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2.最後を決めるのは、あなたではなくて私なのだけれど?
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死んだ後、ひとはどうやって天の国に行くのか。善き行いをしてきた者は天の国へ行くことができると言われているが、具体的にどのような行程を辿るのかについては、複数の言い伝えがある。
ある地方では三途の川を渡し舟で渡るといい、また別の地方では大きな門をくぐるのだという。だが、わたしが体験したものはそれらとは全く異なるものだった。わたしが見たものは、三途の川でもなければ大きな門でもない。片田舎にありそうななんとも可愛らしいこぢんまりとした洋館だったのである。
洋館の後ろには空まで続く長い階段があった。ぼんやりとそれを眺めていたわたしは、天啓のようにその階段を上らねばならないと認識した。しかし、足を進めようとしたわたしの前には、物静かそうな美丈夫と快活な美女が現れたのである。一体彼らは何者なのか。首を傾げるわたしに向かって、美女はにこやかに教えてくれた。
彼らの用意してくれる料理を口にすれば、何の憂いもなく天の国へと昇っていけるのだという。
「こちらではお客さまの思い出の味を、最後の晩餐としてお出ししております。亡きお母さまの得意料理から、今はお店を畳んでしまった懐かしの定食屋の限定メニューまで。リクエストには可能な限りお応えいたします。お客さまの御希望はお決まりでしょうか?」
なるほど、天国へ昇る前に最後の晩餐を振る舞ってもらえるのか。わたしの辿り着いた場所は、なんとも親切な天国への入り口だったようだ。しかし、何を食べようかとあれこれ悩んでいたところで、無情にもわたしは屋敷から外に出されてしまった。
「お客さま、申し訳ございません。お客さまは、手違いでこちらにいらっしゃっているようです。料理の提供は難しく、また改めてお越しいただければと」
「そんな!」
「どうぞよい人生を。次回お越しの際には、たくさんの思い出をお聞かせくださいね」
読者諸君がどのような天国を信じているかわたしは知らない。だが最後の晩餐については考えておいた方がよいだろう。万が一、あなた方がわたしと同じ天への道へ向かうことになった時のためにも。もしかしたらあの場所は、わたしのような食いしん坊がたどり着く食いしん坊の天国への階段なのかもしれないが。
(とある新聞のコラムより抜粋)
ある地方では三途の川を渡し舟で渡るといい、また別の地方では大きな門をくぐるのだという。だが、わたしが体験したものはそれらとは全く異なるものだった。わたしが見たものは、三途の川でもなければ大きな門でもない。片田舎にありそうななんとも可愛らしいこぢんまりとした洋館だったのである。
洋館の後ろには空まで続く長い階段があった。ぼんやりとそれを眺めていたわたしは、天啓のようにその階段を上らねばならないと認識した。しかし、足を進めようとしたわたしの前には、物静かそうな美丈夫と快活な美女が現れたのである。一体彼らは何者なのか。首を傾げるわたしに向かって、美女はにこやかに教えてくれた。
彼らの用意してくれる料理を口にすれば、何の憂いもなく天の国へと昇っていけるのだという。
「こちらではお客さまの思い出の味を、最後の晩餐としてお出ししております。亡きお母さまの得意料理から、今はお店を畳んでしまった懐かしの定食屋の限定メニューまで。リクエストには可能な限りお応えいたします。お客さまの御希望はお決まりでしょうか?」
なるほど、天国へ昇る前に最後の晩餐を振る舞ってもらえるのか。わたしの辿り着いた場所は、なんとも親切な天国への入り口だったようだ。しかし、何を食べようかとあれこれ悩んでいたところで、無情にもわたしは屋敷から外に出されてしまった。
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「そんな!」
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(とある新聞のコラムより抜粋)
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