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本編
766 憤怒の目覚め
「な、なんじゃと! ビシャス、お前は正気かの!?」
同じ細工がしてあると聞いて、ラブが血相を変える。
この自身は、胎動みたいなもんだ。
凍てつく氷の封印が解かれ、憤怒の力が徐々に高まって来ている。
「面倒なことしてくれたな、ビシャス」
「今までの困難は勇者一行に、とばかり思ってましたが……ねえ?」
ボロボロの顔で微笑みながら、続ける。
「実際に困難を解決していたのは、蓋を開けてみれば貴方でしたし」
「何が言いたい」
「憤怒の目覚め程度、別にどうってことないんでしょう?」
いつも通り処理してください、みたいな感じで言われても。
レベルが違うだろ。
ダンジョンコアを相手取ったことはあったけども……。
実際やられてるんだけど……左腕噛みちぎられたし。
「俺もそうだが、お前もどうしようもなく性格悪いな」
「伊達に悪意のビシャスとは呼ばれておりません故」
フフフと軽く笑いながら、ビシャスは言う。
「さて、アンダンテは大して強いスキルも持たない試作型のハイガーディアンです」
「……」
「今後、ハイエンドが待ち構えておりますので、ここいらで憤怒を倒してレベルアップしておいてくださいね!」
「ちっ」
思わずアンダンテの首をはねてしまった。
言い方に大きくムカついたからである。
そのまま切れ落ちた頭を踏み潰した。
守護者でも普通の生き物と変わらない。
頭部を構成するモノが撒き散らされた。
「トウジ……」
「ここいらでレベルアップだ? ふざけやがって」
難易度を考えろ。
ダンジョンコアを倒す方が、まだマシである。
最終兵器のレガシーちゃんを用いれば余裕だ。
相手を絶対殺すマンのレガシーちゃんだけど。
決戦前にあまり使いたくない手だった。
完全なる初見殺しにして起きないのである。
もっとも、憤怒はラブの父さんだから、使うことはないのだがな。
「はあ……この状況どうしよう……」
「トウジ落ち着いて? リソースがないとダンジョンは弱いのよね?」
「まあそうだけど」
「だったら、今のうちにジュニアに接収させるって方法はどうかしら」
「ダンジョンを?」
「そうダンジョンを。可能限界まで、憤怒を弱らせるのよ」
さすがイグニール。
こういう時冷静でいてくれるのは心強い。
俺たちができる最善策と言えば、それだ。
最悪、邪竜三兄弟に頼ることになるんだけど。
あまり使いたい切り札ではない。
レガシーちゃん同様、最終局面でこそ活躍する奴らだ。
切り札は最後の最後まで取っておきたい。
それが男心と言うもんさ。
いや違うか、性格悪いやつ心って感じか。
男心があるならば、持てる力を出し尽くしてる。
「ジュニア! 早速──」
「──無理だぞ」
希望は絶たれた、即答で。
「え……」
「見るからにやばそうだから、押さえ込もうとしてるんだけど……弾かれてる。こりゃ相当だぜ」
冷や汗を流すジュニア。
珍しく険しい表情をしていた。
「わしも、さっき管理権限がパパの元に帰って、代理じゃなくただの守護者になったんじゃー」
「マジか」
ってことは、リアルガチのマジで憤怒は眠りから目覚めてしまっている。
「ロイ様、ポチ、一旦キングさんとフォルに切り替えるぞ!」
「承知」
「ォン!」
すぐさま、グレイトキングにアップデートして、対抗策を練らなければ。
フォルの枠は……どうする?
クリティカル持ちのロイ様?
それとも、反射にワンチャンかけてゴクソツを出すか?
どうする、考えろ。
ジュニアはダンジョンコアとの戦いでは必須。
俺の持てる資源の全てを用いてもらう。
他に、他に、何かうまい具合に使える手立てはあるのか。
やはりレガシーちゃんか?
そして邪竜三兄弟を召喚して、共闘してもらうか?
「トウジ!」
いや、そんなことして万が一にも殺してしまったら……。
「──トウジ!!」
「ん?」
「前を見なさい、崩れるわよ、崩れる!」
召喚のメンツを悩んでいる刹那である。
ジュニアの支配下に置かれているワンフロアに亀裂が入っていた。
「ジュニア!」
「やってるよ! 現在進行形で耐えようとしてる! けど──」
堪えきれずに、ジュニアの持っていたダンジョンが飲み込まれた。
ドバッ、と。
亀裂から溶岩のようなものが吹き出して、あたり一面を染め上げる。
「こ、これは……」
「パパの怒りは、文字通り噴火のごとき灼熱なのじゃ」
「権限しなさいイフリータ! 火の加護!」
すぐに杖を振るって炎の大精霊を出現させるイグニール。
全員に強い加護を付与して、このマグマは防ぎきれるもんなのだろうか。
俺もイフリートを呼び出して、マグマを防ぐべきなのだろうか。
「う、あ」
焦りが心に広がって、思考が追いつかなくなってくる。
噴火、地震、本能が怖がってるようにも思えた。
「トウジ! 早くキングを出せ!」
「あっ」
そうだ、まだ出してなかった。
すぐに召喚する。
そしてフォルも一緒に呼び出して、グレイトキング状態に──
「──誰だ、誰が起こした。いったい誰が目覚めさせた。お前らか、お前らか!」
青く長い髪の毛に、龍のような翼を生やした男が壁を突き破りマグマの中から現れる。
「パ、パパ! わしじゃ! ラブじゃ、ラブじゃよ! こやつらは仲間じゃ!!」
「──喧しい、消えろッッ!!」
完全に逝っちゃったような白目の形相。
ラブの呼び声は全く届かず、俺たちはマグマの濁流に飲み込まれた。
=====
ぱぱぁ
同じ細工がしてあると聞いて、ラブが血相を変える。
この自身は、胎動みたいなもんだ。
凍てつく氷の封印が解かれ、憤怒の力が徐々に高まって来ている。
「面倒なことしてくれたな、ビシャス」
「今までの困難は勇者一行に、とばかり思ってましたが……ねえ?」
ボロボロの顔で微笑みながら、続ける。
「実際に困難を解決していたのは、蓋を開けてみれば貴方でしたし」
「何が言いたい」
「憤怒の目覚め程度、別にどうってことないんでしょう?」
いつも通り処理してください、みたいな感じで言われても。
レベルが違うだろ。
ダンジョンコアを相手取ったことはあったけども……。
実際やられてるんだけど……左腕噛みちぎられたし。
「俺もそうだが、お前もどうしようもなく性格悪いな」
「伊達に悪意のビシャスとは呼ばれておりません故」
フフフと軽く笑いながら、ビシャスは言う。
「さて、アンダンテは大して強いスキルも持たない試作型のハイガーディアンです」
「……」
「今後、ハイエンドが待ち構えておりますので、ここいらで憤怒を倒してレベルアップしておいてくださいね!」
「ちっ」
思わずアンダンテの首をはねてしまった。
言い方に大きくムカついたからである。
そのまま切れ落ちた頭を踏み潰した。
守護者でも普通の生き物と変わらない。
頭部を構成するモノが撒き散らされた。
「トウジ……」
「ここいらでレベルアップだ? ふざけやがって」
難易度を考えろ。
ダンジョンコアを倒す方が、まだマシである。
最終兵器のレガシーちゃんを用いれば余裕だ。
相手を絶対殺すマンのレガシーちゃんだけど。
決戦前にあまり使いたくない手だった。
完全なる初見殺しにして起きないのである。
もっとも、憤怒はラブの父さんだから、使うことはないのだがな。
「はあ……この状況どうしよう……」
「トウジ落ち着いて? リソースがないとダンジョンは弱いのよね?」
「まあそうだけど」
「だったら、今のうちにジュニアに接収させるって方法はどうかしら」
「ダンジョンを?」
「そうダンジョンを。可能限界まで、憤怒を弱らせるのよ」
さすがイグニール。
こういう時冷静でいてくれるのは心強い。
俺たちができる最善策と言えば、それだ。
最悪、邪竜三兄弟に頼ることになるんだけど。
あまり使いたい切り札ではない。
レガシーちゃん同様、最終局面でこそ活躍する奴らだ。
切り札は最後の最後まで取っておきたい。
それが男心と言うもんさ。
いや違うか、性格悪いやつ心って感じか。
男心があるならば、持てる力を出し尽くしてる。
「ジュニア! 早速──」
「──無理だぞ」
希望は絶たれた、即答で。
「え……」
「見るからにやばそうだから、押さえ込もうとしてるんだけど……弾かれてる。こりゃ相当だぜ」
冷や汗を流すジュニア。
珍しく険しい表情をしていた。
「わしも、さっき管理権限がパパの元に帰って、代理じゃなくただの守護者になったんじゃー」
「マジか」
ってことは、リアルガチのマジで憤怒は眠りから目覚めてしまっている。
「ロイ様、ポチ、一旦キングさんとフォルに切り替えるぞ!」
「承知」
「ォン!」
すぐさま、グレイトキングにアップデートして、対抗策を練らなければ。
フォルの枠は……どうする?
クリティカル持ちのロイ様?
それとも、反射にワンチャンかけてゴクソツを出すか?
どうする、考えろ。
ジュニアはダンジョンコアとの戦いでは必須。
俺の持てる資源の全てを用いてもらう。
他に、他に、何かうまい具合に使える手立てはあるのか。
やはりレガシーちゃんか?
そして邪竜三兄弟を召喚して、共闘してもらうか?
「トウジ!」
いや、そんなことして万が一にも殺してしまったら……。
「──トウジ!!」
「ん?」
「前を見なさい、崩れるわよ、崩れる!」
召喚のメンツを悩んでいる刹那である。
ジュニアの支配下に置かれているワンフロアに亀裂が入っていた。
「ジュニア!」
「やってるよ! 現在進行形で耐えようとしてる! けど──」
堪えきれずに、ジュニアの持っていたダンジョンが飲み込まれた。
ドバッ、と。
亀裂から溶岩のようなものが吹き出して、あたり一面を染め上げる。
「こ、これは……」
「パパの怒りは、文字通り噴火のごとき灼熱なのじゃ」
「権限しなさいイフリータ! 火の加護!」
すぐに杖を振るって炎の大精霊を出現させるイグニール。
全員に強い加護を付与して、このマグマは防ぎきれるもんなのだろうか。
俺もイフリートを呼び出して、マグマを防ぐべきなのだろうか。
「う、あ」
焦りが心に広がって、思考が追いつかなくなってくる。
噴火、地震、本能が怖がってるようにも思えた。
「トウジ! 早くキングを出せ!」
「あっ」
そうだ、まだ出してなかった。
すぐに召喚する。
そしてフォルも一緒に呼び出して、グレイトキング状態に──
「──誰だ、誰が起こした。いったい誰が目覚めさせた。お前らか、お前らか!」
青く長い髪の毛に、龍のような翼を生やした男が壁を突き破りマグマの中から現れる。
「パ、パパ! わしじゃ! ラブじゃ、ラブじゃよ! こやつらは仲間じゃ!!」
「──喧しい、消えろッッ!!」
完全に逝っちゃったような白目の形相。
ラブの呼び声は全く届かず、俺たちはマグマの濁流に飲み込まれた。
=====
ぱぱぁ
感想 9,840
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