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本編
877 明けて
しおりを挟む「よし、取り急ぎレベル10にはなったぞ」
翌日、天界神塔の下層にて俺はレベルをあげていた。
「力になれたようで何よりだ」
「ポチがおらんと、スイーツが食べれんからのぅ」
イグニールは何故か付いれ来れないらしく。
ヒューリーとラブの断崖凍土親子を連れてのパワーレベリングだった。
「なーんで我が手伝わないといかんのであーる」
俺たちの様子を見ながらぶつくさ文句をいうアローガンス。
「いいからガーディアンを出せ」
「そうじゃぞ! 出さんか!」
二人にそう言われて、アローガンスは渋々ガーディアンを作り続けていた。
俺との再戦を心待ちにしていたアローガンスだが、肝心の俺がレベル1。
それを伝えた時の愕然とした顔には、笑えたもんだ。
「これ、ついでにバニラもどこに隠しておる!」
「我に飛びつくなであーる! 上の方で栽培してるである!」
背中に飛びつかれ、髭を引っ張られるアローガンス。
傲慢も、幼女には弱いようだ。
ラブの言葉にもあったとおり、ここにはバニラがある。
ラブからもらったものもとっくに枯渇していた。
ここは、今までの慰謝料としていただいていきましょう。
「んー、しかし。なんか知らんけどレベルの上がりが遅いなあ……」
大量のガーディアンを狩るレベリング。
この世界では最高効率を叩き出すほどのものなのだが、俺のレベルはやっと10。
明らかに遅い。
グリーンラビットとかコボルトをちまちま倒しても数日くらいで達成できる。
レベル差による経験値減少とか、そんなゲームじみたシステムはないはずだ。
「おそらくだが、レベルやステータスを失ったとしても」
「中身は変わらないんじゃないかのう?」
「なるほど」
親子にそう言われて、素直に頷く。
失う前のレベルは128。
今の俺に必要な経験値自体は、その時のものと変わらない状態。
つまりそういうことなのだろうか?
明らかに遅いレベルアップスピードで、それは証明できる。
「マジかぁ……」
そんな代償があったとは、知らなかった。
言っといて欲しいんだが、そういうのは先に。
ユノにもらった力は、確かにすごい代物。
それをノーリスクで使えると思っていた俺が馬鹿だった。
とは言え、後悔はしてない。
反省して、使いどころとかを考えては行くが、後悔は一切していない。
やるべきことをするために、全力を尽くしたのだ。
そして、救いたい人が救われたと言っているのならば、それで良し。
「地道にレベル上げしていくか、な? ポチ?」
「アォン」
さっそく呼び出したポチは、俺の言葉に両手を上げて万歳。
抱っこの合図なので、抱きかかえてもふもふ。
はあ、癒されますね、これ。
「おほぉー! ポチなのじゃー! これでスイーツが食えるのじゃ!」
「アォン!」
喜ぶラブに、任せろと返事をするポチ。
今晩は、みんな揃っての食事か。
なんだか久々な気がする。
早くギリスに戻りたいけど。
船の時間とかあるだろうからしばらくここでレベル上げだな。
飛空船を失ってしまったのは地味に痛い。
それを盾に、アローガンスには協力してもらうぞ。
「そうじゃ! トウジよ!」
「ん?」
「今宵はとても大事な発表があるんじゃ!」
唐突にそんなことを言うラブに首をかしげる。
とても大事な発表。
「新しいアスレチックでも思いついたのか?」
「違うのじゃ!」
だったらなんだろう。
思い当たる節がない。
「どんな発表なんだ?」
「ふっふっふ、それは後のお楽しみなのじゃ」
「えー、気になるなあ……」
=====
ちょっと今後の展開を考えつつ、ちまちま更新を重ねていきます。
他の人がどうしているかなど、ちまちま触れて行くかもしれません。
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