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本編
760 ダンジョンコアvsハイガーディアン 1
しおりを挟むいざ、深部へつながる道を提示されたのだが……。
「どうしたのトウジ、立ち止まって」
「いや、ちょっとね」
ジュニアの方を振り返りながら、イグニールの問いかけに答えた。
「先に行っててくれ、ジュニアと後で追いつく」
なんとなく、ジュニアの真の実力を見ておきたかったのである。
基本、なんでもこなせて製作もござれな便利屋程度の認識。
そんないつもひょうひょうとしているジュニアが、割と真剣に怒っている。
この状態の強さは、非常に気になるところだった。
「わかった。トウジがついれてば十分ね」
「そっちにはロイ様をつけておくよ」
「うむ、任された」
ワシタカくんをチェンジして、ロイ様を召喚する。
「意思疎通は王室諸君で取るつもりだから、一体頼む」
「承知した。──来い、王室諸君が一人」
『ハッ』
一体のスライムキングがロイ様の体から出現。
ロイ様とリンクしているので、今回の伝令役。
最新機種のスマホがなくったって、これが早いのだ。
勝手に状況をようやくしてくれるんだからね?
「了解よ」
それを見たイグニールは、強く頷いて言う。
「じゃ、先に行ってくる。ラブを探せばいいのよね?」
「うん」
「見つけたらすぐに知らせるから、またね」
頬にキス、不意打ち。
ドキッ……とはしなかった。
ただただ驚くだけ。
「……」
自分の服の胸元を握りしめながら考える。
最初はまあ大丈夫かとは思っていたけど。
元に戻った際。
前の気持ちが消え失せてしまったらどうしようか、と。
嫌だな、と思えるだけまだ正常なのだろうか。
彼女にも失礼極まりない.
早いところどうにかしないと。
「なんだよ一人だけ残って」
「なんたってお前が心配だからな、パパもママも」
「……いつまで両親ノリしてんだよ」
「ジュノーがまだしてたいから、それに合わせてるだけ」
別にジュニアをからかって遊ぶつもりなんてない。
ただ、ジュノーのわがままに付き合ってるだけだ。
でも良いじゃないか、そのくらい。
「甲斐性なしの俺でも、そのくらいの甲斐性はある」
そう言うことにしておいてくれ。
「ふーん、本音は?」
「ジュニアの本気を見ておきたいと思ってね」
これからダンジョンコアと戦うことが確定している。
そんな中、キーマンになってくるのがジュニアだ。
「リソース合戦にも限度がある」
速やかに終わらせるためには、すべてこっちのものにしてしまうのが一番。
リソースを奪う、それだけでダンジョンは弱体化するんだから。
「ぶっちゃけ、強欲よりも欲深いよな、お前」
「はは、否定しない」
人とは常に欲深い生き物である。
だが、本能のままに奪うことはしない自制心も持つ。
違いってのはそこらへんだ。
八大迷宮ってのは、その辺の根底にある何かが解放された存在なのかもしれない。
深淵樹海、暴食のグルーリングを見ていてもそう思った。
「ねえ、もう話は済んだ? 死ぬ準備は整った?」
俺とジュニアの話を黙って聞いていたアンダンテがあくびをしながら言う。
「はいはい、今から相手してやるよ。ちなみに死ぬのはお前だぞ」
そう言い返しつつ、ジュニアは続ける。
「守護者ごときがダンジョンコアを壊す? ハッ、嘘ばっかりだな、お前」
「嘘? アハハハ、いやいや、いやいやいやいや、嘘なんか付いてないよ」
マントを翻しながら、アンダンテは言う。
「私はガーディアンの中でもさらなる上位存在、ハイガーディアン。さすがに最盛期の憤怒には劣るけど、弱体化してたら余裕だと思うよ。すなわち、単体で大規模ダンジョンくらいなら制圧できるんだって。いやほんと」
規模がよくわからないのだが……。
首を傾げているとアンダンテは教えてくれる。
「知らないのかい? 八大迷宮は超規模って言われる存在だよ? そしてその一つ下が大規模。はい、この意味わかる?」
「うーん……具体的な数字がないとわかんない」
「えーと、具体的な数字はだねえ……」
「おい! また余計な話するつもりか! 引き伸ばしってレベルじゃねーよ! もう良いからさっさとかかって来いよ髪の毛三色パン野郎!」
「三色パンだと……お前、死ぬぞ? 私の逆鱗に触れかねない言葉だ。ちゃんと名前で呼んでもらおうか」
「アルデンテだっけ?」
「殺す──」
煽り耐性ゼロのアルデン……アンダンテが突如として消えた。
そしてジュニアがいた場所に出現し、蹴りかかる。
「ッ!? どこだ! 後ろか!?」
だが、ジュニアはすでにその場所におらず。
「──上だよ」
アンダンテの真上にいた。
「くっ」
「これでわかった? ただの守護者とコアの違い」
転移か。
やっぱダンジョンコアってホームだと圧倒的だよな。
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ジュニアの実力が、今!
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