同級生がCEO―クールな彼は夢見るように愛に溺れたい(らしい)【番外編非公開中】

光月海愛(こうつきみあ)

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夢ならさめないで

二人の嫉妬

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 私はすぐに振り向けなかった。

「何のことですか?」

 ついでに、とぼけてみせた。

「倉林さんに母子手帳のことを聞いて、直接貴女に確かめたかったけど、拒絶されていたから。だから調べたんだ」

「……調べた?」

 ここで神城くんの顔を見た。暑いのだろう、額に汗を滲ませて気怠い表情をしている。

「鈴木胡桃。血液型はA型。四ヶ月前に青山クリニックで出産してる」

 ――名前まで。

 私の言いたいことがわかったのか、神城くんはネクタイを緩めながら更に怠そうに続けた。

「違法な調べ方はしてないけど、気に障ったらなら済まない。でも、こうでもしないと何も分からなかったから」

「胡桃は私の子供です。父親は誰でも関係ない。放っておいて」

 興信所だか探偵事務所だかに聞き込みをさせてまで子供が欲しくなったのだろうか?

「どうして、そんなに頑固なの?」

 土やきゅうりの青臭さを遮って、ふわりと、懐かしい匂いが私を包んだ。神城くんが抱きしめてきたのだ。

 ――熱い。

 この人、こんなに体温高かったっけ?

「ちょっ、………はな……」
「離さない。離す理由がない」

 ギュッと力を込められ、熱い息が私の耳を掠める。

「あります! ここは私の仕事場です」

 それに、今更この人に抱き締められる理由が分からない。
 だって、貴方、今は恋愛してその人と暮らしてるでしょう?
 私と生活していたその場所で。

 ″夢″って甘い声で囁いてるんでしょう?
 私はいつまで経っても″鈴木さん″だったのに。

 醜い嫉妬が湧いてきて、そんな自分も嫌だった。

 ぐっと押しのけようとしたけれど、ジワリと神城くんのシャツが湿っていることに気が付いた。


「……あの三川さんて、鈴木さんの新しい彼氏?」

「え?」

 脈略のない言葉を発したかと思うと、神城くんはそのままグラリと私に倒れかかった。
 やっぱり、体が凄く熱い。
 神城くんは高熱を出していた。

「体調悪いなら先に言ってください! タクシーか車寄せて貰いますから!」

 グッタリした彼を地面に座らせて、ポケットからスマホを取り出す。
 どんなにハードなスケジュールでも体調を崩したことのない人が、こんなに弱った姿を晒すなんて。
 ダイヤルを押し、三川さんに連絡を取ろうとした私の腕を、神城くんがグッと掴んだ。

「話は、終わってない……」

「それどころじゃないでしょ?」

「ただの過労だよ」

「鬼の霍乱ですか。それでもあなたは今はお客様です。タクシーがだめなら救急車を呼びます」

 鬼と言ったところで、神城くんが苦笑いをして、そのまま項垂れた。

 
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