装備製作系チートで異世界を自由に生きていきます

tera

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本編

843 欲望

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【サモンカード:スライムロイヤル】名前:ロイ
等級:レジェンド
特殊能力:クリティカル確率25%
特殊能力:クリティカル確率25%



 これが、ロイ様の特殊能力だ。
 クリティカル確率は合算なので50%として見てもらえればいい。
 クリティカルダメージの威力は、ゲームでは100%上乗せ。

 つまり、2倍である。

 反射のダメージ量は、元の攻撃の50%。
 クリティカルと合わせて、そのままの威力がアローガンスに返った。

「20%は何度も引くのに、50%はようやく一回、か……」

 それも運。
 されど運。

 俺はこれまで運を何度も相手にして、屈服させてきた。
 あ、戦闘じゃなくて、装備製作の話ね?
 今ある装備をこしらえるのに、どれだけの装備が消えていったかってことだよ……。

 1度きりしかない、生死をかけた運試しは流石に糞だと思う。
 しかし、何度もチャンスが巡り合ってくる状況ならば、だ。

「俺は何度でもやるぞ? 自分の攻撃でお前が泣き言を言うまでな」

 成功を掴むまで、心が折れることは絶対にない。
 頭がおかしいレベルの粘着体質だと思うが、元々俺はこんなもんだ。

「何度もって……トウジ、痛くないし?」

「痛い、はずよね……」

「多少痛くとも、当たりを引くためだと思えば我慢できる」

 そう答えると、ジュノーとイグニールはドン引きしていた。
 もしこの世界の通貨で課金ガチャを回せていたとしたら……。
 考えるだけでも恐ろしいね、きっと回しまくっていた。

「さすがに私も度が過ぎていると思うが、まあ、盟主がいいのならいいんだろうな」

「今更気にしても仕方あるまい、元からこんなもんだぞ、主は」

 散々な言われようだが、否定しないぞ。
 金やドロップ目当てに魔物乱獲するからね。
 たぶんその時の俺の表情はキングさんのにやけ面に酷似している……と、思う。

「で、どうするアローガンス」

 視線をアローガンスに戻して、言う。

「もう終わりか? 終わっちゃうのか? ん?」

「……ぐ、ぬ」

 煽られるまま放った強目の攻撃をその身に受けたからか。
 奴はまだ立ち上がれないでいた。

 分体ならば、すぐにでも立ち上がれそうなものだが……。
 ああそうか、結構心にダメージをおってんのね。

 散々煽り散らかして、結局立場が変わらないのだから仕方がない。
 立っているのは俺で、地べたに這いつくばってるのはお前。
 デコピンにこだわらずに、もっと別の攻撃とかをしていたらよかったのに。

 単純な衝撃波って、ボスキャラとしての持ち味を台無しにしている。
 憤怒とか暴食とか、最初から回復阻害してくる分、大変だったぞ。

「先に俺の大事なものをぶっ壊したのはお前だからな?」

「しつこい、であーる……」

「もう終わりなら、お前の大事なものもぶっ壊すぞ」

 請求書っぽくまとめておくと、俺の損害額はやばい。

 飛空船の主素材である竜樹は3億越えだ。
 自分で育てているし、予備もあるが、価値は基本プライスレス。

 中身のバッテリーもこの世に5台しかないのでプライスレス。
 積んでいた兵器もこの世に一つしかないのでプライスレス。
 飛空船の主要設備、価値は知らんけど贅沢に作ったのでプライスレス。

 ──みんなで乗った思い出、プライスレス」

 思い出補正のおかげで、同じものは2度と作り出せないんだぞ。
 新しい船を作るのにも、またしばらく時間がかかってしまう。
 まだまだやることたくさんあるってのに、どうしてくれるんだ。

 これから海を越えて、大陸を東に向かい。
 魔国、をさらに越えた砂漠にも行く予定が……どうしてくれる!

「とにかくこの損害を補填できるなら、この辺で手打ちにしてやる」

「ふん、話が長過ぎて頭に入ってこないであーる」

「耳も遠いだなんて、傲慢なのは歳のせいなのかな? あ、理解できないのはバカだからか」

 口喧嘩で俺に勝とうだなん、舐めんな!
 今の状況は明らかにこいつに非があるからな、負けないぞ。

「ぶち殺す、であーる! 我に回復する時間を与えたのが間違いだったであーる!」

「だから、何度やったって同じだって」

「貴様は一撃食らうごとに回復していたであーる!」

 そう言いながら、アローガンスは一瞬で俺に肉薄。
 至近距離、両手でデコピンの構えをとった。

「威力は下がるが、至近距離から連続攻撃をお見舞いするであーる!」

 ──ボッボッ!

「ッ! なんで聞いてないであーる!」

「言ったろ? 何度やったって同じだって」

 威力控えめだった分、吹っ飛ばされることなく堪えることができた。
 2撃目は、無敵時間発動してるからそもそもがノーダメージ。
 秘薬を飲みながら、言う。

「……つーか、両手でデコピン作るって……なんかダサくね?」

「うおおおおあああああああああああああ!!!」

 うわ、なんか怒号を上げ始めたんだけど。





=====
物理脳筋相手だと、基本的にトウジは対処しきります。
割と初期の段階から物理相手には固めてました。
もっとも、普通の人だったらデコピン即死なんで無理です。
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