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1.恋愛初心者
3.好きってなに?
「それにしても、意外でした」
日住君とは帰り道が途中まで一緒だから、生徒会のある日はいつも一緒に帰っている。
「何が?」
「空井先輩が、誰かにいたずらしたりするんですね」
遠慮がちに、彼は私を見る。
「え!?ち、ちがうよ…!あれは、誤解というか…」
両角さんの暴露が、まさか帰り道の話題になるとは思わず、顔から湯気が出そうになる。
「そうなんですか?」
「そうだよ…。うーん…。ほら、私よく教室の掃除をするんだけど、授業が終わっても両角さん起きなくてさ。無理に起こそうとすると、人を殺しそうな目で睨むの」
「人を殺しそうな目って…」
日住君は苦笑する。
もうすぐ夏が来ることを感じさせられるような、生ぬるい湿った風が吹く。
「だから…実験、みたいな」
「実験?」
「どうやったら両角さんを自然に起こせるのかなー?って」
誤魔化すように笑う私を、彼は不思議そうに眺める。
「それで、どんな実験をしてみたんですか?」
まだこの話を続けるのか…!と焦る。が、そんな姿を後輩に晒すわけにもいかず、平静を装う。
「んー、少ないんだけど…机を戻すときにわざと音を立ててみたり、強風の日に窓を全開にしてみたり…」
「ハハハッ」
スポーツ刈りで、まさに好青年といった雰囲気の彼は、屈託なく笑う。
「た、大変なんだよ!寝てる両角さんの机の周りだけホコリがたまっていって…だからなんとか起こそうとしてて」
「そうなんですか」
まだ笑い続ける彼に、少しムッとする。そんなに笑えることかなあ?
私が唇を尖らせていると、それに気づいた彼の眉が垂れる。
「いいなあ」
「え?」
「…いや、楽しそうで。先輩が、楽しそうでいいなって」
いつも別れる十字路で私達は立ち止まる。
「俺も、生徒会で寝たら、先輩にいたずらしてもらえるんですかね?」
私よりも背の高い日住君は、恥ずかしそうに、少し俯きながらも私を見る。
「えぇ!?…いや、生徒会で寝ちゃダメでしょ!…っていうか、いたずらじゃなくて実験!実験だから!そこは、ちゃんと、正しく…」
「はい、すみません」
日住君は笑いながら、押していた自転車に跨る。
「それじゃあ空井先輩、また来週ですね」
「あ、うん。生徒会でね」
彼はペコリと頭を下げて、勢い良くペダルをこいだ。
なんで私は両角さんにあんなことを言ってしまったのだろう?
いくら寝ているからって、何度も何度も呼んだ後に言うべきじゃなかった。せめて、最初の方で言っておくべきだったし、例え彼女が本当に寝ていたのだとしても、クラスメイトが突然教室に入ってきて聞かれる可能性だってあった。
今さらになって、後悔が押し寄せてくる。
彼の背中が見えなくなったのを確認してから、自分の行いの恥ずかしさを隠したくて、両手で顔を覆った。
ふいにまた風が吹いて、伸びた髪が耳をかすめる。
両角さんの声が、かかる息が思い出されて、背筋がゾワッとした。
頭をぶんぶん振って、鞄を肩にかけ直す。
私は日住君の走っていった方とは逆の方に歩きだして、家に向かった。
日住君とは帰り道が途中まで一緒だから、生徒会のある日はいつも一緒に帰っている。
「何が?」
「空井先輩が、誰かにいたずらしたりするんですね」
遠慮がちに、彼は私を見る。
「え!?ち、ちがうよ…!あれは、誤解というか…」
両角さんの暴露が、まさか帰り道の話題になるとは思わず、顔から湯気が出そうになる。
「そうなんですか?」
「そうだよ…。うーん…。ほら、私よく教室の掃除をするんだけど、授業が終わっても両角さん起きなくてさ。無理に起こそうとすると、人を殺しそうな目で睨むの」
「人を殺しそうな目って…」
日住君は苦笑する。
もうすぐ夏が来ることを感じさせられるような、生ぬるい湿った風が吹く。
「だから…実験、みたいな」
「実験?」
「どうやったら両角さんを自然に起こせるのかなー?って」
誤魔化すように笑う私を、彼は不思議そうに眺める。
「それで、どんな実験をしてみたんですか?」
まだこの話を続けるのか…!と焦る。が、そんな姿を後輩に晒すわけにもいかず、平静を装う。
「んー、少ないんだけど…机を戻すときにわざと音を立ててみたり、強風の日に窓を全開にしてみたり…」
「ハハハッ」
スポーツ刈りで、まさに好青年といった雰囲気の彼は、屈託なく笑う。
「た、大変なんだよ!寝てる両角さんの机の周りだけホコリがたまっていって…だからなんとか起こそうとしてて」
「そうなんですか」
まだ笑い続ける彼に、少しムッとする。そんなに笑えることかなあ?
私が唇を尖らせていると、それに気づいた彼の眉が垂れる。
「いいなあ」
「え?」
「…いや、楽しそうで。先輩が、楽しそうでいいなって」
いつも別れる十字路で私達は立ち止まる。
「俺も、生徒会で寝たら、先輩にいたずらしてもらえるんですかね?」
私よりも背の高い日住君は、恥ずかしそうに、少し俯きながらも私を見る。
「えぇ!?…いや、生徒会で寝ちゃダメでしょ!…っていうか、いたずらじゃなくて実験!実験だから!そこは、ちゃんと、正しく…」
「はい、すみません」
日住君は笑いながら、押していた自転車に跨る。
「それじゃあ空井先輩、また来週ですね」
「あ、うん。生徒会でね」
彼はペコリと頭を下げて、勢い良くペダルをこいだ。
なんで私は両角さんにあんなことを言ってしまったのだろう?
いくら寝ているからって、何度も何度も呼んだ後に言うべきじゃなかった。せめて、最初の方で言っておくべきだったし、例え彼女が本当に寝ていたのだとしても、クラスメイトが突然教室に入ってきて聞かれる可能性だってあった。
今さらになって、後悔が押し寄せてくる。
彼の背中が見えなくなったのを確認してから、自分の行いの恥ずかしさを隠したくて、両手で顔を覆った。
ふいにまた風が吹いて、伸びた髪が耳をかすめる。
両角さんの声が、かかる息が思い出されて、背筋がゾワッとした。
頭をぶんぶん振って、鞄を肩にかけ直す。
私は日住君の走っていった方とは逆の方に歩きだして、家に向かった。
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