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裏切りと恋 3
夢にも出てこない
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ひょっとして、私、避けられてる?
好意に甘えてお金貯まるまで同居させてもらうなんて、やっぱり図々し過ぎた?
頼りにならない部下が帰っても家に居るって、そんなに負担?
仮眠室のベッドで横になっても、こんな事ばかりが頭を巡ってなかなか気分は良くならなかった。それでも、布団にくるまって目を閉じていたら少しだけ眠気が訪れた。
短い時間に見た夢は、神城くんのことでもなく仕事関係でもなく、実家に帰って母の手料理を待っている幼い自分だった。
パチっと目を覚ました時、一瞬、今が夜なのか昼間なのかもわからなかった。
いけない―――私、仕事中に仮眠室に来たんだった!
「何時?!」
血の気を引かせて枕元のスマホを探っていたら、カーテン越し声が聞こえた。
「今は夕方の四時半だよ」
穏やかな声に誘われるように、そっとカーテンを引く。
僅かな期待は、間から見えたその顔に掻き消される。
「長野さん……」
椅子で脚を組んでスマホを片手にこちらを見て微笑んでいる。
――違った……。
明らかにガッカリした顔をしたかもしれない。私、失礼すぎる。
「体調悪いんだってね、倉林さんに聞いたよ」
「もう大丈夫です。仕事に戻ります」
「今日は帰った方がいいよ。俺、送って行こうか?」
何故この人は親切なんだろう? 他に好きな人がいるのに。
普段ならありがたい親切や気遣いも、気持ちにゆとりがないと邪なものに感じる。
「最近は、皆遅くまでいるし、まだ仕事します」
「フラフラ状態でやっても効率悪いんじゃないの」
……確かにそうだけど。
「問い合わせは受けなければサポートセンターに回るから放っておいても大丈夫だよ」
「……」
本来、オペレーターやAIの仕事をやって、今は秘書らしいことは何も出来ていない。
佐藤さんをそばにおいて、もう私は用済みなのかも。
「長野さん」
「ん?」
私はまだふらつく頭を押さえながら尋ねた。
「今は、何を調べてるんですか?」
「え?」
「この前、社長に話してたでしょ?」
″頼まれてた例のやつ、少しだけ姿が見えてきたぞ″
神城くんが言っていた、大学時代の講師に調査を依頼することと関係があるのかもしれない。
「んー……。啓くんが鈴木さんにどこまで話してたか分からないけど、今は、まだ社員には漏らせないことだよ。たとえ、二人がプライベートな関係があったとしても、ね」
口を濁す長野さんに落胆しつつ、私は更に卑屈な事を言った。
「佐藤さんはそのこと、ご存知なんでしょう……?」
「あー、彼女は知ってるね。啓くんが信頼できる同志だし」
何気ない言葉なのに、今の私にはそれが刃物のように胸に刺さる。
「……鈴木さん?」
情緒不安定なのか、たったこれだけのことで涙腺が緩んだ。
「す、すみません、帰ります……」
濡れた頬を隠すように俯いて、長野さんの横を通り過ぎる。
「なんかゴメン。俺、デリカシー欠けてた?」
不意に腕を取られて、ビクッとなったその時、仮眠室の扉が開いた。その隙間から細長い影が入り込んでくる。
「あ……」
影の主は神城くんだった。
「何、泣かしてるんだよ」
好意に甘えてお金貯まるまで同居させてもらうなんて、やっぱり図々し過ぎた?
頼りにならない部下が帰っても家に居るって、そんなに負担?
仮眠室のベッドで横になっても、こんな事ばかりが頭を巡ってなかなか気分は良くならなかった。それでも、布団にくるまって目を閉じていたら少しだけ眠気が訪れた。
短い時間に見た夢は、神城くんのことでもなく仕事関係でもなく、実家に帰って母の手料理を待っている幼い自分だった。
パチっと目を覚ました時、一瞬、今が夜なのか昼間なのかもわからなかった。
いけない―――私、仕事中に仮眠室に来たんだった!
「何時?!」
血の気を引かせて枕元のスマホを探っていたら、カーテン越し声が聞こえた。
「今は夕方の四時半だよ」
穏やかな声に誘われるように、そっとカーテンを引く。
僅かな期待は、間から見えたその顔に掻き消される。
「長野さん……」
椅子で脚を組んでスマホを片手にこちらを見て微笑んでいる。
――違った……。
明らかにガッカリした顔をしたかもしれない。私、失礼すぎる。
「体調悪いんだってね、倉林さんに聞いたよ」
「もう大丈夫です。仕事に戻ります」
「今日は帰った方がいいよ。俺、送って行こうか?」
何故この人は親切なんだろう? 他に好きな人がいるのに。
普段ならありがたい親切や気遣いも、気持ちにゆとりがないと邪なものに感じる。
「最近は、皆遅くまでいるし、まだ仕事します」
「フラフラ状態でやっても効率悪いんじゃないの」
……確かにそうだけど。
「問い合わせは受けなければサポートセンターに回るから放っておいても大丈夫だよ」
「……」
本来、オペレーターやAIの仕事をやって、今は秘書らしいことは何も出来ていない。
佐藤さんをそばにおいて、もう私は用済みなのかも。
「長野さん」
「ん?」
私はまだふらつく頭を押さえながら尋ねた。
「今は、何を調べてるんですか?」
「え?」
「この前、社長に話してたでしょ?」
″頼まれてた例のやつ、少しだけ姿が見えてきたぞ″
神城くんが言っていた、大学時代の講師に調査を依頼することと関係があるのかもしれない。
「んー……。啓くんが鈴木さんにどこまで話してたか分からないけど、今は、まだ社員には漏らせないことだよ。たとえ、二人がプライベートな関係があったとしても、ね」
口を濁す長野さんに落胆しつつ、私は更に卑屈な事を言った。
「佐藤さんはそのこと、ご存知なんでしょう……?」
「あー、彼女は知ってるね。啓くんが信頼できる同志だし」
何気ない言葉なのに、今の私にはそれが刃物のように胸に刺さる。
「……鈴木さん?」
情緒不安定なのか、たったこれだけのことで涙腺が緩んだ。
「す、すみません、帰ります……」
濡れた頬を隠すように俯いて、長野さんの横を通り過ぎる。
「なんかゴメン。俺、デリカシー欠けてた?」
不意に腕を取られて、ビクッとなったその時、仮眠室の扉が開いた。その隙間から細長い影が入り込んでくる。
「あ……」
影の主は神城くんだった。
「何、泣かしてるんだよ」
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