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裏切りと恋 3
決意のとき
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「……これって俺が泣かしたってことになるのかな?」
長野さんが慌てて私の腕を離すと、眼鏡の奥で神城くんの目が細まった。
「寝てる女性社員に近寄って何しようとしてた?」
「……え……」
それ、完全な誤解。
「気になる女が寝てたら悪さしようって気持ちになるだろ」
―――そうだった。
神城くんは長野さんが倉林さんを好きだって知らない。
「えぇ? 俺そんな疑いかけられてんの?」
「神城くん、それは誤解!」
長野さんはきっと、心配して来てくれただけ。
「じゃあ、なんで鈴木さん泣いてる?」
それは、貴方がっ…………と、言いそうになって口を噤んだ。私が泣いたのは、誰のせいでもない。
「長野さんと話してるうちに気持ちが緩んだだけです。近頃ちょっと気が張ってたので」
皆が頑張ってるのに、自分だけ情緒不安定で恥ずかしい。
「早いですが、本日はもう帰らせてください」
「分かった」
神城くんはそれ以上何も言わず、ただ、私が会社を出た頃、スマホにメッセージを送ってきた。
【今夜も帰れないから】
「……………」
それには何も返さずスマホをバッグに仕舞う。
私が把握してる限りでは、神城社長は夕方からフリーだった。(だから仮眠室に寄れたはず)
やっぱり、家に帰るのが億劫なの?
それとも、今夜も佐藤さんと一緒に過ごすの?
いつもより早い時間の退社。
これなら手数料なしでいける。
ATMでお金を引き出すと、なんと預金額が増えていた。
あぁ、そうか。
多分、冬美が盗んだ分を返金したのだ。
怒りに任せて警察に相談しないで良かった。
"それなら"、と、私は、いつもネットでしか見ない不動産屋に足を運んだ。
通勤範囲内の敷金礼金なしのアパートは無いこともなかった。
今が決断の時かもしれない。
……それにしても。
気分が優れないし、ずっと吐き気がする。
誰もいない豪邸に帰ると、
「″おかえり、今日も一人?″」
と、ランが出迎えてくれた。今日もは余計だっていうの。
神城くんはそれでも愛おしそうにペットロボを抱っこしていたっけ。
私はこれが生きてる犬や猫なら、もっと癒やされるのにな、と思ってしまう。
″死″があるからこそ、″生″は温かくて儚くて大切なものだって思えるんじゃないのかな。
VRやらARやら仮想世界に答えや夢を求める神城くんとは、そもそも価値観や生きる世界が違うのかも。
「ご馳走様でした」
広いリビングで一人手を合わせる。今日は手抜きしまくりで冷凍のほうれん草と瓶詰の紅鮭で雑炊を作っただけ。
しかし、吐き気は、食べたら嘘のようにおさまった。
ただお腹空いてただけ?
何気にカレンダーを見て、そういえば……、と日数を数えてみる。
不順など無縁の私が、今月は生理が遅れていた。
長野さんが慌てて私の腕を離すと、眼鏡の奥で神城くんの目が細まった。
「寝てる女性社員に近寄って何しようとしてた?」
「……え……」
それ、完全な誤解。
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―――そうだった。
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「えぇ? 俺そんな疑いかけられてんの?」
「神城くん、それは誤解!」
長野さんはきっと、心配して来てくれただけ。
「じゃあ、なんで鈴木さん泣いてる?」
それは、貴方がっ…………と、言いそうになって口を噤んだ。私が泣いたのは、誰のせいでもない。
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皆が頑張ってるのに、自分だけ情緒不安定で恥ずかしい。
「早いですが、本日はもう帰らせてください」
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神城くんはそれ以上何も言わず、ただ、私が会社を出た頃、スマホにメッセージを送ってきた。
【今夜も帰れないから】
「……………」
それには何も返さずスマホをバッグに仕舞う。
私が把握してる限りでは、神城社長は夕方からフリーだった。(だから仮眠室に寄れたはず)
やっぱり、家に帰るのが億劫なの?
それとも、今夜も佐藤さんと一緒に過ごすの?
いつもより早い時間の退社。
これなら手数料なしでいける。
ATMでお金を引き出すと、なんと預金額が増えていた。
あぁ、そうか。
多分、冬美が盗んだ分を返金したのだ。
怒りに任せて警察に相談しないで良かった。
"それなら"、と、私は、いつもネットでしか見ない不動産屋に足を運んだ。
通勤範囲内の敷金礼金なしのアパートは無いこともなかった。
今が決断の時かもしれない。
……それにしても。
気分が優れないし、ずっと吐き気がする。
誰もいない豪邸に帰ると、
「″おかえり、今日も一人?″」
と、ランが出迎えてくれた。今日もは余計だっていうの。
神城くんはそれでも愛おしそうにペットロボを抱っこしていたっけ。
私はこれが生きてる犬や猫なら、もっと癒やされるのにな、と思ってしまう。
″死″があるからこそ、″生″は温かくて儚くて大切なものだって思えるんじゃないのかな。
VRやらARやら仮想世界に答えや夢を求める神城くんとは、そもそも価値観や生きる世界が違うのかも。
「ご馳走様でした」
広いリビングで一人手を合わせる。今日は手抜きしまくりで冷凍のほうれん草と瓶詰の紅鮭で雑炊を作っただけ。
しかし、吐き気は、食べたら嘘のようにおさまった。
ただお腹空いてただけ?
何気にカレンダーを見て、そういえば……、と日数を数えてみる。
不順など無縁の私が、今月は生理が遅れていた。
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