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本編
782 デスペナルティとは、いかに
しおりを挟む墓ドロ状態──、それはデスペナルティと呼ばれるものである。
俺がやっていたゲームの場合は、死んだら墓が上から降って来た。
だから、墓ドロップ、略して墓ドロと呼ぶのである。
例に漏れず、意識を失った瞬間のことだ。
ピューっと空から墓が降り落ちて来て……。
俺の隣にいたイグニールの頭の上にストンと乗った。
何この状況、神かと思った。
幽霊状態になってしまいながらも、俺がこの場にいる。
それはイグニールの頭の上に見えない墓があるからだ。
奇跡だな。
普通その場から遠くまでは動けないはずなんだけど。
幸運にもイグニールのつむじの上に墓があるおかげで。
俺はこの場にいるのである。
『いつもだったら、平気な顔して笑ってるわよ!!』
久しぶりに見たヒステリックな笑い方。
この時、俺はみんなの目の前でオロオロしていた。
みんなに見えない墓もイグニールの頭の上にある。
どうしよう、生きている。
いや、厳密に言えば死んでるんだけど、いるんだよ。
元の体はどうなるのやら、と思ったのだが。
普通に動かざる屍って感じ。
目とか見た感じ、本当に死んでるな、と……。
あ、ちょうど今。
蘇生を施すとか言いながら、ウィンストが氷漬けにした。
俺の部屋を封じて、その部屋ごと氷漬けである。
「よし、一先ずこれでいいか」
良いのか?
よくないだろ、生き返らせろよ……。
「くそ、蘇生か……師匠に聞きに行くしかないか……」
悪態をつきながら、俺の部屋のドアの前で呟くウィンスト。
知らないのだろうか。
いや、彼は一度死者を蘇らせるために奮闘した。
だから知っている。
でも、それはやってはならないことだってことも。
身を以て味わっているのだ。
……死んだものは禁忌を犯さねば戻ってこない。
戻って来たとしても、それは前とは違う可能性。
死霊術という発言がなかったのは、その辺の危険度を省みてだ。
このまま行くと、イグニールとか一番危ないからな……。
性質的に。
言わないでいてくれて、本当に助かるよ。
ウィンスト。
さて、俺は俺でどうしようか。
半透明で頭の上に金色の輪っかがあるいかにもって状態。
ゲームの世界であれば、デスペナ状態も見えるのだけど。
俺以外の連中は見えないってのが少し辛かった。
戻る方法は、ゲームだったら街で復活するボタンを押せば良い。
ただそれだけなのだが……。
(ねえ! ボタンがねえぞ! どうなってんの!)
ボタンを押さなくても、時間経過とともに10分くらいで街に戻される。
はずなのに、なんで俺は家に戻って来てからも幽霊やってんだ!
(おいおいおいおい、マジでどうすんのこれ!)
このままずっと、幽霊のままってのはさすがに嫌なんですけど。
どうしたら良い、何をすりゃ復活できるんだ?
呪文か?
復活の呪文を唱えたりするのか?
うーむ。
インベントリとか何も使えない。
何か使えそうなアイテムを探ることもできないぞ。
まあ、死亡を回避するアイテムなんかないけどな。
(はあ、とりあえず骨待ちだな……)
あいつだったら、俺が幽霊になってるのも見えるだろ。
そのボーンアイとかいう謎の目で。
そしたら、一応幽霊になってまだピンピンしてる。
だから復活するまで待ってくれ、と告げるのだ。
どうやって復活したら良いのかわからない都合上。
これはこれで死んでることと同じ意味なんだけど。
「イグ姉、開けてや……うち、心配よ」
(む、マイヤー……)
イグニールの部屋の前でマイヤーが心配そうな顔をしている。
かなり取り乱していたからな……仕方ないだろう。
(……お姉様お姉様)
(ん?)
そしてマイヤーの後ろで、何かがふわふわしていた。
(お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様お姉様)
うわっ。
=====
ここへ来て(笑)
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