装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

792 過剰なる復活の儀


「全部むしるわよ! 余すことなく全部よ! むしり取ってくれる!」

 骨の説明により、俺の毛は全て刈り取られた。
 イグニールが万全を期して全部刈り取った。

 ご丁寧に、最近開発したバリカンと言う名の魔導機器をローディが持って来た。
 ストーキング行為を働いていたとか、そんな理由はひた隠しにして。
 お姉様、最近開発したバリカンの試作品です、と御都合主義を演じてだ。

(これ、蘇生してる最中なんだよな)

「そうですぞ」

 俺がその辺に幽霊になっていると周知されたから、骨は骨のままで普通に喋っている。

「ボン、トウジはなんて言ってるの?」

「まだうだうだ言って乗り気じゃないみたいですぞ」

「まったく、髪の一本や二本でうだうだ言わないの」

(全部じゃん)

「全部じゃんって愚痴ってますぞ」

 その伝え方悪意あるだろ。
 付け足すなよ。

「髪があってもなくてもトウジはトウジ! 私の旦那!」

 イグニールにそう言われると、もう何も言えなくなる。

「何も言わなくなりましたから、観念したっぽいですぞ」

「なんなら下も全部剃るわよ、万全にするためにね」

 丸坊主だなんて、人生で初めての体験だ。
 いや丸坊主どころが全身脱毛だ。

(ハハ、しばらく公衆浴場とか入れねぇなこりゃ)

「しばらく温泉に入れないって文句言ってますぞ」

 だから言うなって、独り言だろ。
 おちょくってんのか、おちょくってんだろ。
 こいつめ! 骨のくせに!

「大丈夫よ。なんか可愛いし。私も剃って二人一緒なら恥ずかしくないでしょ?」

「イグニールさんのその発言もどうかと思いますぞ……」

 夫婦脱毛プレイとか、どこの上級者だ。
 まだ何も先に進んでないってのにさ。
 ……ま、剃ってと言われたら喜んで剃らせていただきますが。

「ボン、全部回収したわよ?」

「でしたら、ウィンストさんが魔法陣を用意してくれている部屋に移動させましょう」

 別室では、骨にやり方を教わったウィンストが蘇生用魔法陣を準備している。
 そこに俺の体と毛を並べて、全員で魔力を流して蘇生するという算段だ。

(でもさ、聖女だったら普通に蘇生のスキルとか使えるんじゃないの?)

 こんな魔法陣を使わなくてもできるんじゃないか。
 なんとなくそう思って、骨に尋ねてみる。
 すると、骨はシュバっと霊体になって俺の前に来ると言った。

(もう使ってしまったんですぞ。多分、自分に)

(ああ、そっか)

 だから骨になっても生きている、という結果につながっているのだろう。
 死にたくないという思いが、そのスキルを勝手に発動させたのだ。

(変なことを聞いて悪かったな)

「いえいえ、良いんですぞ」

 だが、骨状態で復活したってことは、元の体は奪われた状態だと言える。
 すなわち、取り戻す可能性があるってことで良いのだ。
 可能性がゼロになったわけではなく、むしろ増えたとみて良いだろう。

(しかし、奪われたと思った性欲が幽霊になって戻るとは……)

 墓ドロしたことによって、色々とその辺がリセットされたのかな?
 ってことは、髪だって元に戻る可能性があるんじゃないか?

(希望が、希望が見えて来たぞ!)

「なんだかトウジさんの急にテンション上がりましたぞ」

「なんて言ってるの?」

 俺をお姫様抱っこして部屋を移動するイグニールの問いに骨が答える。

「死んで奪われた性欲が戻ったそうですぞ。それで希望がどうたらと」

「ふ、ふーん?」

 おい、その言い方は語弊があるだろ。
 そう言うことじゃないんだよ。
 復活した瞬間、イグニールと微妙な空気になったらどうするんだ。
 くそが。

「さ、連れて来たわよ!」

「うむ、こっちも準備は大方完了した。チビにも全力を出させる」

「ギャオ!」

 用意されたどでかい部屋に、どでかい魔法陣。
 その側にウィンストとドラゴン化したチビも待機。

「ありったけの魔力を込めれば良いんだし?」

「そうですぞ~」

「よ、よし、うちも微力ながら手伝うで!」

「俺も、トウジにはお世話になったからな、魔力回復に良い料理食って来た!」

 ジュノー、マイヤー、パインのおっさん。
 みんなが協力して魔力を流してくれるそうだ。

 ……なんだか、すごく嬉しかった。
 毛がどうとか、そう言う話は抜きにして。
 こうしてみんなが助けてくれる。
 そんな様子が、見ていて少し涙腺にきた。

「お姉様、私もお姉様のために頑張ります」

「ありがとうローディ。バリカンも助かったわよ」

「えへへへ」

 このストーカーは、なんかもう死ねって感じ。

「待て、フルチャージした飛空船の魔力も使おう。多いに越したことはないのだろう?」

「そうですぞ~」

 何故かローディとともにやってきたオスローも、でかいバッテリー五つを背に仁王立ちしていた。
 なんとも、大掛かりな蘇生の儀式である。
 全ての人の協力を受けて、一度死んだ俺は、再び異世界に爆誕するってことだ。

「……多分」

 いざ、みんなで魔力を流そうと言う段階で、骨がボソっとそんなことを呟いた。

(おいちょっと待て、多分ってなんだ、多分って)

(そんなこと言われましても、まさかこんなに大掛かりになるとは思いませんでしたぞ)

 シュボっと霊体になって俺に告げる骨。

(当初の予定ではウィンストさん、ジュノーさん、イグニールさんでいけると思ってたんですぞ)

(で、でも多いに越したことはないんだよな? ないんだよな?)

(ないです。多分)

(多分って何!)

 なんかいきなり怖くなってきたんだけど。
 本当に大丈夫?

(ま、トウジ様。大は小を兼ねると言うじゃないですかぞ~)

(……ば、爆発とかしないよな?)

(それはさすがに大丈夫だと思いますが、まあやってみてのお楽しみってことで)

 シュンッ。
 骨はそう言い残すと、自分の体に戻って号令をだす。

「ではいきますぞ~」

 みんなの魔力が魔法陣に流し込まれた。
 魔法陣がまばゆい光を放つ。

 もう、すごく明るい。
 なにこれぇ。

 霊体だった俺は、魔法陣の中にある自分の体に吸い込まれた。





=====
やりすぎ。
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