装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

796 船の中での一幕


 髪の毛は、ポチにバッサリと前と同じ長さに戻してもらった。
 大切に保管して、もし死んだ時のために保管しておく。
 俺がインベントリに入れた状態だとダメなので、神棚に安置だ。

「よかったな怨嗟の鎖瓶、仲間が増えたぞ」

「……クソ死ね」

 久々に声を聞いたと思ったら、出てきた言葉がクソ死ねとは。
 コンコンしましょうね。

「ぐああああああああああああああああ!」

 さてと、カルマのお祓いも済んだことだし、行くか。
 断崖凍土まで、飛空船で飛び立つのだ。
 あの場にいた全員を連れ立って、ラブたちの元へ。

「何よ、髪くらい私に切らせてくれたっていいじゃない」

「それは御免被る」

 隣にいるイグニールがぶつぶつと聞こえるように愚痴を発していた。
 この愚痴は、俺の髪を切るといったイグニールを遮って、ポチに切らせたことに起因する。
 増毛剤をポーション製作で作れない今、髪を生やす手段は一回死ぬこと意味していた。
 そんな状況でイグニールに切らせるとか、自殺以外の何物でもないのである。

 嫁さんにそんなひどいことを言っていいのかって?
 それとこれとは話が別だぞ。

 だったら長いままでもよかったんじゃないかって?
 それもそれでライデンとキャラ被るだろ。
 あと、みんなの意見で、俺の長い髪の毛は鬱陶しいそうだ。
 くそが。







 それからみんなで飛空船へと乗り込み、断崖凍土へ。
 ワシタカ超特急なら飛空船を引いていたとしても6時間くらいでたどり着く。
 サモンモンスター以外のメンツは、あの場にいた全員ってところだ。

「うち、地味にダンジョンって初めてなんよね? やっぱ珍しいもんあんのやろか?」

「あると思うよ」

 立地的に、誰も立ち入ったことのない場所だって存在する。
 そこには歴史の中で淘汰されたものだってあったりすのだ。
 ダンジョンにしかない希少価値の高い物って扱いになる。
 もっとも管理するダンジョンコアによって立ち位置は大きく変わるけどな。

「断崖凍土は長い間代理人が管理していて、内部を大きく変えたのも最近だ」

 それまで外に遊びに出ることはあったようだが……。
 ラブの基本方針はあくまで父親を見守ることだからね。

「ほほ~! なんかワクワクしてくるなあ~、やっぱ寒いんやろか?」

「寒いと思うから、寒さを無効にする装備必ずつけといてね」

「はーい」

「社長、危なくないんですか……?」

「もちろん危険だけど、危なくない場所まで直通だから平気」

 ワクワクするマイヤーとは違って、ローディは魔物に対する恐怖からからイグニールにべったりだった。

「大丈夫よ、ローディ。私が守るから」

「お姉様ぁん」

「で……トウジ? なんで近づいたら離れるのかしら?」

「い、いやぁ……」

 生き霊になれるレベルのストーカーがその位置にいるからだぞ。
 それで俺は地味にイグニールを避けていて、その様子にムッとしたイグニールが俺に急接近。
 まるで極同士が同じ磁石みたいに近づいては離れるの繰り返しである。

「ちょっと」

「ハハハ」

「なによ」

「アハハ」

「お姉様、あんなのは放っておいて部屋でお話しませんか? こうして会うのも久しぶりじゃないですか」

「……そうね。トウジ、あとでね」

「は、はい」

 ローディが側にいる間は一緒にいるのは難しいな。
 寝首をかかれる恐怖がまだあのストーカー女にはある。
 ことを荒立てないためにも、距離を取るのが必要だ。

「ふむ、まだ見ぬ資源が眠る大迷宮の一番奥地に直通とは、類い稀なる人脈だ」

 オスローは、マイヤーとは違う観点での期待感を持っていた。

「知らないアーティファクトが眠っていたりするのだろうか?」

「知らんけど、聞いてみたら良いんじゃない?」

「あれば、一つ参考資料として借りることができないか一緒に聞いてくれ」

「なんで俺が」

「だって貴重なものなのだ。おいそれを知らない人間に渡せるものか」

 ダンジョンコアはそのへん特になんとも思ってないだろうけどな。
 つーか、アーティファクトを作った奴なら他の大迷宮にいる。
 そしてウィンストの案内を元に会いに行く予定ではあるのだが……。

 これを告げたらどうなるのだろう。
 神格化どころの騒ぎじゃないだろうしな、彼女ら研究者に取っての賢者って。

「そういえば」

「む?」

「骨が実は昔の賢者の仲間だったって知ってた?」

「なに!?」

 あ、知らなかったのか。
 昔の賢者というワードに対して、どんな反応をするのか。
 それで連れて行くか連れて行かないかを見てみようと思ったのだけど。

「なぜそれを先に言わない! 昔の賢者がどうだったのか、ぜひ資料を残さねば!」

 オスローは、すぐさま操船室へと駆け出していった。
 これは、賢者の前には連れて行かないほうが良いね。
 どんな粗相をするかわかったもんじゃない。

「……あ」

「……あ」

 一人、また一人と部屋から人がいなくなり。
 最終的にマイヤーと俺だけが部屋に残された。
 ポチはパインさんと船内で仕込みの途中。
 ジュノーとはピーちゃんとゴレオと一緒に甲板で危険な遊び中。

「トウジ」

 マイヤーがそそそ、と近づいて来て言った。

「言うの遅れたけど、その、結婚おめでとう」

「ありがとう」
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