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本編
795 帰還
「って、トウジなんやその髪!」
抱きついてきたイグニールとジュノーの少し後ろから、マイヤーが驚いた声をあげる。
「え? 髪?」
そう言えば、さっきからなんか視界に邪魔が入ると思ったら、髪が伸びていた。
前髪が簾みたいになっている。
「なんじゃこりゃー!」
「いつの間にか、焼け爛れていた腕と千切れていた左足も復活しているな」
「……ほ、本当だ」
ウィンストの言う通り、ボロボロだった右腕と千切れていた左足が綺麗さっぱり治っている。
たぶんあれか、復活時に体は元に戻るとかそんな感じなのかな?
「ってことは……ある」
インベントリを確認すると、取っておいた左足が存在していた。
この世に俺の左足が2本も存在するという不可解な事態である。
「なんか髪の毛じゃまぁー!」
俺の後頭部にへばりつくジュノーがそんなことを言っていた。
「邪魔じゃねえ、大切なもんだぞ」
ライデン並みのキューティクルとまではいかないが、それなり。
うむ、それなりの髪質である。
坊主だったのに、ハゲ一直線だったのに、ここへ来て増毛。
死んで見るもんっすわ。
過剰な魔力のおかげで、なんか変な感じになったのかな?
体も軽いと言うか、なんと言うか。
少しだけ、体幹若返ってる気がしないでもなかった。
「これで何回死んでも復活できるな」
「何言ってんのよ、バカ言うのやめて」
「すいません」
流石に冗談にもほどがあったのでイグニールに怒られる。
まあ、あの時はHP1から一気に心肺停止だったけど。
本来ならすごく痛くて怖いことだ。
痛みを感じてなかったのがおかしいくらいなんだけど。
状況が状況だけに、興奮して感じなかったと思われる。
「そんなことより、何か穿いてくれないかね?」
「ん? そういや全裸だったな……忘れてた」
「忘れてたって、早くソレを隠してもらえないか!?」
なんだこいつ、一回俺に服脱ぎながら迫ってきたことあるくせに。
自分が全裸の男を見るのには抵抗があるのか。
「あ、あんな感じなんや……割と可愛いやん……」
「……」
服着よう。
マジマジと見つめられるのはちょっとな……。
後で恥ずかしくなりそう。
「よし、とりあえずこれでいつもの俺だ」
着替えてから、ポチ、ゴレオ、コレクト。
いつのもメンバーも出していく。
「ポチ公! 心配かけさせやがって!」
「アォン!」
「俺と料理の仕込みするって言ってただろうがよー!」
死んでからぶっちゃけ1日2日と経ってないのに。
みんなすごく長い間俺が死んでましたって感じのテンションだった。
まあ、いいでしょう。
無事に大団円だ。
色々とやることもできたが、こうしてまたみんなと会話ができて嬉しく思う。
「ね、トウジ! 早くミントを使ったデザートを作るし!」
「ああ、そうだな」
生き返って早々デザートとは、と突っ込みそうになったが。
ジュノーの気持ちは別のところにある。
「ラブちゃんとこにも持ってかないと!」
あれからラブと憤怒のダンジョンコアはどうなのか。
早いところ確認しにいかなければならない。
そしてみんなで美味い料理を食ってこそ、やっと解決って感じがするのだ。
「じゃ、このままみんなで行くか断崖凍土」
「大丈夫なの、トウジ? 調子が悪いとか」
「むしろ絶好調だよ」
心配してくれてありがとう、と心の中でイグニールに返しておく。
しっかし、やっぱりジュノーと女神ユノってそっくりだな。
こっちの世界に帰ってきて、ジュノーの顔を見て改めて思う。
名前の語感も似てるから、やっぱり何か繋がりがあるのだろうか。
=====
色々ありながらも1年間更新を継続できたことを誇らしく思います。
それもこれも、感想でも応援があったからこそです。
皆様のおかげで、ここまで頑張ることができました。
毎日更新も誇りに思いますが、みなさんがいてくれること。
それが、私の誇りです。
ちなみに、初期でカルマカルマ言っていたカルマ様って。
ぶっちゃけ怨嗟の鎖のことです。立場的に。(笑)
骨が見えちゃうらしいカルマ的なものは、そこ。
感想 9,840
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