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1.恋愛初心者
15.彼女
「私、そろそろ生徒会に行かないと」
「毎週あるの?」
「そうだよ。たまに土曜日も集まりがあるかな」
「なにするの?」
「うーん。月にもよるけど…。4月は部活の登録作業とか新入生に向けた行事の進行かな。5月は基本的には部費の予算会議が多かったけど、今度の体育祭についても少しあったかな。あ、ボランティア活動とかもするよ。6月は体育祭の」
そこまで言って「うわあぁあ」と彼女は降参のポーズを取る。
「結構忙しいんだね。すごすぎるよ、穂」
「そうかな?」
中学でも似たような感じでずっとやってきたから、特別何がすごいのかはよくわからない。
ただ中学では1つだけやったことのない行事があった。去年やって一番大変だった、文化祭。
文化祭の1ヶ月前から学校全体がそわそわしてるような雰囲気に包まれる。各クラスや部活の催し物の登録が行われるからだ。
何をしようか?使う教室は自由に選べるので、どこの教室が一番自分たちに良いか?人気の場所はクジで決めるから、もし外れたらどこにしようか?…などなど、みんな考えることはたくさんだ。
ほとんどの人が放課後を使って、文化祭が始まる1週間前から準備を始める。それは学校が定めた期間でもある。
でもダンス部や軽音部など、何かを披露する人たちはもっと前から準備しているようだった。
土日に文化祭が行われるので、その前日の金曜日は準備のために丸一日授業がない。
文化祭当日、私達生徒会のメンバーは、主に受付をする。問題が発生したら先生と駆けつけなければならないし、念のため定期的に見回りもする。はしゃぎ過ぎて服を脱ぎ始める生徒もいたりするから大変だ。
しかも今年、私達には修学旅行が控えている。
9月に文化祭があり、10月に修学旅行があるから、やることは山積みだ。
修学旅行は2年生だけの行事だけど、私はクラスの委員長もやっている。修学旅行の準備は、主に委員長の役割だ。いろいろ大変そうだ、と今から思いを馳せる。
その前に…今月の下旬、ちょうど1週間後には体育祭がある。
今は生徒会でその準備をしているから、これまた忙しい。
基本的に各クラスから体育祭委員が2人選出されて、生徒会はその取りまとめ役をする。
体育祭前日には準備の指示を出さなければならない立場だ。
体育祭が終われば期末テストが控えている。
そしてその後は晴れて夏休み。
しゃがんでいる永那ちゃんが、立っている私のスカートの裾を摘む。
あれこれ思考に耽っていたのが一気に現実に引き戻されて、慌てて腕時計を見た。
「まずい…!行かなきゃ」
歩こうとしたけど、永那ちゃんはまだスカートを掴んで離さない。
「永那ちゃん」
少し焦りながら、離してもらいたくて彼女の名前を呼ぶ。
彼女は手を離して立ち上がる。
私が歩き出そうとするから、引き止めるように右腕を掴まれた。
「永那ちゃん?」
「ちゃんと…。ちゃんと確認したい」
「何を?」
(こんな時に何?)と急ぐ気持ちが全面に出る。
「穂は、もう私の彼女?」
“彼女”という響きに胸が高鳴る。
コクリと頷くと、永那ちゃんの顔が蕩ける。
「穂、今日何時に生徒会終わるの?」
「うーん…。もう体育祭が1週間後だからね、結構忙しくて…下手したら7時くらいになるかな?」
今週は忙しくなると伝えてあるから、誉には作り置きしたご飯を食べてもらうようにしている。
「7時かあ…」
「ごめん、永那ちゃん。さすがにそろそろ行かないと」
もう5時を過ぎていた。たぶん、打ち合わせは始まってしまっている。
副生徒会長である身としては、あまり遅れたくはない。
永那ちゃんが掴んでいた私の腕を放す。
駆け足で生徒会室に向かう。生徒会室は3階にあるから、持久力のない私にとってはかなりキツい。
でも永那ちゃんが言った“彼女”という言葉が脳内で繰り返され、不思議と足は軽かった。
途中、教室に寄って鞄を取る。
階段の踊り場にある大きな窓を、駆けているようにつたう雨粒。まるで私と一緒に走っているみたい。
体育祭の日は晴れるといいけど…。
そういえば永那ちゃんは何の競技に参加するのだろう?
体育祭では、必ず1人最低でも2競技に参加しなければならない。
私は綱引きと玉入れに参加する予定だ。
生徒会のメンバーは進行役だから、それを考慮して無理に2競技参加する必要はない。でもなんとなく、こちらから「最低でも2競技」とクラスメイトに告げるのに、“自分は特別だから”とは言えなかった。
走り続けて息が切れる。
生徒会室の前で深呼吸して、息を整えてから、入室した。
やっぱりもう打ち合わせは始まっていて、私は謝りながら席についた。
「毎週あるの?」
「そうだよ。たまに土曜日も集まりがあるかな」
「なにするの?」
「うーん。月にもよるけど…。4月は部活の登録作業とか新入生に向けた行事の進行かな。5月は基本的には部費の予算会議が多かったけど、今度の体育祭についても少しあったかな。あ、ボランティア活動とかもするよ。6月は体育祭の」
そこまで言って「うわあぁあ」と彼女は降参のポーズを取る。
「結構忙しいんだね。すごすぎるよ、穂」
「そうかな?」
中学でも似たような感じでずっとやってきたから、特別何がすごいのかはよくわからない。
ただ中学では1つだけやったことのない行事があった。去年やって一番大変だった、文化祭。
文化祭の1ヶ月前から学校全体がそわそわしてるような雰囲気に包まれる。各クラスや部活の催し物の登録が行われるからだ。
何をしようか?使う教室は自由に選べるので、どこの教室が一番自分たちに良いか?人気の場所はクジで決めるから、もし外れたらどこにしようか?…などなど、みんな考えることはたくさんだ。
ほとんどの人が放課後を使って、文化祭が始まる1週間前から準備を始める。それは学校が定めた期間でもある。
でもダンス部や軽音部など、何かを披露する人たちはもっと前から準備しているようだった。
土日に文化祭が行われるので、その前日の金曜日は準備のために丸一日授業がない。
文化祭当日、私達生徒会のメンバーは、主に受付をする。問題が発生したら先生と駆けつけなければならないし、念のため定期的に見回りもする。はしゃぎ過ぎて服を脱ぎ始める生徒もいたりするから大変だ。
しかも今年、私達には修学旅行が控えている。
9月に文化祭があり、10月に修学旅行があるから、やることは山積みだ。
修学旅行は2年生だけの行事だけど、私はクラスの委員長もやっている。修学旅行の準備は、主に委員長の役割だ。いろいろ大変そうだ、と今から思いを馳せる。
その前に…今月の下旬、ちょうど1週間後には体育祭がある。
今は生徒会でその準備をしているから、これまた忙しい。
基本的に各クラスから体育祭委員が2人選出されて、生徒会はその取りまとめ役をする。
体育祭前日には準備の指示を出さなければならない立場だ。
体育祭が終われば期末テストが控えている。
そしてその後は晴れて夏休み。
しゃがんでいる永那ちゃんが、立っている私のスカートの裾を摘む。
あれこれ思考に耽っていたのが一気に現実に引き戻されて、慌てて腕時計を見た。
「まずい…!行かなきゃ」
歩こうとしたけど、永那ちゃんはまだスカートを掴んで離さない。
「永那ちゃん」
少し焦りながら、離してもらいたくて彼女の名前を呼ぶ。
彼女は手を離して立ち上がる。
私が歩き出そうとするから、引き止めるように右腕を掴まれた。
「永那ちゃん?」
「ちゃんと…。ちゃんと確認したい」
「何を?」
(こんな時に何?)と急ぐ気持ちが全面に出る。
「穂は、もう私の彼女?」
“彼女”という響きに胸が高鳴る。
コクリと頷くと、永那ちゃんの顔が蕩ける。
「穂、今日何時に生徒会終わるの?」
「うーん…。もう体育祭が1週間後だからね、結構忙しくて…下手したら7時くらいになるかな?」
今週は忙しくなると伝えてあるから、誉には作り置きしたご飯を食べてもらうようにしている。
「7時かあ…」
「ごめん、永那ちゃん。さすがにそろそろ行かないと」
もう5時を過ぎていた。たぶん、打ち合わせは始まってしまっている。
副生徒会長である身としては、あまり遅れたくはない。
永那ちゃんが掴んでいた私の腕を放す。
駆け足で生徒会室に向かう。生徒会室は3階にあるから、持久力のない私にとってはかなりキツい。
でも永那ちゃんが言った“彼女”という言葉が脳内で繰り返され、不思議と足は軽かった。
途中、教室に寄って鞄を取る。
階段の踊り場にある大きな窓を、駆けているようにつたう雨粒。まるで私と一緒に走っているみたい。
体育祭の日は晴れるといいけど…。
そういえば永那ちゃんは何の競技に参加するのだろう?
体育祭では、必ず1人最低でも2競技に参加しなければならない。
私は綱引きと玉入れに参加する予定だ。
生徒会のメンバーは進行役だから、それを考慮して無理に2競技参加する必要はない。でもなんとなく、こちらから「最低でも2競技」とクラスメイトに告げるのに、“自分は特別だから”とは言えなかった。
走り続けて息が切れる。
生徒会室の前で深呼吸して、息を整えてから、入室した。
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