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1.恋愛初心者
42.靄
そういえば、永那ちゃんのお母さんについて聞くのを忘れていたな…と思い出したのは、月曜日、永那ちゃんが授業中に寝ている姿を見たときだった。
聞こうと思ってたけど、まず、駅でのキスで頭が真っ白になった。
その後思い出して、聞こうと思ったけど、首筋を舐められて、また頭から抜けてしまった。
それからは“食べる”ことについて考え続けて、全く思い出せなかった。
会う前に何を話そうか考えていたけど、結局永那ちゃんが私を選んでくれた理由しか聞けなかった。
…それだけでも聞けてよかったけれど。
2人の関係をみんなに言うか言わないかを決められたのも良かった。
でも学校でどう2人で話すかは保留になったし、まだまだ永那ちゃんと話したいことがたくさんある。
いつも通り学校生活は過ぎていった。
結局2人で話す隙がないまま、2人で話せる時間をどう捻出するかの案も出ないまま、時間だけが過ぎていく。
期末テスト2週間前ということもあってか、授業中、ちゃんと起きている人が多い。
この時期になると、先生が「ここ出るからなー」とヒントを出してくれることも多くなる。
木曜日になっても、相変わらず永那ちゃんは授業中寝ていた。
「大丈夫なのかな?」と心配になる。
永那ちゃんの成績は良いみたいだし、問題ないのだろうけど…。
休み時間中、先生が出ると言っていたところをルーズリーフに書き写す。
私は全教科、1つのバインダーにまとめている。いつでも見返せるように。
だから月曜日、火曜日、水曜日の授業の分まで書いて、まとめてみる。
ちょうど次の授業の終わりに永那ちゃんが起きた。
私は緊張しつつも、まとめたルーズリーフを持って彼女の机に向かう。
既に彼女が起きたことを察して、佐藤さんが動き出していた。
佐藤さんのほうが私よりも席が近い。
私が行くときには、もう座っている永那ちゃんの背中に寄りかかって、楽しそうに話し始めている。
永那ちゃんの隣の席に座っている他の子も話に参加していて、緊張感が高まる。
「え」
声が裏返る。
“永那ちゃん”と言いかけて、慌てて唾を飲む。
「両角さん」
永那ちゃんが目をまん丸く開く。
すぐに輝くような笑顔を見せられて、胸がギュッと掴まれる。
永那ちゃんの背中に寄りかかっていた佐藤さんの笑顔が消えていく。
スーッと目が細くなり、訝しげに私を見る。
「あの、授業中ずっと寝ているようだから…これ…」
私がルーズリーフを手渡すと、永那ちゃんは興味深げに見た。
「一応、先生がテストに出るって言ったところをまとめてみたんだけど。…あとは、個人的に大事そうだと思ったところも少しだけ」
永那ちゃんは勢い良く顔を上げ「嬉しい!ありがとう!」と笑ってくれる。
「空井さん、永那には私がノートを貸してあげてるから大丈夫ですよ?」
佐藤さんからの圧が強くなる。
「2人分のノートがあれば、それだけわかりやすくもなるし、私はどっちもありがたいよ」
「でも、書いてある内容は同じでしょ?」
永那ちゃんは顔を上げて、佐藤さんを見る。
2人の顔の距離が近くて、ドキッとする。
心なしか、永那ちゃんの頭が佐藤さんの胸に当たっている気も…。
そっと目をそらす。
「千陽のは授業の内容全部が書かれてるでしょ?穂は先生がテストに出るって言ったところをまとめてくれたって言ってたよ?」
まるで当たり前みたいに“穂”と呼ばれて、緊張とはべつの意味で鼓動が速くなる。
「2つあったほうが便利じゃん?…ダメ?」
佐藤さんの瞳が揺らいで、永那ちゃんから視線をそらす。
「べつに…いいけど」
そう小さく呟いて、頬を膨らます。
ああ、そんな仕草も佐藤さんは可愛くて羨ましいなあと思ってしまう。
永那ちゃんがニコッと笑って、姿勢を戻す。
「ありがとう、穂。また持ってきてくれたら嬉しいな」
私が渡したルーズリーフを大事そうに両手で持って、ニコニコ笑う。
その姿に、私も笑みが溢れる。
遠くから「“穂”って、空井さんの名前?」と聞く声が聞こえた。
永那ちゃんは、普通に「そうだよー」と答えている。
「綺麗な名前だよね」なんて付け加えるから、恥ずかしさで思わず机に突っ伏した。
直接言われるよりも恥ずかしいようなこの感じ、一体なんなんだろう。
「永那、いつの間に空井さんのこと名前で呼び始めたの?」
佐藤さんが聞いて、周りの人たちも興味深げにする。
「えー?いつかな?…2週間前くらい?」
「なんでなんで?」とみんなが言ってるから、私も聞き耳を立てる。
永那ちゃんはなんて答えるんだろう?
「みんなが掃除サボるから仲良くなったんだよ。いいでしょ?」
彼女がへへへと笑うから、私も腕のなかで頬が緩む。
「永那だってサボってたでしょー!」とツッコまれて、ケラケラ笑う声が響く。
その笑い声に、佐藤さんの声は含まれていないようだった。
聞こうと思ってたけど、まず、駅でのキスで頭が真っ白になった。
その後思い出して、聞こうと思ったけど、首筋を舐められて、また頭から抜けてしまった。
それからは“食べる”ことについて考え続けて、全く思い出せなかった。
会う前に何を話そうか考えていたけど、結局永那ちゃんが私を選んでくれた理由しか聞けなかった。
…それだけでも聞けてよかったけれど。
2人の関係をみんなに言うか言わないかを決められたのも良かった。
でも学校でどう2人で話すかは保留になったし、まだまだ永那ちゃんと話したいことがたくさんある。
いつも通り学校生活は過ぎていった。
結局2人で話す隙がないまま、2人で話せる時間をどう捻出するかの案も出ないまま、時間だけが過ぎていく。
期末テスト2週間前ということもあってか、授業中、ちゃんと起きている人が多い。
この時期になると、先生が「ここ出るからなー」とヒントを出してくれることも多くなる。
木曜日になっても、相変わらず永那ちゃんは授業中寝ていた。
「大丈夫なのかな?」と心配になる。
永那ちゃんの成績は良いみたいだし、問題ないのだろうけど…。
休み時間中、先生が出ると言っていたところをルーズリーフに書き写す。
私は全教科、1つのバインダーにまとめている。いつでも見返せるように。
だから月曜日、火曜日、水曜日の授業の分まで書いて、まとめてみる。
ちょうど次の授業の終わりに永那ちゃんが起きた。
私は緊張しつつも、まとめたルーズリーフを持って彼女の机に向かう。
既に彼女が起きたことを察して、佐藤さんが動き出していた。
佐藤さんのほうが私よりも席が近い。
私が行くときには、もう座っている永那ちゃんの背中に寄りかかって、楽しそうに話し始めている。
永那ちゃんの隣の席に座っている他の子も話に参加していて、緊張感が高まる。
「え」
声が裏返る。
“永那ちゃん”と言いかけて、慌てて唾を飲む。
「両角さん」
永那ちゃんが目をまん丸く開く。
すぐに輝くような笑顔を見せられて、胸がギュッと掴まれる。
永那ちゃんの背中に寄りかかっていた佐藤さんの笑顔が消えていく。
スーッと目が細くなり、訝しげに私を見る。
「あの、授業中ずっと寝ているようだから…これ…」
私がルーズリーフを手渡すと、永那ちゃんは興味深げに見た。
「一応、先生がテストに出るって言ったところをまとめてみたんだけど。…あとは、個人的に大事そうだと思ったところも少しだけ」
永那ちゃんは勢い良く顔を上げ「嬉しい!ありがとう!」と笑ってくれる。
「空井さん、永那には私がノートを貸してあげてるから大丈夫ですよ?」
佐藤さんからの圧が強くなる。
「2人分のノートがあれば、それだけわかりやすくもなるし、私はどっちもありがたいよ」
「でも、書いてある内容は同じでしょ?」
永那ちゃんは顔を上げて、佐藤さんを見る。
2人の顔の距離が近くて、ドキッとする。
心なしか、永那ちゃんの頭が佐藤さんの胸に当たっている気も…。
そっと目をそらす。
「千陽のは授業の内容全部が書かれてるでしょ?穂は先生がテストに出るって言ったところをまとめてくれたって言ってたよ?」
まるで当たり前みたいに“穂”と呼ばれて、緊張とはべつの意味で鼓動が速くなる。
「2つあったほうが便利じゃん?…ダメ?」
佐藤さんの瞳が揺らいで、永那ちゃんから視線をそらす。
「べつに…いいけど」
そう小さく呟いて、頬を膨らます。
ああ、そんな仕草も佐藤さんは可愛くて羨ましいなあと思ってしまう。
永那ちゃんがニコッと笑って、姿勢を戻す。
「ありがとう、穂。また持ってきてくれたら嬉しいな」
私が渡したルーズリーフを大事そうに両手で持って、ニコニコ笑う。
その姿に、私も笑みが溢れる。
遠くから「“穂”って、空井さんの名前?」と聞く声が聞こえた。
永那ちゃんは、普通に「そうだよー」と答えている。
「綺麗な名前だよね」なんて付け加えるから、恥ずかしさで思わず机に突っ伏した。
直接言われるよりも恥ずかしいようなこの感じ、一体なんなんだろう。
「永那、いつの間に空井さんのこと名前で呼び始めたの?」
佐藤さんが聞いて、周りの人たちも興味深げにする。
「えー?いつかな?…2週間前くらい?」
「なんでなんで?」とみんなが言ってるから、私も聞き耳を立てる。
永那ちゃんはなんて答えるんだろう?
「みんなが掃除サボるから仲良くなったんだよ。いいでしょ?」
彼女がへへへと笑うから、私も腕のなかで頬が緩む。
「永那だってサボってたでしょー!」とツッコまれて、ケラケラ笑う声が響く。
その笑い声に、佐藤さんの声は含まれていないようだった。
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