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裏切りと恋
セクシーさにやられる
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「あ、そろそろハイヤング様が見える時間ですね。鈴木さん行きましょうか」
「はい」
応接室の準備が整って、倉林さんと二人で駐車場までお出迎えに行く。
緊張して粗相をしないように気をつけなきゃ。
中国系企業に日本の企業が買収される話は良く聞くが、【スマート・グッド】は大丈夫だろうか?
ハイヤングとは、私が入社する前に副社長を通して繋がったみたいだけど、ネットで調べても表向きの情報しか出てこなかった。
一体、どんな方が来るのか。
「我一直在等你。总经理 高朝乐。
(お待ちしておりました。高長楽《こうちょうらく》総経理)」
倉林さんが流暢な中国語で挨拶をする。
黒塗りの高級車から降りてきたのは、ハイヤングの最高責任者の高長楽氏、秘書らしき女性とSPの男性だ。
パッと見は日本人と変わらないが、びっくりしたのは、その秘書らしき女性のセクシーさだ。
熟れたトマトのように赤い唇が印象的だった。
手足は凄く細いのに、胸は異様に大きくてグラビアアイドルみたい。初夏だと言うのに黒ストッキングだけど、スリットが入ったタイトスカートが暑苦しさを払拭させている。
うちの会社一美しい(と私は思っている)倉林さんが控え目に見えるほど ″フェロモン″出まくりだった。
「……ゴージャスな方だ」
と、生唾を飲むのは一緒に出迎える副社長。
男性の、これほどまでだらし無い顔を見たのは初めてだ。
高長楽総経理が、セクシー秘書と厳ついSPを従えビル内を練り歩けば、皆が振り返って息を呑む。
私が入社してからは間違いなく一番BIGな来客だ。
「谢谢你从远方赶来(遠いところをお越しいただきありがとうございます)」
応接室で待機していた神城社長もまた、中国語で挨拶をしていた。
ここに来るまで、副社長も流暢に中国語を話していたし、これからのビジネスシーンでは英語だけでなく中国語も出来ないとダメなのかもしれない。
中国語を話せない私は、商談の場を離れて、お茶出しをした後は執務室に戻る。
それにしても―――……
あの高長楽という社長。
ずかずかとした部屋への入り方といい、神城社長への異様な近さの挨拶といい、何となくイヤな感じがした。
秘書としての場数は踏んではないけれど、直感というものがあるなら、あの人はあまりボスに会わせたくはないタイプだった。
「鈴木さん」
デスクワーク中、長野さんに呼ばれた。
「お疲れ様です」
「体調どう?」
「あ……」
昨日、電話を切ってからメッセージも送ってないし、誘われていたことも忘れていた。
「少し寝たら良くなりました」
「そう、よかった」
顔を見た途端に気まずくなった私とは違い、長野さんの目は輝いていた。
「ハイヤングの代表の訪問、社内外で大きく取り上げるつもりなんだけど、写真撮影、高長楽総経理だけしか許可下りてなかったの、あの秘書さんも追加でできないかな」
というか、鼻の下が伸びている。
なるほど。あの色気には万人ヤラれるか。
「どうでしょう? 副社長絡みの案件らしいので倉林さんにお願いしてみては?」
私は中国語話せないし。
「倉林さんかー……頼みづらいなー」
困った顔をして、長野さんは、「いいや、啓社長に直接頼もう。ライン見れるかな」とスマホを操作し始める。そうだよ。先輩と後輩の仲ならそれが手っ取り早いよ。
「……昨日」
「え」
「あいつ、送りオオカミにならなかった?」
スマホをスクロールしながら、長野さんがボソッと訊いてきた。
「はい」
応接室の準備が整って、倉林さんと二人で駐車場までお出迎えに行く。
緊張して粗相をしないように気をつけなきゃ。
中国系企業に日本の企業が買収される話は良く聞くが、【スマート・グッド】は大丈夫だろうか?
ハイヤングとは、私が入社する前に副社長を通して繋がったみたいだけど、ネットで調べても表向きの情報しか出てこなかった。
一体、どんな方が来るのか。
「我一直在等你。总经理 高朝乐。
(お待ちしておりました。高長楽《こうちょうらく》総経理)」
倉林さんが流暢な中国語で挨拶をする。
黒塗りの高級車から降りてきたのは、ハイヤングの最高責任者の高長楽氏、秘書らしき女性とSPの男性だ。
パッと見は日本人と変わらないが、びっくりしたのは、その秘書らしき女性のセクシーさだ。
熟れたトマトのように赤い唇が印象的だった。
手足は凄く細いのに、胸は異様に大きくてグラビアアイドルみたい。初夏だと言うのに黒ストッキングだけど、スリットが入ったタイトスカートが暑苦しさを払拭させている。
うちの会社一美しい(と私は思っている)倉林さんが控え目に見えるほど ″フェロモン″出まくりだった。
「……ゴージャスな方だ」
と、生唾を飲むのは一緒に出迎える副社長。
男性の、これほどまでだらし無い顔を見たのは初めてだ。
高長楽総経理が、セクシー秘書と厳ついSPを従えビル内を練り歩けば、皆が振り返って息を呑む。
私が入社してからは間違いなく一番BIGな来客だ。
「谢谢你从远方赶来(遠いところをお越しいただきありがとうございます)」
応接室で待機していた神城社長もまた、中国語で挨拶をしていた。
ここに来るまで、副社長も流暢に中国語を話していたし、これからのビジネスシーンでは英語だけでなく中国語も出来ないとダメなのかもしれない。
中国語を話せない私は、商談の場を離れて、お茶出しをした後は執務室に戻る。
それにしても―――……
あの高長楽という社長。
ずかずかとした部屋への入り方といい、神城社長への異様な近さの挨拶といい、何となくイヤな感じがした。
秘書としての場数は踏んではないけれど、直感というものがあるなら、あの人はあまりボスに会わせたくはないタイプだった。
「鈴木さん」
デスクワーク中、長野さんに呼ばれた。
「お疲れ様です」
「体調どう?」
「あ……」
昨日、電話を切ってからメッセージも送ってないし、誘われていたことも忘れていた。
「少し寝たら良くなりました」
「そう、よかった」
顔を見た途端に気まずくなった私とは違い、長野さんの目は輝いていた。
「ハイヤングの代表の訪問、社内外で大きく取り上げるつもりなんだけど、写真撮影、高長楽総経理だけしか許可下りてなかったの、あの秘書さんも追加でできないかな」
というか、鼻の下が伸びている。
なるほど。あの色気には万人ヤラれるか。
「どうでしょう? 副社長絡みの案件らしいので倉林さんにお願いしてみては?」
私は中国語話せないし。
「倉林さんかー……頼みづらいなー」
困った顔をして、長野さんは、「いいや、啓社長に直接頼もう。ライン見れるかな」とスマホを操作し始める。そうだよ。先輩と後輩の仲ならそれが手っ取り早いよ。
「……昨日」
「え」
「あいつ、送りオオカミにならなかった?」
スマホをスクロールしながら、長野さんがボソッと訊いてきた。
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