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木漏れ日の願い
木漏れ日の願い・・・その10
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「死ぬかと思ったって、刑事さん?あの家で何かあったんですか?」
至って落ち着いて話していた紗耶香だったのだが、倉根の一言には流石に驚いたようである。
「ええ・・・まあ・・・ははは」
倉根は事件があった住宅を再捜査した時に遭遇してしまった出来事を話してみた。
というのも、ここまで話をしてしまったので今更隠しても仕方がないのでは?と思ったからである。
とはいえ、いくら遭遇したとはいっても、住宅で遭遇したその全ては心霊現象だったので、
それを聞かされた紗耶香がその出来事を信じるか信じないかは紗耶香が決めればいいわけなので、
それよりも、倉根がその遭遇した心霊現象を話してみようと思った理由は他にあった。
それは、亡くなった女性がまだ生きていた頃から旦那と関係があった紗耶香の反応である。
「なので、僕が一番驚いたのは、僕が天井裏を調査しようとした時だったんです」
「部屋のドアが突然閉まったっていう?」
「ええ、しかも、思いっきりですよ!思いっきり!あの時は本当に心臓が止まるかと思いましたよ」
「でも、それって、やっぱり心霊現象なんですよね?」
「今でも信じられないんですけどね!」
「聞かされている私もちょっと信じられないですけど・・・」
「2回目に調査に入った時なんか玄関の鍵が勝手に閉まるし、写真立てが勝手に移動するし、挙句の果てには包丁が飛んで来るしで、とてもじゃないけど生きた心地がしなかったんですよ!」
「なんか、とんでもないような現象が起きていたんですね」
「あっ!やっぱり信じていないんでしょ?」
「そういうわけではないんですけど、どうして私の時は何も起きなかったのかなって?」
「心霊現象ですか?」
「ええ、私の時だけ何も心霊現象が起きないってどうしてだろう?って思いません?」
「あっ、それでしたら、起きないのではなくて起こせないという事らしいですよ」
「えっ?」
「あっ、いえ、あの、僕ではなくて、その誰かさんの言葉なんですけどね」
「ふふっ、やっぱり居るみたいですね、その誰かさんが・・・」
「ええ、まあ・・・ははは」
「ふふっ。でも、どうしてその誰かさんは私には心霊現象を起こせないって思ったんでしょうか?」
「そこが僕にも分からないんですよね。困ったもので、そういう事は教えてくれないんです」
「変わった方なのですね、その誰かさんって・・・ふふっ」
「否定する根拠が見当たらないような・・・ははは。あの、少し立ち入った事になるんですけど、ひとつ訊いてもいいでしょうか?」
「かまいませんけど・・・何か腑に落ちない事でも御有りでしたでしょうか?」
「腑に落ちないというわけではないのですが、亡くなった奥さんは旦那さんと紗耶香さんの関係を知っていたんでしょうか?」
「きっと、奥様は知らなかったんじゃないかな?と思いますよ」
「ですよね・・・そうじゃなければ・・・」
「そうじゃなければ?と言いますのは?」
「あっ、すみません。ちょっと気になっただけですので気にしないで下さい」
「ふふっ。そう言われてしまいますと私の方としても気になってしまいますけど」
まあ、確かにかも・・・。
もし、亡くなった奥さんが旦那と紗耶香という女性との関係を知っていたのであれば
天井裏の件もそうだけど、そこまでして彼女の無実を守ろうとはしないはずだし。
それに、そもそも今回の事件にしても紗耶香という女性を信じているから出来た事なんだし。
そう考えれば、亡くなった奥さんが二人の関係を知らなかったというのも嘘ではないのかもしれない。
「あっ、あと、あの、先程言っておられました容疑者の件なんですけど」
「はい、それが何か?」
「えっと、今回の逮捕が冤罪ではないか?という話は別として、あの、ちょっと変な訊き方になってしまうのですが、紗耶香さんはどっちがお望みなのですか?」
「確かに、変な訊き方ですね?」
「ははは・・・。というのは、僕なりに紗耶香さんの話を整理してみるとですよ、極端な気がするんですよね?」
「極端・・・ですか?」
「ええ、と言いますのはですよ、もし殺人罪であれば長期の刑になるわけで、もし、犯人でなければおそらくは逮捕案件は大麻所持になると思うので、この場合はおそらくは執行猶予付きで釈放になるのではないかと思われるんですよね。これって、ある意味ですけど極端な結果という事になりません?」
「確かにそのようですね」
「それで、紗耶香さんはどちらかというと釈放になる方を望んでいるような気がしたもので、そこのところがちょっと気になったというか何というか・・・」
「なるほど・・・」
「なので、どうして紗耶香さんは容疑者が釈放される方を望んでいるのかな?ってちょっと不思議に思ったんですよ」
「それのどこが不思議なのでしょうか?」
「ええ、普通なら、何はどうあれ亡くなった奥様を苦しめて来た男なわけだから、出来るなら犯人として刑務所に入って欲しいって望むのではないかな?って思ったんです」
「かもしれまんね・・・」
「ですよね?それに、こう言っては身も蓋もないかもしれませんけど、たとへ真犯人がいたとしても、それに繋がるような証拠も何も見つからないと思うんです。これに関しては先程、紗耶香さんに言っていたと思うんですけどね、それなら、そのまま口を塞いだままでいれば容疑者は殺人犯として起訴されてしまうと思うんです」
「ふふっ。刑事さんの言葉とは思えませんけど」
「あははっ!まあ、それもちょっと置いときまして。なのでと言いますか、それなのに、どうして紗耶香さんは冤罪であるという事を強調するのかな?って。それに、こんな事を言ってはまたまた刑事の言葉とは思えないと言われそうですけど、容疑者の家族とはいっても紗耶香さんとはしょせんは他人なわけなのだから、どうして、そこまで冤罪にこだわるのかな?って思ったんです」
「ふふっ、刑事さんってとんでもない事を言うんですね?」
「ははは・・・それを言われますと・・・。でも、どうして紗耶香さんは刑務所行きではなくて釈放される方を望むのですか?」
「あの男が生きてるだけで許せないから」
急に堕ちていくような低い声で呟く紗耶香の言葉にその真意を探していまう倉根である。
至って落ち着いて話していた紗耶香だったのだが、倉根の一言には流石に驚いたようである。
「ええ・・・まあ・・・ははは」
倉根は事件があった住宅を再捜査した時に遭遇してしまった出来事を話してみた。
というのも、ここまで話をしてしまったので今更隠しても仕方がないのでは?と思ったからである。
とはいえ、いくら遭遇したとはいっても、住宅で遭遇したその全ては心霊現象だったので、
それを聞かされた紗耶香がその出来事を信じるか信じないかは紗耶香が決めればいいわけなので、
それよりも、倉根がその遭遇した心霊現象を話してみようと思った理由は他にあった。
それは、亡くなった女性がまだ生きていた頃から旦那と関係があった紗耶香の反応である。
「なので、僕が一番驚いたのは、僕が天井裏を調査しようとした時だったんです」
「部屋のドアが突然閉まったっていう?」
「ええ、しかも、思いっきりですよ!思いっきり!あの時は本当に心臓が止まるかと思いましたよ」
「でも、それって、やっぱり心霊現象なんですよね?」
「今でも信じられないんですけどね!」
「聞かされている私もちょっと信じられないですけど・・・」
「2回目に調査に入った時なんか玄関の鍵が勝手に閉まるし、写真立てが勝手に移動するし、挙句の果てには包丁が飛んで来るしで、とてもじゃないけど生きた心地がしなかったんですよ!」
「なんか、とんでもないような現象が起きていたんですね」
「あっ!やっぱり信じていないんでしょ?」
「そういうわけではないんですけど、どうして私の時は何も起きなかったのかなって?」
「心霊現象ですか?」
「ええ、私の時だけ何も心霊現象が起きないってどうしてだろう?って思いません?」
「あっ、それでしたら、起きないのではなくて起こせないという事らしいですよ」
「えっ?」
「あっ、いえ、あの、僕ではなくて、その誰かさんの言葉なんですけどね」
「ふふっ、やっぱり居るみたいですね、その誰かさんが・・・」
「ええ、まあ・・・ははは」
「ふふっ。でも、どうしてその誰かさんは私には心霊現象を起こせないって思ったんでしょうか?」
「そこが僕にも分からないんですよね。困ったもので、そういう事は教えてくれないんです」
「変わった方なのですね、その誰かさんって・・・ふふっ」
「否定する根拠が見当たらないような・・・ははは。あの、少し立ち入った事になるんですけど、ひとつ訊いてもいいでしょうか?」
「かまいませんけど・・・何か腑に落ちない事でも御有りでしたでしょうか?」
「腑に落ちないというわけではないのですが、亡くなった奥さんは旦那さんと紗耶香さんの関係を知っていたんでしょうか?」
「きっと、奥様は知らなかったんじゃないかな?と思いますよ」
「ですよね・・・そうじゃなければ・・・」
「そうじゃなければ?と言いますのは?」
「あっ、すみません。ちょっと気になっただけですので気にしないで下さい」
「ふふっ。そう言われてしまいますと私の方としても気になってしまいますけど」
まあ、確かにかも・・・。
もし、亡くなった奥さんが旦那と紗耶香という女性との関係を知っていたのであれば
天井裏の件もそうだけど、そこまでして彼女の無実を守ろうとはしないはずだし。
それに、そもそも今回の事件にしても紗耶香という女性を信じているから出来た事なんだし。
そう考えれば、亡くなった奥さんが二人の関係を知らなかったというのも嘘ではないのかもしれない。
「あっ、あと、あの、先程言っておられました容疑者の件なんですけど」
「はい、それが何か?」
「えっと、今回の逮捕が冤罪ではないか?という話は別として、あの、ちょっと変な訊き方になってしまうのですが、紗耶香さんはどっちがお望みなのですか?」
「確かに、変な訊き方ですね?」
「ははは・・・。というのは、僕なりに紗耶香さんの話を整理してみるとですよ、極端な気がするんですよね?」
「極端・・・ですか?」
「ええ、と言いますのはですよ、もし殺人罪であれば長期の刑になるわけで、もし、犯人でなければおそらくは逮捕案件は大麻所持になると思うので、この場合はおそらくは執行猶予付きで釈放になるのではないかと思われるんですよね。これって、ある意味ですけど極端な結果という事になりません?」
「確かにそのようですね」
「それで、紗耶香さんはどちらかというと釈放になる方を望んでいるような気がしたもので、そこのところがちょっと気になったというか何というか・・・」
「なるほど・・・」
「なので、どうして紗耶香さんは容疑者が釈放される方を望んでいるのかな?ってちょっと不思議に思ったんですよ」
「それのどこが不思議なのでしょうか?」
「ええ、普通なら、何はどうあれ亡くなった奥様を苦しめて来た男なわけだから、出来るなら犯人として刑務所に入って欲しいって望むのではないかな?って思ったんです」
「かもしれまんね・・・」
「ですよね?それに、こう言っては身も蓋もないかもしれませんけど、たとへ真犯人がいたとしても、それに繋がるような証拠も何も見つからないと思うんです。これに関しては先程、紗耶香さんに言っていたと思うんですけどね、それなら、そのまま口を塞いだままでいれば容疑者は殺人犯として起訴されてしまうと思うんです」
「ふふっ。刑事さんの言葉とは思えませんけど」
「あははっ!まあ、それもちょっと置いときまして。なのでと言いますか、それなのに、どうして紗耶香さんは冤罪であるという事を強調するのかな?って。それに、こんな事を言ってはまたまた刑事の言葉とは思えないと言われそうですけど、容疑者の家族とはいっても紗耶香さんとはしょせんは他人なわけなのだから、どうして、そこまで冤罪にこだわるのかな?って思ったんです」
「ふふっ、刑事さんってとんでもない事を言うんですね?」
「ははは・・・それを言われますと・・・。でも、どうして紗耶香さんは刑務所行きではなくて釈放される方を望むのですか?」
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