460 / 650
本編
760 ダンジョンコアvsハイガーディアン 1
いざ、深部へつながる道を提示されたのだが……。
「どうしたのトウジ、立ち止まって」
「いや、ちょっとね」
ジュニアの方を振り返りながら、イグニールの問いかけに答えた。
「先に行っててくれ、ジュニアと後で追いつく」
なんとなく、ジュニアの真の実力を見ておきたかったのである。
基本、なんでもこなせて製作もござれな便利屋程度の認識。
そんないつもひょうひょうとしているジュニアが、割と真剣に怒っている。
この状態の強さは、非常に気になるところだった。
「わかった。トウジがついれてば十分ね」
「そっちにはロイ様をつけておくよ」
「うむ、任された」
ワシタカくんをチェンジして、ロイ様を召喚する。
「意思疎通は王室諸君で取るつもりだから、一体頼む」
「承知した。──来い、王室諸君が一人」
『ハッ』
一体のスライムキングがロイ様の体から出現。
ロイ様とリンクしているので、今回の伝令役。
最新機種のスマホがなくったって、これが早いのだ。
勝手に状況をようやくしてくれるんだからね?
「了解よ」
それを見たイグニールは、強く頷いて言う。
「じゃ、先に行ってくる。ラブを探せばいいのよね?」
「うん」
「見つけたらすぐに知らせるから、またね」
頬にキス、不意打ち。
ドキッ……とはしなかった。
ただただ驚くだけ。
「……」
自分の服の胸元を握りしめながら考える。
最初はまあ大丈夫かとは思っていたけど。
元に戻った際。
前の気持ちが消え失せてしまったらどうしようか、と。
嫌だな、と思えるだけまだ正常なのだろうか。
彼女にも失礼極まりない.
早いところどうにかしないと。
「なんだよ一人だけ残って」
「なんたってお前が心配だからな、パパもママも」
「……いつまで両親ノリしてんだよ」
「ジュノーがまだしてたいから、それに合わせてるだけ」
別にジュニアをからかって遊ぶつもりなんてない。
ただ、ジュノーのわがままに付き合ってるだけだ。
でも良いじゃないか、そのくらい。
「甲斐性なしの俺でも、そのくらいの甲斐性はある」
そう言うことにしておいてくれ。
「ふーん、本音は?」
「ジュニアの本気を見ておきたいと思ってね」
これからダンジョンコアと戦うことが確定している。
そんな中、キーマンになってくるのがジュニアだ。
「リソース合戦にも限度がある」
速やかに終わらせるためには、すべてこっちのものにしてしまうのが一番。
リソースを奪う、それだけでダンジョンは弱体化するんだから。
「ぶっちゃけ、強欲よりも欲深いよな、お前」
「はは、否定しない」
人とは常に欲深い生き物である。
だが、本能のままに奪うことはしない自制心も持つ。
違いってのはそこらへんだ。
八大迷宮ってのは、その辺の根底にある何かが解放された存在なのかもしれない。
深淵樹海、暴食のグルーリングを見ていてもそう思った。
「ねえ、もう話は済んだ? 死ぬ準備は整った?」
俺とジュニアの話を黙って聞いていたアンダンテがあくびをしながら言う。
「はいはい、今から相手してやるよ。ちなみに死ぬのはお前だぞ」
そう言い返しつつ、ジュニアは続ける。
「守護者ごときがダンジョンコアを壊す? ハッ、嘘ばっかりだな、お前」
「嘘? アハハハ、いやいや、いやいやいやいや、嘘なんか付いてないよ」
マントを翻しながら、アンダンテは言う。
「私はガーディアンの中でもさらなる上位存在、ハイガーディアン。さすがに最盛期の憤怒には劣るけど、弱体化してたら余裕だと思うよ。すなわち、単体で大規模ダンジョンくらいなら制圧できるんだって。いやほんと」
規模がよくわからないのだが……。
首を傾げているとアンダンテは教えてくれる。
「知らないのかい? 八大迷宮は超規模って言われる存在だよ? そしてその一つ下が大規模。はい、この意味わかる?」
「うーん……具体的な数字がないとわかんない」
「えーと、具体的な数字はだねえ……」
「おい! また余計な話するつもりか! 引き伸ばしってレベルじゃねーよ! もう良いからさっさとかかって来いよ髪の毛三色パン野郎!」
「三色パンだと……お前、死ぬぞ? 私の逆鱗に触れかねない言葉だ。ちゃんと名前で呼んでもらおうか」
「アルデンテだっけ?」
「殺す──」
煽り耐性ゼロのアルデン……アンダンテが突如として消えた。
そしてジュニアがいた場所に出現し、蹴りかかる。
「ッ!? どこだ! 後ろか!?」
だが、ジュニアはすでにその場所におらず。
「──上だよ」
アンダンテの真上にいた。
「くっ」
「これでわかった? ただの守護者とコアの違い」
転移か。
やっぱダンジョンコアってホームだと圧倒的だよな。
=====
ジュニアの実力が、今!
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました