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24 クエストいろいろ
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「あの、バルタザール様。こちらのクエストですが、違約金はありませんが、難易度の方が……」
「大丈夫、大丈夫」
心配してくれる協同組合のエルフさんを大丈夫で押し切り、クエストを受注する。
このクエストもゲームにあったクエストだから攻略法を知っているからね。楽勝だろう。
「お手続きはしますが、ご無理はなさらないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
ここ数日、オレはゲームにも登場したクエストを中心に受注していた。攻略法を知っているというのもあるし、実はもう一つ目的もある。攻略法を知っているとはいえ、面倒なクエストばかりだが、これもオレとフアナが平穏に暮らすためだ。がんばろう。
◇
オレはウリンソンの南に広がるドデカい農場に来ていた。
計画的に作られたのか、角ばった感じの農場だな。四角く区切られた畑が並んでいる感じだ。
畑に水を行き渡らせるためか、水路のようなものが掘られているが、今は水がなく、空堀のようになっていた。
そんな農場の入り口で、オレはクエストの担当者と面会していた。
「え? キミがクエストを受注したの?」
そう言うのは、頭にウサミミを生やしたおじさんだ。彼は意外なものを見たような顔でオレを見ていた。
どうでもいいが、男同士なんだし、モフらせてくれねえかな?
「てっきり力自慢の種族か、魔法が使える種族が来てくれると思ったんだけど……」
「オレも魔法が使えるぞ? とにかくやらせてくれないか?」
「そういうことなら……。問題が起きたのはこっちだよ。付いて来て」
「ああ」
オレはおじさんに続いて農場の横の森の中へと入っていく。
おじさんのお尻には、丸くて小さいまるでポンポンのような尻尾がズボンが飛び出ていた。
モフりてえ……!
「ここだよ」
何度か手が伸びそうになるのを我慢しながら歩いていると、目的地に着いたようだ。
そこには大きな水路があった。たぶん、これが農場に水を供給している水路なのだろう。
だが、水路を流れる水はかなり少なかった。大きな岩が水路をせき止めているのだ。
「この岩をどうにかしてほしいんだ。手段は問わない。このままでは農場に水が来ないんだよ……」
「なるほどな」
ゲーム通りの展開だな。さて、どうするか……。
「やっぱり難しいかな?」
「いや……」
むしろ取れる手段が無数にありすぎて迷ってしまうほどだ。
ゲームでのフェリシエンヌのように剣で砕いてもいいし、魔法で砕いてもいい。いや、砕くよりも魔法で浮かせたほうがいいか。でも、どこに岩を置こう? となると、収納魔法で収納しておくのが無難か。後でどこか適当な場所に捨てればいい。
「決まった」
「決まった?」
「ああ」
オレはウサミミに頷くと、水路を塞ぐ岩にそっと触れた。
次の瞬間、岩が消える。
「ええええっ!?」
おじさんの驚く声と共に、せき止められていた水がドバッと流れ出した。
「これで大丈夫か?」
「え!? えっ!? えー!? どうなってるの!?」
「魔法で岩を消したんだ」
「すごいね!? 魔法ってすごいなあ!」
兎族は基本的に魔法を使えないから、余計にそう思うのだろう。おじさんは目をピカピカに輝かせていた。
今なら頼めばワンチャンモフらせてくれないかな?
「ありがとう! これで農場は救われたよ! 作物たちも枯れないで済む!」
「いや、オレは自分の仕事をしただけだ」
「それでもありがたいよ! そうだ! これからお昼だろう? ぜひ農場で食べて行ってくれ!」
「いいのか?」
「せめてものお礼をしたいんだ。そこでクエストの報酬も払うよ」
「そういうことなら」
「じゃあ、さっそく帰ろう! こっちだよ!」
ウキウキの兎のおじさん。その尻尾もさっきまでより元気に揺れていた。
もう、耐えられない……!
「なあ」
「なにかな?」
「変な意味に捉えてほしくはないんだが、尻尾を触らせてくれないか?」
「ええ!? ダメだよ!? 僕は男色じゃないんだ!」
おじさんが自分の身を守るように自分を抱いてオレを恐れを含んだ目で見ていた。
「え?」
「え? ってなにさ!? 意外そうな顔で見ないでよ!? 僕は男色じゃないぞ!? ちゃんと妻と娘もいるんだ!」
「いや、なんで妻と娘の話になるんだよ? オレはただ尻尾に触りたいだけで――」
「妻子なんて忘れさせてやるよってこと!?」
「違うが!?」
さすがに鈍いオレもここまでくるとおかしいことに気が付く。
なんでこんなことになってるんだよ……。
「なあ」
「ッ! な、なに?」
めちゃくちゃ警戒されてる!?」
「落ち着いてくれ。無理やり尻尾を触ったりしないから」
「ほ、本当だね……?」
「それより教えてくれ。獣人族にとって、尻尾を触るってのはどういう意味を持つんだ?」
「し、知らなかったの!?」
「ああ、知らない。よかったら教えてくれないか?」
「なんだ知らなかったのか。あ! ひょっとしてキミが今噂になってる亡命してきた男の子かい?」
「そうだ。だから、獣人族の礼儀とかに関してはよく知らないんだ」
「そういうことか……」
兎のおじさんはホッと一息吐くと、教えてくれた。
「子ども同士なら遊びで触ることもあるけど、大人の獣人族にとって、尻尾を触るのはかなり直接的なお誘いなんだよ。ほら、交わる尾っぽで交尾だろ? 尻尾を触らせてなんて言われたら、僕たちにとってかなり直接的なお誘い文句に感じるんだ」
「なるほど……」
欲望のままにおじさんの尻尾を触らなくて本当によかった。
そして、知らずに女性に対して、特にフアナに対して言わなくて本当によかった!
こんな話、ゲームにも設定資料集にも載ってなかったからな。危うく自爆するところだったぜ。
「大丈夫、大丈夫」
心配してくれる協同組合のエルフさんを大丈夫で押し切り、クエストを受注する。
このクエストもゲームにあったクエストだから攻略法を知っているからね。楽勝だろう。
「お手続きはしますが、ご無理はなさらないでくださいね」
「ああ、ありがとう」
ここ数日、オレはゲームにも登場したクエストを中心に受注していた。攻略法を知っているというのもあるし、実はもう一つ目的もある。攻略法を知っているとはいえ、面倒なクエストばかりだが、これもオレとフアナが平穏に暮らすためだ。がんばろう。
◇
オレはウリンソンの南に広がるドデカい農場に来ていた。
計画的に作られたのか、角ばった感じの農場だな。四角く区切られた畑が並んでいる感じだ。
畑に水を行き渡らせるためか、水路のようなものが掘られているが、今は水がなく、空堀のようになっていた。
そんな農場の入り口で、オレはクエストの担当者と面会していた。
「え? キミがクエストを受注したの?」
そう言うのは、頭にウサミミを生やしたおじさんだ。彼は意外なものを見たような顔でオレを見ていた。
どうでもいいが、男同士なんだし、モフらせてくれねえかな?
「てっきり力自慢の種族か、魔法が使える種族が来てくれると思ったんだけど……」
「オレも魔法が使えるぞ? とにかくやらせてくれないか?」
「そういうことなら……。問題が起きたのはこっちだよ。付いて来て」
「ああ」
オレはおじさんに続いて農場の横の森の中へと入っていく。
おじさんのお尻には、丸くて小さいまるでポンポンのような尻尾がズボンが飛び出ていた。
モフりてえ……!
「ここだよ」
何度か手が伸びそうになるのを我慢しながら歩いていると、目的地に着いたようだ。
そこには大きな水路があった。たぶん、これが農場に水を供給している水路なのだろう。
だが、水路を流れる水はかなり少なかった。大きな岩が水路をせき止めているのだ。
「この岩をどうにかしてほしいんだ。手段は問わない。このままでは農場に水が来ないんだよ……」
「なるほどな」
ゲーム通りの展開だな。さて、どうするか……。
「やっぱり難しいかな?」
「いや……」
むしろ取れる手段が無数にありすぎて迷ってしまうほどだ。
ゲームでのフェリシエンヌのように剣で砕いてもいいし、魔法で砕いてもいい。いや、砕くよりも魔法で浮かせたほうがいいか。でも、どこに岩を置こう? となると、収納魔法で収納しておくのが無難か。後でどこか適当な場所に捨てればいい。
「決まった」
「決まった?」
「ああ」
オレはウサミミに頷くと、水路を塞ぐ岩にそっと触れた。
次の瞬間、岩が消える。
「ええええっ!?」
おじさんの驚く声と共に、せき止められていた水がドバッと流れ出した。
「これで大丈夫か?」
「え!? えっ!? えー!? どうなってるの!?」
「魔法で岩を消したんだ」
「すごいね!? 魔法ってすごいなあ!」
兎族は基本的に魔法を使えないから、余計にそう思うのだろう。おじさんは目をピカピカに輝かせていた。
今なら頼めばワンチャンモフらせてくれないかな?
「ありがとう! これで農場は救われたよ! 作物たちも枯れないで済む!」
「いや、オレは自分の仕事をしただけだ」
「それでもありがたいよ! そうだ! これからお昼だろう? ぜひ農場で食べて行ってくれ!」
「いいのか?」
「せめてものお礼をしたいんだ。そこでクエストの報酬も払うよ」
「そういうことなら」
「じゃあ、さっそく帰ろう! こっちだよ!」
ウキウキの兎のおじさん。その尻尾もさっきまでより元気に揺れていた。
もう、耐えられない……!
「なあ」
「なにかな?」
「変な意味に捉えてほしくはないんだが、尻尾を触らせてくれないか?」
「ええ!? ダメだよ!? 僕は男色じゃないんだ!」
おじさんが自分の身を守るように自分を抱いてオレを恐れを含んだ目で見ていた。
「え?」
「え? ってなにさ!? 意外そうな顔で見ないでよ!? 僕は男色じゃないぞ!? ちゃんと妻と娘もいるんだ!」
「いや、なんで妻と娘の話になるんだよ? オレはただ尻尾に触りたいだけで――」
「妻子なんて忘れさせてやるよってこと!?」
「違うが!?」
さすがに鈍いオレもここまでくるとおかしいことに気が付く。
なんでこんなことになってるんだよ……。
「なあ」
「ッ! な、なに?」
めちゃくちゃ警戒されてる!?」
「落ち着いてくれ。無理やり尻尾を触ったりしないから」
「ほ、本当だね……?」
「それより教えてくれ。獣人族にとって、尻尾を触るってのはどういう意味を持つんだ?」
「し、知らなかったの!?」
「ああ、知らない。よかったら教えてくれないか?」
「なんだ知らなかったのか。あ! ひょっとしてキミが今噂になってる亡命してきた男の子かい?」
「そうだ。だから、獣人族の礼儀とかに関してはよく知らないんだ」
「そういうことか……」
兎のおじさんはホッと一息吐くと、教えてくれた。
「子ども同士なら遊びで触ることもあるけど、大人の獣人族にとって、尻尾を触るのはかなり直接的なお誘いなんだよ。ほら、交わる尾っぽで交尾だろ? 尻尾を触らせてなんて言われたら、僕たちにとってかなり直接的なお誘い文句に感じるんだ」
「なるほど……」
欲望のままにおじさんの尻尾を触らなくて本当によかった。
そして、知らずに女性に対して、特にフアナに対して言わなくて本当によかった!
こんな話、ゲームにも設定資料集にも載ってなかったからな。危うく自爆するところだったぜ。
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