同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編非公開中】

光月海愛(こうつきみあ)

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決意 

彼の味方はどこに

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「経営者になれば、会社を存続、成長させること、利益を第一に考えなければいけません。VRで現実逃避することで苦痛から開放されればと考える方が、そういった重い現実を背負い込んでしまうのは酷かな、とも思うんです」

 続けて倉林さんは、美しい顔でこんなことを言った。


「経営者というのは、サイコパスな部分がないと出来ないような気がします」

「サイコパス……?」

「ええ。今の表現は大袈裟ではありますが。……神城社長はああ見えてお優しい方ですからそこまで振り切れないと思います」

 だから、経営者には向いてない、と………?

 そんなこと、ずっと思ってたの?
 違うよね。
 どこからか耳に挟んだからよね?
 神城くんが解任させられるかもしれないって。

「………倉林さん」

 私は、あなたを尊敬していた。
 美人なうえに仕事が出来て、でも嫌味がなくて、こんな人になれたら、とずっと思っていた。

「あなたのボスは、今、誰なんですか?」

 強い女性の見本みたいな方だと。


「近々、副社長の専属に戻される可能性があります。それまでは私は複数の上司に従事しますが」


「副社長? 彼のスパイ行為、御存知なんですよね?」

「証拠はありません。ホテルで支援者の秘書と会っていた事実はありますが、ただそれだけです」

「………それだけ……って」

 息が苦しくなる。
 この人は、神城くんの味方だと思っていたのに。

「わかりました。長々とお話してすみませんでした」

 これ以上の動悸は赤ちゃんに良くない。
 私は足早に彼女の前から立ち去り、広報室へと向かった。

 長野さんだけは神城くんの味方だ。
 だから彼の見解を聞きたかった。
 ″神城くんは大丈夫だ″と。


「山内さん、管掌かんしょう役員だからね。取締役会の招集かけられてるんだろうね」

 広報室隣の空き部屋で、長野さんはまるで大したことないように言った。
 倉林さんのこともあり、少し人間不信に陥っているからそう感じたのかも。

「取締役会って、半数以上の可決で決議されるんですよね?」

「………そうだね」

「その内容は、神城社長は知ってるんですか?」

「恐らく」

 私は絶句した。

「″恐らく″って、そんな呑気なことを言ってていいんですか?」

「取締役会の招集の前に、独立役員会議がCEOの解任が適当であると判断したのなら、もうどうしようもない」

「どうしようもない? 社長は、毎日泊り込みで対策を打っていたんじゃないんですか?」

 確かに電話でそう言った。

『スマート・グッドが乗っ取られないよう極秘に色々対策を打ってるんだ』

 あれは、嘘だったの? 思わず椅子から立ち上がる。

「鈴木さん、ちょっと落ち着いて」

 隣の広報室を気にしてか、長野さんが咳払いをした。私は腰を落とした。

「……すみません。でも納得いかなくて。倉林さんも神城くんのこと経営者には向いてないって言い出すし、彼の味方はどこにもいないような気になってきて」

「倉林さんそんなこと言ったんだ。流石だなぁ」 

 恋する相手の名前を出しただけで顔が綻ぶ長野さん。
 なんかやっぱり腹が立ってきた。

「長野さんもそう思いですか? 神城くんは優しいから、サイコパスになりきれないから経営者には向いてない、と」  

「そこまでは思ってないよ。だけど鈴木さんも良くわかってないよね」

「え?」

 長野さんは、なぜかテーブルの下を覗き込んだりしながら、落ち着きなく話す。

「ここは啓くんの敵だらけなんだ。安易に話せない。でも、彼はやれるだけのことはやったんだよ」

 そこでようやく、長野さんが盗聴なんかを気にしてるのだとわかった。
 それなら、社外で話してくれればいいのに。

「なら、もう解任されることも覚悟の上だ、と?」

「どうかな。でも、神城啓は天才だから一つの箱に収まってるタイプでもないし、鈴木さんは静かに見守ってるだけでいいと思うよ」

「……」

 しゃしゃり出てくるな、と言いたいのか。
 確かに私には何も出来ないし、今のところ秘書というだけでその任務から外れれば、完全な外野となる。
 私はやっぱり無能だ。
 倉林さんや長野さんにアドバイスを貰おうとしただけで終わってしまった。 

 そして、その翌日。
 エレベーターの中で会いたくない人と一緒になる。



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