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本編
790 デスペナルティ、死の対価
しおりを挟む(で、俺は怨嗟の鎖に頼ることで、再び元の体にしまってもらおうと思ったわけなんだよね)
(ふむふむ、それだとまた面倒ごとの繰り返しでは?)
怨嗟の鎖を利用した案を骨に話すと、ニコニコしながらもはっきりと返された。
骨の姿なら良いものの、今の姿だと少しだけドギマギする。
(再び捕まえようにも、捕まえた時の話を聞くに、2度目は難しいでしょうね)
(やっぱり?)
たまたまブチギレさせて、そこに力を集中させた。
だから、とっ捕まえる隙ができたのである。
一度外に出したら、次は2度と捕まえられなくなるな。
俺だったらそうするし、同じヘマはしない。
(でも他に方法が思いつかなくてさ……どうやったら復活できるんだろうって)
(そもそも、その生き返れる自信ってなんなんですか社長)
話に入って来たローディの今更の疑問。
ネトゲの死亡状態だから、実質死んではいないだけなのだが……。
どう説明したら良いのだろうか、非常に迷うところである。
自室で氷漬けにされる姿を見れば、実際死んでるんだよな。
戻らなければ戻らないで死んだことと同じだし……。
(まあ、俺は特殊で死んでも幽霊状態になって元に戻れる可能性があるんだよ。そういうスキル)
(死後もチャンスが残されてるって、とんでもないミラクルスキルじゃないですか……)
適当にそう言う感じのスキルだってことにしておいた。
実際そんな感じだしな。
(もし復活した時、骨になってたらどうしますぞ?)
(あー? そんなの想像もしたくねえよ)
でも、もし同じ運命を辿る様だったらの話。
(それが原因でイグニールに振られたら、骨と骨同士でよろしくやってくしかないね)
(あら、あらあら、これはもしや愛の告白ですぞ~?)
(お姉様と言うものがありながら、最悪の男ですね)
(いや、例えばの話だからね。俺は骨のままでいるつもりは毛頭ないぞ)
うん、絶対に元の体に生き返る。
泣かせてしまったイグニールに、すまんと謝りたいんだ。
俺の口から直接ね。
(そんでもって、骨も骨のままにしとくつもりは毛頭ないぞ)
骨の大きくて青い目を見据えて言う。
(約束しただろ? その元の美人な姿を取り戻すって)
寝ている勇者たちと共に、望めば元の世界に送り返す。
召喚者たちのケツを拭いてやろうじゃないの。
(トウジ様……お優しいのですね……)
(勇者たちを送り返すついでだ、ついで。そのためには最初に生き返らないと)
生き返るためには、どうすれば良い。
もともと聖女だった骨は、その辺の蘇生術なんか知ってるんじゃないか?
幽霊状態と周りの通訳の他に、俺はそう言う部分も期待していた。
(骨、蘇生の魔法とかってないの?)
(ありますぞ~)
(あるんだ!? まじか! 結構あっさり解決の糸口が見つかったな!)
さすが骨。
話が前に進まなくてうざいし、うっとおしい時があるけど。
今回ばかりはさすがに脱線するとマズイと思ったのか。
すんなりと俺の求める回答をしてくれた。
(でも、ですぞぉ……)
骨は少し苦い顔をしながら言う。
(なんだよ。こっちまで不安になる様な顔やめてよ……なに?)
(触媒に使うものが、トウジ様には少々酷かも知れないんですぞ)
(え……?)
まあ、命の代価にするわけなんだから仕方がない。
レベルが半減するとか、ステータスが10分の1になるとか。
目の前が真っ暗になってお金を半分失うとか。
今までゲットして来たアイテムを全てロストするとか。
うん、まだ許容範囲だ。
ジュノーのダンジョンに資源は十分あるし、また取りに行けば良い。
しかし、それが恋人の命とかだったら俺は別の方法を探す。
いやむしろ普通に怨嗟の鎖と契約した方がマシだ。
そしてそんな魔法を作ったやつをしばきにいくレベル。
(ゴクリ……)
固唾を飲んで骨の言葉を待っていると……。
(蘇生用の大魔法陣には、その……触媒としてアレを使うんですよ……)
(アレって何? もったいぶるな、一思いに言ってくれ)
(髪ですね)
(…………………………わっつ?)
今、なんとおっしゃいました?
(髪って言いましたよ社長)
すぐさまローディが無慈悲に伝える。
(……髪? 神のご加護のこと?)
(いや、毛髪の方じゃないですか、どうかんがえても)
ローディ、無慈悲。
(トウジ様、魔法陣の触媒として本人の毛髪を一定量用いなければならないのです)
どうやら魔法陣自体は、膨大な魔力があれば可能。
その魔力自体が膨大すぎて厄介なのだが……。
装備で盛りに盛ったイグニールの魔力、ダンジョンに蓄積した魔力。
さらにはウィンストの魔力を全て用いることによって達成可能とのこと。
残りは、本人の体の一部の毛髪。
俺が色々と気にしている毛の部分が重要とのことだった。
(ちょっと待って)
先ほどの骨のセリフに違和感を覚える。
(毛髪を一定量って、何その言い回し? 髪が短い人ってNGなの?)
(まあ、そうですぞ。だから昔の国のお偉いさんって髪や髭を伸ばしっぱにしてたんですぞ)
いやそんなこと言われてもな……。
髪はごくごく少量でいいのだったらまだしも、結構必要そうな言い回し。
(ちょっとだけ切るだけじゃダメなの?)
(むしろ足りるかどうかですぞ)
ぐあああああああああああああああああああああああ。
これは検討に値する。
さすがにそのデスペナルティは許容しづらい。
=====
ローディ「骨さんって、何カップあるんですか」
骨「忘れましたぞ~」ばるんばるん
ローディ「っていうか薄着な上に、なんでブラつけてないんですか」
骨「私の時代にはなかったんですぞ~、さらに大きくなって最初につけてたのもサイズが合わなくなったんですぞ」
ローディ「羨ましい……」
骨「薄着の理由は単純にあっつい砂漠地帯を歩いていたからですぞ~」
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