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拘束
しおりを挟む「ホテル……?」
自身の経験では、旅行の時くらいしか使わない。だけど、きっと、ヨシが言ってるのは、
「ラブホってあんまり好きじゃないんだよな、スリルがねーやん。色々道具が揃ってる部屋もあるけど、それもチャチだし」
やっぱり、そのホテルだ。
「ど、道具? 文房具?」
「お前、何のお試しする気だよ? 男と女がホテルですることと言ったら一つだろーが」
こ、この人、
「ま、待って! お試し初日にそんなとこ行けないし、そこでするような行為も今日の私には無……り……」
「あぁ、! うるせーな!」
……付き合う=エッチする、なんだ。
甘い仮面を剥いだヨシは、元の荒々しい表情に逆戻り。
「カマトトよりはまだ淫乱のほうがマシだな」
優しさの欠片もない手が、いきなり私のジーンズのベルトを外しにかかってきた。
恋愛経験がない、つまりエッチもしたことない私にとって、
「……ちょっと、やだっ! 」
いきなり下から脱がされることは、ご飯を食べる前に歯磨きをする事くらい不可解なことで、
「ジーパン穿いた女とカーセックスするのほどめんどくさいことねー」
ベルトを意図も簡単に外してしまったヨシの手が、今度はファスナーを下げようとするのを必死に押さえると、
「イヤだって!! イヤッ!」
「ただでさえ脱がせにくいのに暴れんじゃねぇ、バカ女っ」
酷い言われよう。
恋愛のお試しの相手をバカ呼ばわりするんだ、本当に最低。
「 ″ 俺 ″ と出来るんだぞ? なんで嫌がるかワケわかんねえ!」
「こういうのは、好きになってからするものじゃないの!?」
ひょっとしたら、1ヶ月前の私なら、すんなりこのまま受け入れていたかもしれないけど、今の私は無理だ。
「知らねぇよ、人なんか好きになったことない」
「……え」
「女なんて、生活も身体も、男に奉仕するために存在するんだよ。男が女に愛情抱くとか俺からするとファンタジーだ」
人間なのに、人間らしい感情を持たない人だと、わかった今は、
「俺は、俺と生んでくれた母さんしか好きじゃないんだよ」
「……それ、」
……歪んでる……。
こんな人とセックスするとか無理なのに、
「アイツが欲しがるものは、全部奪ってやる」
歪んだ感情が、私を支配しようとする。
「……なに、するの?……」
「見ればわかんだろ?」
外されたベルトで両手首を拘束されると、恐怖のあまりに、声もでなくなってしまった。
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