、唇を噛み締めながら俺の後ろ髪を強く握る。
今はいいか、握らせておこうか。
「そうだぜジュノー、別に心配することはないぞ」
ふわふわ宙に浮かんで今まで様子を見ていたジュニアが降りてくる。
「ただの守護者に、権限持ちが負ける訳ないだろ?」
ジュニアは続ける。
「代理権限は、ダンジョンコアとほぼ同じと言ってもいい存在だ」
コアが守護者に負ける?
そんな非常識がまかり通ったら、ダンジョンコアなんてこの世にいない。
そう言いながら、ジュニアは鼻で笑っていた。
「ざっと周りを感知して見た感じだと、このダンジョンはすげぇ入り組んでる」
「ああ、前に勇者が来た時、みんなで改造したからな」
アスレチック風味に。
ラブも面白がって、全部に難易度とか宝を設定して楽しくすると言っていた。
かなり時間も経過しているし、作り込みも捗っていることだろう。
「んでもって、俺が無理やり奪った分以外は、特に傷一つ付いちゃいないんだ」
「ん? ってことは……」
ジュニアの話を聞いて、イグニールがぽろっとこぼした。
「ひょっとしてクリアできなくて立ち往生してたんじゃないの?」
「あっ、確かに」
奥に進むにつれてクリア困難になっていく。
相応の知恵があればクリアすることも可能かもしれないが……。
魔物連れじゃまず無理だよな?
それに、こういうものにこの世界の人たちは慣れてない。
勇者たちがちまちまクリアできていたのは、事前知識を持っていたからである。
アスレチックとか、別に珍しくもなんともないただの遊戯なのだ。
「ははーん、珍妙なダンジョン内部は、お前らの入れ知恵だったってこと?」
「別にそんなご大層なものじゃないけどな」
ここに来てそれなりに役に立っているものだとは思わなかったけどね。
後手後手に回っているかと思いきや、割と先手を打てていたようだ。
「なら、ラブちゃんは生きてるの!? トウジ!!」
「ああ、あいつの嘘の可能性の方が高いぞ」
所詮虚飾。
こういうブラフを用いた揺さぶり攻撃に長けているのだろう。
ジェラスやキモキバくんの時から、そういうもんが見え隠れしてるからな。
まったく、気持ち悪いやり方だ。
「トウジ、その髪もらって確かめてみ? 本当にその守護者のなのか」
「そうだな。それが一番手っ取り早い」
ジュニアの言葉に頷くと、アンダンテは言う。
「だったら、力尽くで奪って確認してみたらいいさ」
「そのつもりだ」
「アハハッ……さて、真実はどっちでしょう?」
高笑いを浮かべるアンダンテ。
どうやって攻撃を仕掛けようかと考えていると。
ジュニアが空中からミサイルのように飛び出した。
「トウジ、こいつは俺が相手する。お前らはその守護者を探しに行け」
俺たちを背にしながら、大広間から横に伸びる一本道を作り出す。
「珍しいな、ジュニア」
「ハッ、別に真実とかはどうだって良いんだけど、少しムカついたよ」
恐ろしいほどの殺気を持って、ジュニアはアンダンテの正面に立った。
「派手さは認めるが、裏側は陰湿なやつ。俺が一番嫌いなタイプだわ」
感想 9,840
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