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determination 決意
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「鷲ちゃん! NITTANプリンス世田谷店の長里さんから電話!」
「はい!」
出社するなり、先日、室岡さんと挨拶回りに出掛けた所から、五月発表の新商品予約発注の電話があった。
「一度、危機にさらされた御社だからこそ、見直した商品に期待したい」
そんな言葉を頂けて、とても嬉しくなった。
「ありがとうございます。早速、御見積を作ってお送り致しますね」
営業としては、まだちゃんと機能していない。
それでも、窓口になれた事で、やる気が起きてくる。
「室岡さん、見積の確認をお願いします」
「お? 早速 営業らしい仕事してるな。公表されてる範囲でいいんだろ?」
「はい」
営業って、気持ち次第では、とてもやりがいがある仕事なのでは、と思い始めていた。
″ 四月から伊織は営業異動だろ? その前にやっぱり事務職に変えてもらおう ″
……葉築さんの提案……私、室岡さんに話してないや。
葉築さんの考えは、彼にとっては、利にかなってる。
結婚するのなら、私が同じ職場だとやりづらいだろうし、退職自体を希望してるのかもしれない。
……でも、……私は、どうなの?
事務職から営業職への異動を受け入れて、そこそこ準備も進めてる。
担当顧客に挨拶もしてきた。
今さら、また事務職に戻るなんて、できる?
そもそも、葉築さんとの結婚生活のイメージはできる?
……。
だめだ。
何だか、始終セックスしてるイメージしか湧かない。昨夜が強烈だったからかな。
「銀行と郵便局に行ってきます」
気分転換も兼ねて、事務職としての雑務もこなしに外出することに。
「あ、鷲ちゃん!、出るならアレも買っておいてよ!」
「アレ?」
私の足を止めた室岡さんは、水槽の方を指差した。
「メダカの餌、俺がさっき、ばらまいちまったんだ」
「なにやってんですか」
「忙しくてテンパってんだよー。ほら、頼むよ」
「わかりました」
「風、冷たいからなー、気を付けろよ」
「はい」
室岡さんが言うように、今日のビル風は冷たさが半端なかった。
今朝、葉築さんが使ったショールを羽織って、寒さをしのいで歩く。
数百メートル先のATMを出たところで、
「伊織? 伊織じゃない?」
久しく聞く声に呼び止められた。
高校時代の親友の茉美だった。
「久しぶりねー、その格好は仕事中? 伊織って事務だっけ?」
「そう。雑用で外出。茉美は?」
「私は買い物。それより、伊織ってば、あれから電話かけてこないんだもん!」
以前、電話をかけたら信の話になって、面倒臭くなって切ったんだった。
「……なんか、バタバタと忙しくてね」
「そうなの? あ、来月なんだけど同窓会あるのよ、急なんだけど。伊織に回す手間省けたわ」
茉美はスマホを取り出して、そんな内容のメールを私に見せた。
< 3/19 PM12:00より
道具屋ホテル 桜の間 ○○高等学校 第○○期生
同窓会……>
「先生とかにも連絡とってるんだ、私幹事だったから。伊織も日曜日は休みでしょ? 来るよね?」
「……」
私は、首を横に振った。
「ごめん、せっかくだけど」
行けない。
信が来てたら、気まずいもの。
別れた事を話していた茉美は、強制するわけでもなく、
「そっかー」
と、ちょっと残念そうにしてスマホを仕舞っていた。
そして。
「あ、ねぇ、橋元先生のこと、知ってる?」
何かを思い出して、その特別な名前を出してきた。
「はい!」
出社するなり、先日、室岡さんと挨拶回りに出掛けた所から、五月発表の新商品予約発注の電話があった。
「一度、危機にさらされた御社だからこそ、見直した商品に期待したい」
そんな言葉を頂けて、とても嬉しくなった。
「ありがとうございます。早速、御見積を作ってお送り致しますね」
営業としては、まだちゃんと機能していない。
それでも、窓口になれた事で、やる気が起きてくる。
「室岡さん、見積の確認をお願いします」
「お? 早速 営業らしい仕事してるな。公表されてる範囲でいいんだろ?」
「はい」
営業って、気持ち次第では、とてもやりがいがある仕事なのでは、と思い始めていた。
″ 四月から伊織は営業異動だろ? その前にやっぱり事務職に変えてもらおう ″
……葉築さんの提案……私、室岡さんに話してないや。
葉築さんの考えは、彼にとっては、利にかなってる。
結婚するのなら、私が同じ職場だとやりづらいだろうし、退職自体を希望してるのかもしれない。
……でも、……私は、どうなの?
事務職から営業職への異動を受け入れて、そこそこ準備も進めてる。
担当顧客に挨拶もしてきた。
今さら、また事務職に戻るなんて、できる?
そもそも、葉築さんとの結婚生活のイメージはできる?
……。
だめだ。
何だか、始終セックスしてるイメージしか湧かない。昨夜が強烈だったからかな。
「銀行と郵便局に行ってきます」
気分転換も兼ねて、事務職としての雑務もこなしに外出することに。
「あ、鷲ちゃん!、出るならアレも買っておいてよ!」
「アレ?」
私の足を止めた室岡さんは、水槽の方を指差した。
「メダカの餌、俺がさっき、ばらまいちまったんだ」
「なにやってんですか」
「忙しくてテンパってんだよー。ほら、頼むよ」
「わかりました」
「風、冷たいからなー、気を付けろよ」
「はい」
室岡さんが言うように、今日のビル風は冷たさが半端なかった。
今朝、葉築さんが使ったショールを羽織って、寒さをしのいで歩く。
数百メートル先のATMを出たところで、
「伊織? 伊織じゃない?」
久しく聞く声に呼び止められた。
高校時代の親友の茉美だった。
「久しぶりねー、その格好は仕事中? 伊織って事務だっけ?」
「そう。雑用で外出。茉美は?」
「私は買い物。それより、伊織ってば、あれから電話かけてこないんだもん!」
以前、電話をかけたら信の話になって、面倒臭くなって切ったんだった。
「……なんか、バタバタと忙しくてね」
「そうなの? あ、来月なんだけど同窓会あるのよ、急なんだけど。伊織に回す手間省けたわ」
茉美はスマホを取り出して、そんな内容のメールを私に見せた。
< 3/19 PM12:00より
道具屋ホテル 桜の間 ○○高等学校 第○○期生
同窓会……>
「先生とかにも連絡とってるんだ、私幹事だったから。伊織も日曜日は休みでしょ? 来るよね?」
「……」
私は、首を横に振った。
「ごめん、せっかくだけど」
行けない。
信が来てたら、気まずいもの。
別れた事を話していた茉美は、強制するわけでもなく、
「そっかー」
と、ちょっと残念そうにしてスマホを仕舞っていた。
そして。
「あ、ねぇ、橋元先生のこと、知ってる?」
何かを思い出して、その特別な名前を出してきた。
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