装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

775 力こそパワー

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「よし、気合い入れていこうかキングさん」

「プルァ! 主よ、もちろんだ」

 相撲のはっけよい感覚でプルァと吼えたキングさんと征く。
 八大迷宮のダンジョンコア?
 そんなこと言われてもやばいもんは止めないと行けません。
 平和に暮らせそうにないからだ。

 勇者一行が原因不明の深い眠りについている、今。
 尻拭いだったものがダイレクトで押し寄せて来る。
 そんな心持ちだ。

「憤怒はかなりやばいし! トウジ、どうするし!」

「ん?」

 今にも攻撃を仕掛けてきそうな憤怒を前に。
 怖気付いたような表情をするジュノー。

「まあ、とにかくフードの中にいろ。そこは俺が死守するから」

「で、でも!」

「良いから。それと、どうするかってのは決まってるよ」

「うむ」

 頷くキングさん。
 俺たちにできることと言えば、決まってるんだ。

 思えば……。
 小難しいことからは基本逃げの一手を打ってきた。
 だから、直接お越しになってるこの状況。
 考えてみれば、一番マシな状態なのかもしれない。

「でっかくなるんだよ」

「プルァ!」

 小人の秘薬二回使用。
 それだけで俺たちの体は怪物クラスに変貌を遂げる。

「……結局いつもと同じだし?」

「うん」

 それしかやることないからね。
 でもキングさんはでっかくなった後、ちっちゃくなれる。
 とんでもない密度にまで、体内の水分を凝縮できる。

「──プルァアアアアアアアアアアア!」

 その結果生まれるのが、スライムを超越したスライム。
 膨張後の縮小化ですら山を崩すレベルだったんだ。

「とんでも巨大化した後に無理やり体を小さくしたら、どうなると思う?」

「ど、どうなるし」

「それは俺も知らん」

「ええーっ!」

「まだ見たことないからね。つーかお前どこにいるんだよ」

 服ごと巨大化したから、フードなんてそこそこ距離できてるはずなのに。
 ジュノーの声が不思議と耳元に聞こえて来る。
 テレパシーでも覚えたのだろうか。

「耳のくぼみにいる」

「……」

 なんか痒い。

「ふー」

「あふん……おい、やめろ!」

 今からキングさんと憤怒の超絶バトルが始まるんだぞ。
 暴食と戦った時も見ることはなかった。
 ペナルティ巨大化後の縮小化。

 今後のダンジョンコア戦に向けて、しっかり見ておかないと。
 ついでに言えば、どこかで監視がついていることも懸念して。
 今この場で俺たちの圧倒的な力を見せつけるということもある。

 ビシャスの分体はぶっ飛ばした。
 見る影もなく一瞬で潰した。
 分体だからドロップアイテムが確認できないのが残念だが、一撃だ。

 でもどうせ、いるんだろ。
 とにかく裏の裏をかかれ続けていると加味すれば、怖くない。

 よく言うだろ、だろう運転は危険だって。
 かもしれない運転が大事だって。
 免許持ってないけど。

「キングさん!」

「うむ、あとは任せておけ。万に一つもあり得ないが……何かあれば、頼む」

 俺と同じく巨大化し、そして普通のスライム状態に縮小化。
 準備万端となったキングさんが、言う。

「憤怒よ、貴様が八大迷宮であるという意味に敬意を込め、殺す気で行くぞ」

「ガアアアアアアアア!」

 もはや会話にもならないくらい昂ぶった憤怒に、一気に突っ込む。

「プルァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 マグマの本流をその身に受けても、キングさんは止まらない。
 体表面を掠め、ダメージを受けた瞬間から無敵が入るのだ。
 それがわずか数秒の時間だとしても、ひっくり返すのがキングさん。

 ドッ。
 激しい衝撃波が最奥の部屋に吹き荒れる。

 もうどう表現したら良いのかわからないくらい、とんでもない衝撃。
 堪えるので精一杯だ。

「大きくなったのに、トウジはやっぱり戦わないし?」

「たから負傷してるからな! つーか、意味あるだろ!」

 この衝撃波の中を生き残れるだけの耐久力を持つんだ。
 小さかったら激しくぶっ飛ばされ、いろんなところに体をぶつける。
 でも大きくなったおかげで、こうして堪えることができるのだ。

「そんでな、俺のアイテムもでかくなるから都合がいいんだよ」

 秘薬系、結構ジュニアが消費してるっぽいからね。
 巨大化した瓶の中身を小分けして使うことも可能。

「その辺はお前の仕事!」

「な、何したらいいし?」

「ポーションの大きさ24時間持つから、ストレージに入れてそっから小瓶に小分けして」

「えっ、今から!?」

「いや、一回自分のダンジョンにおいてガーディアンにさせりゃいいだろ……」

 オデッセイに行く時、ガーディアン作って護衛に回したからな。
 労働力は生産してあるから、そいつらに補充させればいい。

 でかくする→小分けする→量産。
 効果時間が切れた後、質量が戻るのは元の瓶の中身だけ。
 ぶっちゃけ潜在能力付きの装備を作るよりも、チートである。

 ちなみに前から考えてはいた。
 でも面倒だし、しなくても十分な量があったからだ。

「その辺のリソースを増やせば、ジュニアも強くなる」

「う、うん」

「みんなで戦ってんだ。俺たちは家族だから」

「うん!! あたしも頑張るし!!」

 よし、少しだけ目に元気がなかったジュノーだったけど。
 これでいつもの瞳に戻った気がする。
 まったくビシャスめ、どんな脅しを使ったんだろうな?
 マジでコテンパンだコテンパ──

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

「プルァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

「おわあああああああああああああああああああ!」

 とんでもない爆発が起こってゴロゴロと転がされてしまった。
 水と炎がある場所で、力と力のぶつかり合い。
 色々とやばい要素が揃ってんだから、そりゃそうか。

「ジュノー、俺……大丈夫だよな?」

「なんで今それを聞くし……」




=====
トウジ後日談

 誰かが言った。
 力こそ、パワー。
 その通りである。

 あとは、守りこそ、ガード。
 知能指数落ちてそうだけど、この世の真理な。
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