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25 チャンバラ
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ここのところ、オレは飢えに飢えていた。
モフモフだ。オレにはモフモフが不足している。
いや、モフモフは足りているんだ。オレの周りには、フアナやホアキンをはじめ、モフモフ種族である虎族がいるんだから。
正確には、オレにはモフれるモフモフが不足してるんだ。
フアナやホアキンたちは、勝手に撫でまわしていい動物じゃない。ちゃんと一人の人格を持った獣人だ。モフるにも意思確認が必要だろう。
だが、オレはなかなか踏み出せずにいた。
さすがにフアナに撫でてもいいか確認するなんてオレにはハードルが高すぎる。
村の広場でボーっとしていると、虎族の子どもたちが無邪気に遊んでいた。
男の子も女の子も木の枝を剣に見立ててチャンバラごっこをしているようだ。かわいいなぁ。
「はっ!」
その時、オレに電流が走る!
子どもたちに混ざって遊べば、自然とモフれるチャンスが巡ってくるんじゃないか!?
「こうしちゃいられない」
オレは適当な枝を拾うと、子どもたちに向かって歩き出す。
善は急げだ!
「おーい、オレも混ぜてくれよ」
「バルタザールも?」
「いいぜ! かかってこいよ!」
「負けないわよ!」
子どもたち相手にチャンバラごっこをする。ポイントは勝ち過ぎないこと、そして負け過ぎないことだ。よく子どもに花を持たせるためにわざと負けてやる大人がいるが、やり過ぎれば子どもでもわざとだと察してしまう。すると、やっぱり冷めちゃうからな。
かといってまったく勝てないというのも面白くないだろう。勝ったり負けたりが楽しいのだ。勝率は六対四、七対三くらいがちょうどいい。
「俺に勝つとか、バルタザールやるじゃん!」
「まあな」
「次は私とよ!」
「フアナも入れて」
そんな感じで三十分ほど遊んでいると、今度はなんとフアナが参戦してきた。
「お嬢!」
「お嬢、一手お願いします!」
フアナって子どもたちにもお嬢って呼ばれてるんだ。
しかも、子どもたちの中で絶対的な強者として君臨しているみたいだ。子どもたちから遊びの雰囲気が消えて、まるでこれからドラゴンに挑む勇者のような真剣な顔をしていた。
「やああああああ!」
一人の子どもがフアナと試合することになったのだが、フアナの動きは見事だった。
「もっと速く」
「うすっ!」
まるで稽古をつけてやっているかのように、子どもたちの潜在能力を引き出していく。子どもたちの動きも、先ほどまでとはまるで違ったものになっていく。
そして、フアナが勝つ。
「まけたあ!」
「でも、ずいぶんよくなった。今の動き、忘れないで。あなたはきっと強くなれる」
「はい! ご指導ありがとうございました!」
「次は私! お願いします!」
子どもたちも強くなった実感があるのだろう。フアナに何度も負けてもへこたれずに果敢に挑戦していく。
「うしっ! バルタザール、やろうぜ!」
「ああ」
そして、フアナとの稽古の待ち時間にオレと試合する。フアナに教わったことを試したくて仕方がないのだろう。
「やあああ!」
やっぱりさっきよりも動きがよくなっている。フアナはすごいな。
そして、オレは認識を改めることにした。チャンバラはたしかに子どもたちの遊びという側面もあるだろう。だが、この子たちも将来剣を手に取って戦うこともある。その時に少しでも勝率を上げる。生き残る確率を上げる。フアナも子どもたちもそのことをわかっているのだ。だから真剣だ。
「やった、勝った!」
「ああ、強くなったな。さっきとは見違えたぞ」
「しゃっ!」
そして、オレは子どもたちに強くなったことを実感させてやるためにちょっとだけ負けの数を増やした。
そんないつの間にか遊びから稽古になってしまった時間は一時間ほどで終わった。
「おつかれさま。喉が渇いただろ。待ってろ、今ジュースを出してやる」
「ジュース!」
「おらジュース好き!」
「やった!」
収納魔法を展開して、中からコップとオレンジジュース、ブドウジュース、あとはお試しにサイダーを用意した
「オレンジとブドウ、あとこれはシュワシュワするやつだ。どれにする?」
「へー。じゃあ俺ブドウ!」
「オレンジ!」
「私もオレンジ!」
「フアナはどうする?」
「ブドウにする」
オレはみんなにジュースを配ると、自分用にサイダーを入れる。
「それおいしいの?」
「ん?」
フアナをはじめ、子どもたちの視線もオレの入れたサイダーに集まっていた。
「シュワシュワするから苦手な人もいるけど、オレは好きかな」
「ふーん」
フアナがガッとコップを呷ると、一気にブドウジュースを飲み干す。
「おかわり。しゅわしゅわで」
「フアナも挑戦してみる?」
「ん」
フアナのコップにサイダーを注ぐと、警戒するようにちょびっと舌を出してサイダーに入れていた。
なにこのかわいい生き物!
「ぱちぱちする。でも、あまい……?」
「あ、ずりー! 俺も飲むぞ!」
「私も!」
フアナが飲んだからか、子どもたちもサイダーを求めた。
サイダーは好評だったと言っておこう。
モフモフだ。オレにはモフモフが不足している。
いや、モフモフは足りているんだ。オレの周りには、フアナやホアキンをはじめ、モフモフ種族である虎族がいるんだから。
正確には、オレにはモフれるモフモフが不足してるんだ。
フアナやホアキンたちは、勝手に撫でまわしていい動物じゃない。ちゃんと一人の人格を持った獣人だ。モフるにも意思確認が必要だろう。
だが、オレはなかなか踏み出せずにいた。
さすがにフアナに撫でてもいいか確認するなんてオレにはハードルが高すぎる。
村の広場でボーっとしていると、虎族の子どもたちが無邪気に遊んでいた。
男の子も女の子も木の枝を剣に見立ててチャンバラごっこをしているようだ。かわいいなぁ。
「はっ!」
その時、オレに電流が走る!
子どもたちに混ざって遊べば、自然とモフれるチャンスが巡ってくるんじゃないか!?
「こうしちゃいられない」
オレは適当な枝を拾うと、子どもたちに向かって歩き出す。
善は急げだ!
「おーい、オレも混ぜてくれよ」
「バルタザールも?」
「いいぜ! かかってこいよ!」
「負けないわよ!」
子どもたち相手にチャンバラごっこをする。ポイントは勝ち過ぎないこと、そして負け過ぎないことだ。よく子どもに花を持たせるためにわざと負けてやる大人がいるが、やり過ぎれば子どもでもわざとだと察してしまう。すると、やっぱり冷めちゃうからな。
かといってまったく勝てないというのも面白くないだろう。勝ったり負けたりが楽しいのだ。勝率は六対四、七対三くらいがちょうどいい。
「俺に勝つとか、バルタザールやるじゃん!」
「まあな」
「次は私とよ!」
「フアナも入れて」
そんな感じで三十分ほど遊んでいると、今度はなんとフアナが参戦してきた。
「お嬢!」
「お嬢、一手お願いします!」
フアナって子どもたちにもお嬢って呼ばれてるんだ。
しかも、子どもたちの中で絶対的な強者として君臨しているみたいだ。子どもたちから遊びの雰囲気が消えて、まるでこれからドラゴンに挑む勇者のような真剣な顔をしていた。
「やああああああ!」
一人の子どもがフアナと試合することになったのだが、フアナの動きは見事だった。
「もっと速く」
「うすっ!」
まるで稽古をつけてやっているかのように、子どもたちの潜在能力を引き出していく。子どもたちの動きも、先ほどまでとはまるで違ったものになっていく。
そして、フアナが勝つ。
「まけたあ!」
「でも、ずいぶんよくなった。今の動き、忘れないで。あなたはきっと強くなれる」
「はい! ご指導ありがとうございました!」
「次は私! お願いします!」
子どもたちも強くなった実感があるのだろう。フアナに何度も負けてもへこたれずに果敢に挑戦していく。
「うしっ! バルタザール、やろうぜ!」
「ああ」
そして、フアナとの稽古の待ち時間にオレと試合する。フアナに教わったことを試したくて仕方がないのだろう。
「やあああ!」
やっぱりさっきよりも動きがよくなっている。フアナはすごいな。
そして、オレは認識を改めることにした。チャンバラはたしかに子どもたちの遊びという側面もあるだろう。だが、この子たちも将来剣を手に取って戦うこともある。その時に少しでも勝率を上げる。生き残る確率を上げる。フアナも子どもたちもそのことをわかっているのだ。だから真剣だ。
「やった、勝った!」
「ああ、強くなったな。さっきとは見違えたぞ」
「しゃっ!」
そして、オレは子どもたちに強くなったことを実感させてやるためにちょっとだけ負けの数を増やした。
そんないつの間にか遊びから稽古になってしまった時間は一時間ほどで終わった。
「おつかれさま。喉が渇いただろ。待ってろ、今ジュースを出してやる」
「ジュース!」
「おらジュース好き!」
「やった!」
収納魔法を展開して、中からコップとオレンジジュース、ブドウジュース、あとはお試しにサイダーを用意した
「オレンジとブドウ、あとこれはシュワシュワするやつだ。どれにする?」
「へー。じゃあ俺ブドウ!」
「オレンジ!」
「私もオレンジ!」
「フアナはどうする?」
「ブドウにする」
オレはみんなにジュースを配ると、自分用にサイダーを入れる。
「それおいしいの?」
「ん?」
フアナをはじめ、子どもたちの視線もオレの入れたサイダーに集まっていた。
「シュワシュワするから苦手な人もいるけど、オレは好きかな」
「ふーん」
フアナがガッとコップを呷ると、一気にブドウジュースを飲み干す。
「おかわり。しゅわしゅわで」
「フアナも挑戦してみる?」
「ん」
フアナのコップにサイダーを注ぐと、警戒するようにちょびっと舌を出してサイダーに入れていた。
なにこのかわいい生き物!
「ぱちぱちする。でも、あまい……?」
「あ、ずりー! 俺も飲むぞ!」
「私も!」
フアナが飲んだからか、子どもたちもサイダーを求めた。
サイダーは好評だったと言っておこう。
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