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一方、月山
しおりを挟む「ヨシと消えたあの女なんなん!?」
「むかつくっ!! ヨシの愛車に乗ってったよ!」
「あの女スタッフ?」
「違うよ、私ライヴでしょっちゅう見たことあるもん!ファンだよ、ただの!」
「えー、じゃ、ヨシが裏ではファン食ってるって噂本当だったんだ!」
途中で切られた電話から後藤が気になって、【Virtue】のライヴ会場に駆けつけると、バンギャと呼ばれるファンの女の子達の様子が、どうもオカシイ。
「今度見かけたら半殺してやるからね!」
こえー…。
そのV系メイクも怖いが、言ってることが恐怖。
俺のバンド時代にも熱狂的なファンはいたが、こんな恐ろしい奴らはいなかったぞ。
後藤の姿を探してキョロキョロしていると、
「あれっ?!オッサン??」
ちょっとポッチャリの女の子が、失礼な呼び方で声をかけてきた。
「ほら! 前のスタンディングの時に晶をハグしてたオッサンでしょ??」
V系メイクをした男連れのポッチャリちゃんは、どうやら後藤の友達のようだ。
それはいいとして、人を痴漢みたいに言うのは止してくれ。
「……そのオッサンだけど、彼女はどこに行ったの?」
俺が尋ねると、ポッチャリの連れの男が怪訝な顔でこっちをジロジロ見ていた。
「寧々、このヤバイオッサン、大丈夫か?」
ほら見ろ。
やっぱりアブナイ男呼ばわりじゃねーか。
「大丈夫よー。この人、晶の会社の、うるさい上司らしいから」
おい。
「……俺はそのウルサイ上司だけど、まさか皆が噂してたヨシと出ていったって女は……」
「そう!!! そのまさか! 晶だったんだよ!! ビックリしたよ!もう!抜け駆け!」
「……やっぱり」
電話から聞こえた俺たちの昔の曲は、ヨシノリの車からだったのか……。
「ね! 晶の会社って、芸能人と接触することもあるんでしょ?! Virtueの広告かなにかで晶は仲良くなっちゃったの?!」
「……うちは、ああいう不安定なアーティストの宣伝はしないんだよ」
「はぁぁ?? なにそれ?!」
完璧な容姿からは想像もできないほどヨシノリの心は不安定だ。
「ヨシの車は、どこに向かっていったか分かる?」
「わかるわけないじゃん、そんなの!」
そんなアイツのことを、俺は、自分の子供として、可愛いと思ったことはない。
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