美獣と眠る

光月海愛(こうつきみあ)

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鉢合わせ

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―――
 
「え、今さっき送ってくれたやつ、全部ヨシが作ったの?」

 
「あぁ。暇だったから作った」

 曲を、メンバーのアキとマネージャーとアルバムのディレクターに送ると、アキから電話があった。


 すると、

「これ、売れんじゃね?  いや、売ろう! 」

 メンバーもマネージャーも、直ぐに乗り気の返事をくれた。

 しかし、活動が停止している間、楽器持ってる奴は作曲したり、他のバンドのサポートに出たりやることは沢山あるようで、直ぐには集まれない様子。

「松藤さんは、なんていってる?」

 「まだ、なにも……」

 俺たちVirtueのデビューからサポートしてくれた凄腕プロデューサー松藤氏からは、まだ返事はない。

 彼がOKを出せば、途中で中止になった新作のレコーディングにこれも織り混ぜてもらう予定だ。


「そっか、絶対売れると思うンだよな、返事楽しみだな!」

「あァ…」

 ドアキとの電話を切って、ふと、部屋のソファーに女物のピアスが落ちていることに気づく。

 ……晶のか…。
 
  アイツ、地味なわりにピアスはしてたよな。
 ライヴの時は派手目にしてたけど、まるで似合ってなかった。
 青い石の付いたピアスを手に取り、どうしようかと思っていると。

 Ririririri♪

 今度は待ちに待ったディレクターからの電話が……。

「ヨシ! めっちゃ良い曲作ったな! Virtueのイメチェンにはピッタリだ!」

 予想通りの反応で、活動が再開になれば、これも直ぐにレコーディングに組み込みたいと言ってくれた。


「……アルバム発売は大丈夫ですか?」

「騒ぎが収まれば大丈夫さ! 薬物に手出してもそうやって復活したバンドなんていくらでもいる!」

「……そぅっすね」


 ーー″ アルバムが発売されたら ″

 晶の言葉を真に受けてるわけじゃないけれど、二人の関係が進展しそうな兆しに、俺は直ぐに車を走らせた。
 ピアスは口実だ。

 とりあえず吉報を直接、アイツに伝えたい。



  車を晶のアパートの前に止めて、電話をかけてみる。
 あのままタクシーで帰ったなら、もう着いてるはずだ。
 がしかし、
 
「くそ……」

 なかなか出やがらない。

 飲み会の後だったし、寝てしまったかな?

 そもそも、送り狼になりたくなくて一人で帰らせたのに、アパートまで来るなんて矛盾してるか?

 袋に入れたピアスを見つめて、郵便ポストに入れておこうかとも思った。
 さすがにこれを見たら連絡してくるだろ。

 ……そーするか。焦りすぎた。
 諦めて、エンジンをかけたまま車を降りたその時だった。

「押し掛けて悪かったな」


「……!」

 晶の部屋から男が出てきた。
 続けて、本人も。

「……本当ですよ、あんまりビックリさせないでください」

「たいしてビックリしてなかったじゃんか」

「いや、まぁ、もろもろ初めての事ばかりで……」

「そうだろうな、初めての後藤にしたら、戸惑うことばっかりだっただろ?」

 親しげに話すその男は、

「はい、もうこういうの、月山さんだけでお腹一杯です」

 月山  理ーーー俺の生物学上の父親ーーー。


「そうか、じゃぁ、またな」


「……はい。おやすみなさい」


 アイツ。とうとう、ヤりやがったのか。





























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