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本編
765 ビシャスとの対話
「何が久しぶりじゃ! 性懲りも無くちょっかいばかりかけよってからに!」
「ハハハ、そう言う性分でして」
ボロボロの状態のまま、笑い声を浮かべる姿は異質。
つーか……。
「そっちからこっちに話しかけることできるじゃん」
「はい、可能です」
「キモキバくんの時、なんで返答してくれなかった」
「キモキバ……ああ、ロブリーさんですか」
「そうだよ」
誰がなんと言おうが、あいつはキモキバだ。
譲らんぞ。
「ほら、沈黙は金と言うじゃないですか?」
ビシャスは続ける。
「私の知らない情報を、もっともっと引き出そうと思いまして」
「なるほどな」
「もっとも、貴方は隠すのが上手な方でいらっしゃいますけど」
「当たり前だろ」
対策を練られることが、いかに不利であるか。
俺はよく知っている。
ネトゲのボス戦なんて、基本トライアンドエラー。
少しずつ対策を練って攻略して行くもんだからな。
やはり、手の内を全て晒さないでおいて正解だった。
裏で色々やってる奴は、抜け目ない奴が多い。
対策を練られてしまうと、勝負はわからなくなる。
100%勝てる安心感がないと、非常にやり辛い。
「さて、どうでしたアンダンテさんは」
「どうでした?」
「いやいや、実力の方ですよ」
「実力も何も、見てたなら十分判断できるだろう」
「それもそうですね」
けれども、とビシャスは続ける。
「中々の耐久性をお持ちだったでしょう?」
「くだらない話を長々とするつもりはないぞ、ビシャス」
「私たちの性格を取り込んで、自我がおかしくなりアホになってしまいましたけどね?」
「だから、そんな話に付き合うつもりはないってば」
言葉巧みに何か情報を引き出せると思ったら大間違いである。
俺は小動物並みに警戒心高いからな?
それに、たかがハイガーディアン程度じゃ敵にもならない。
見ていたのならわかっているはずだ。
「リソースを無駄にしたくないのならば、お前が直接来いよ」
ダンジョンコアが直接挑みに来る場合。
自在に力を使うにはコアごと持ってこなきゃいけないのだ。
大量に資源抱えてるかもしれないけど、一から作り直し。
「そのパターンが俺にとっては一番都合がいい」
そしたら全員でタコ殴りにしてやる。
「それは無理なお話です。貴方が来てくださいよ、待ってますから」
「呼ばれてのこのこ向かうほど馬鹿じゃないぞ」
「ええ、それはわかってますよ。回り道ばかりですよね?」
「回り道っていうか、関係ない道歩いてたらお前らがいるだけなんだけど……」
マジで迷惑。
そっとしておいて欲しいんだけどね。
「運命感じますね」
「感じないキモい死ね」
「手厳しいですね。でも、キモキバさんのおかげで貴方は来るはめに?」
「……まあね」
それに関しては何も言い返せない。
あいつがそれを見越してセブンスを攻撃したとは思えないからだ。
ただの偶然だと、思いたいんだけどな……。
「これ、もしや……運命じゃないですか?」
「うるさいな……とりあえずさ、関係ない話やめにしない?」
「そうですね」
「この場に声だけでも姿を現したっていうことは、要件があるんだろう」
沈黙は金だと言ったこいつのことだ。
何かしらの目的があって、アンダンテの口を借りている。
直接対決が運命付けられているのならば……。
そこで話せばいい。
「貴方に少しだけ、確認しておきたいことがあります」
「なに?」
「どうして、この世界に呼び出されたのでしょう?」
「知らないよ。偶然巻き込まれただけなんだけど?」
「偶然ですか、そうですか……」
少しだけ間を置いて、ビシャスは言う。
「私も偶然だと思っていたんですけどね、最初は」
「どういうことだ」
「ただ、巻き込まれただけの小さな存在だと思っていたんですけども……貴方は想像以上に強くなった。ダンジョンコアとの繋がりも得た。だったら、貴方と一緒に召喚されたあの高校生たちはいったいどう言うことでしょう? 私の想定していた運命からは大きく外れて、今ではただの眠り姫」
「ッ」
クロイツで眠ったままの状況を、なぜ知っている。
「私が知らないと思いました? 情報収集は得意分野ですよ? 興味あることにはなんでも首突っ込んじゃいます。我ながら難儀な趣味趣向だとは思っているのですがね、コントロールできないんですよ~」
「眠った勇者たちをどうする気だ。まさか人質とでも言い張るつもりか?」
「いいえ、そんな無粋な真似はしませんよ。配役的には何も成してない存在ですしね。いらない子です」
「いらない子、だと」
知らない世界に呼び出されて。
大人に色々と吹き込まれて。
変な使命を背負わされて。
色々と面倒なことはあったけど。
明確な嫌悪を俺は示したけど。
おもちゃ扱いするのは絶対に違うと思った。
「お前みたいなやつがいるせいでな、尻拭いが大変なんだよ」
一時期は朽ち果ててしまえとか、考えた。
隙あらば、な状況になっても俺は殺すことはできなかった。
邪魔なら消せばいいじゃん、なんて言う人もいるだろう。
なぜかできなかった。
「別に、拭わなきゃいいじゃないですか」
「そんな簡単な話だったらどんなに楽だったことか……」
「さて、ひーふーみー」
聞いてねえし……。
ビシャスは、アンダンテの目だけをぐりんと動かして急に数を数えだす。
「やはり貴方は3体までしか召喚できないみたいですね?」
「それがなに?」
隠してないから、別に確認されたところでどうってことない。
どうせ対抗するために八大迷宮の内三つと組んだんだろうし。
「一人で勇者一行みたいな感じなんですね、貴方」
「全然ちげえよ」
図鑑のスロットが3つまでだからだ。
だが、この事実は黙っておく。
死んでも生き返るって情報も、割れてるかもしれないが黙っておこう。
「そんな勇者一行様に、さらなる困難を与えましょう」
パチッ。
ビシャスはアンダンテのボロボロの腕を持ち上げて、指を鳴らす。
その瞬間、あたり一面が一気に揺れだした。
「邪竜の封印にも細工を施していましたけど……、一緒に封印された憤怒さんのにも同じ細工がしてあります」
=====
※書いてる途中でうんこ漏れそうになりました。
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