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理想と現実2 (神城視点)
これが恋 2
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………こんなところに住んでたのか。
彼女のアパートに着き、ドラマでしか見たことないような建物の古さに驚いた。俺がいかに世間知らずで恵まれた環境にいたのか思い知らされる。
「じゃ、身体温めて風邪引かないように」
――名残、惜しい。
車へ戻りながら、後ろ髪を引かれている。
時間はない。
それでも、鈴木さんから誘われる事を全く期待していないわけでもなかった。
「神城社長の上着、私のと一緒にクリーニングに出しておきます。お貸しください」
だから、その言葉が嬉しくて、俺は直ぐに口実を作った。
「鈴木さん、スチームアイロン持ってる?」
階段の途中で彼女を抱き寄せた。
柔らかな感触に、俺の身体は既に昂っていた。
戸惑う彼女に、"部屋に入れてくれ" と、弱点である耳に問いかける。
案の定、鈴木さんは俺の腕の中で体勢を崩した。
そのままキスしようとしたら、彼女のスマホが鳴った。
「鈴木さん! 大丈夫? さっき梶田くんと会って、事情聞いたんだけど! 水ぶっかけられたんだって?」
漏れてきたのは、長野くんの声だった。相変わらずデカイ声。そして、また何てタイミングで掛けてきやがる。いつも邪魔しやがって。
冷静を装いながらも、胸中は穏やかじゃなかった。
「そっか。こんな日になんだけど、時間的に早いし、夜、出てこれないかな? なんなら迎えに行くし」
付き合ってもいない女性をストレートに誘える長野くんに羨望の感情を抱きつつも、やっぱり嫌だと思った。
鈴木さんが自分以外の男と夜を過ごすのを認めてはダメだと――――……
「すみません。ちょっと、体調悪くて」
戸惑いながらも断る彼女にキスをして、自覚する。
好きなんだ。
これが恋じゃなくて何なのか。
そのまま玄関でヤる勢いでがっついた。
結局。
その日は彼女のお姉さんがやってきて、事は最後まで至らなかった。
打ち合わせもあったし、慌ててヤッて上手くいかなかった場合を思えば、これで良かったのかもしれない。
車に戻ろうとした俺を、お姉さんが呼び止めた。
「ね、あなた、私とどこかで会ったことない?」
いきなり腕を取るあたり、物怖じしない人だ。
こんな一昔前のギャル風女性は、バーチャル恋愛のキャラにもいなかった。
「あるわけないでしょ?」と憤慨する鈴木さんとは似ても似つかない口も目も大きい派手な顔立ちは、男から見ればエロくはあった。
今度こういうキャラ作ってみようかな、くらいの興味しか抱かなかったし、もう会うこともないだろうと思っていたのだが―――
彼女のアパートに着き、ドラマでしか見たことないような建物の古さに驚いた。俺がいかに世間知らずで恵まれた環境にいたのか思い知らされる。
「じゃ、身体温めて風邪引かないように」
――名残、惜しい。
車へ戻りながら、後ろ髪を引かれている。
時間はない。
それでも、鈴木さんから誘われる事を全く期待していないわけでもなかった。
「神城社長の上着、私のと一緒にクリーニングに出しておきます。お貸しください」
だから、その言葉が嬉しくて、俺は直ぐに口実を作った。
「鈴木さん、スチームアイロン持ってる?」
階段の途中で彼女を抱き寄せた。
柔らかな感触に、俺の身体は既に昂っていた。
戸惑う彼女に、"部屋に入れてくれ" と、弱点である耳に問いかける。
案の定、鈴木さんは俺の腕の中で体勢を崩した。
そのままキスしようとしたら、彼女のスマホが鳴った。
「鈴木さん! 大丈夫? さっき梶田くんと会って、事情聞いたんだけど! 水ぶっかけられたんだって?」
漏れてきたのは、長野くんの声だった。相変わらずデカイ声。そして、また何てタイミングで掛けてきやがる。いつも邪魔しやがって。
冷静を装いながらも、胸中は穏やかじゃなかった。
「そっか。こんな日になんだけど、時間的に早いし、夜、出てこれないかな? なんなら迎えに行くし」
付き合ってもいない女性をストレートに誘える長野くんに羨望の感情を抱きつつも、やっぱり嫌だと思った。
鈴木さんが自分以外の男と夜を過ごすのを認めてはダメだと――――……
「すみません。ちょっと、体調悪くて」
戸惑いながらも断る彼女にキスをして、自覚する。
好きなんだ。
これが恋じゃなくて何なのか。
そのまま玄関でヤる勢いでがっついた。
結局。
その日は彼女のお姉さんがやってきて、事は最後まで至らなかった。
打ち合わせもあったし、慌ててヤッて上手くいかなかった場合を思えば、これで良かったのかもしれない。
車に戻ろうとした俺を、お姉さんが呼び止めた。
「ね、あなた、私とどこかで会ったことない?」
いきなり腕を取るあたり、物怖じしない人だ。
こんな一昔前のギャル風女性は、バーチャル恋愛のキャラにもいなかった。
「あるわけないでしょ?」と憤慨する鈴木さんとは似ても似つかない口も目も大きい派手な顔立ちは、男から見ればエロくはあった。
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