72 / 595
2.変化
72.王子様
次の日の朝、永那に聞く。
「ねえ、空井さんってけっこうモテるの?」
「え?なんで?」
「…永那がそんなに好きになるなら、そうなのかな?って」
永那は少し考えて、頷いた。
「詳しくはわかんないけど、モテるんじゃない?」
わりと適当に答えられる。
「そういうの、興味ないんだと思ってたけど」
永那はケラケラ笑う。
「そうだね、興味は全然なかったみたい」
まるで彼女のことならなんでも知ってるみたいな態度で、胸に痛みが走る。
彼女とヤッたのかヤッてないのか、聞きたい気持ちと知りたくない気持ちが入り交じる。
迷って、それを聞けば2人が付き合ってると認めるみたいになると思い、やめた。
「そういえば、テスト期間中、どうする?」
永那が“忘れてた”みたいな顔をした。
いつもあんなに楽しみにしてるのに。
「いつも通り、月から木は2人で過ごして、金曜だけみんなで集まる?」
「んー…ごめん、予定は未定で!」
「は?」
「月曜に決めるんじゃ、だめ?」
そんな聞き方されて“だめ”と言える人は少数派なんじゃないかと思う。
どうせ空井さんだろう。
今あたしが聞くまで忘れてて、あたしに聞かれて思い出して、空井さんの予定を聞いてみよう…と思った感じだろうな。
月曜日の朝。
「それで永那、どうするの?」
あたしはわざとらしく笑顔を作る。
永那は首を傾げて、全く覚えていないらしい。
こんな適当にされて、あたしって本当に大事にされてるのかな?と、少し苛立った。
あたし健気すぎない?
「テスト期間中の予定」
永那は何度も瞬きをして、口角をギュッとあげる。
あからさまな作り笑いだ。
「全部埋まった」
「は?」
へへへと笑う永那にイラつく。
「どんな予定か、詳しく」
あたしも笑顔で対抗して、絶対に聞き出すことを決意した。
「えーっと…」
「詳しく、ちゃんと言ってくれないと泣くよ?…あたし、ちゃんと今日まで待ったんだから。覚えてるよね?約束したの」
永那はあたしの“泣く”に弱い。
よっぽどあたしに泣いてほしくないらしい。
永那は顔を引きつらせて、ブツブツ呟く。
「なに?」
耳を口元に近づけると「穂の家で勉強会」と繰り返し言っていた。
「つまり月から金まで、ずっと空井さんの家ってこと?」
…ああ、胸糞悪い。
え、なに?
もしかして月から金までセックス三昧とか?
絶対嫌だ。
「それって、あたしも参加していいよね?」
永那の顔がバッと上がる。
「うぇ?」
「“勉強会”なんでしょ?べつにあたしがいてもいいよね?」
「…あ、あぁ、穂に聞いてみないと。穂の家なんだし…急にお邪魔するってなっても、ほら?家の人も困るかもしれないじゃん?」
どうせ永那だって直前に聞いたくせに。
「わかった、じゃあ聞いといて」
放課後、予定自体がなくなりそうだったけど、空井さんが行ってもいいと言ってくれた。
これで少なくとも、1週間のセックス三昧は回避。
もはや自分で自分が何をしたいのかわからなくなってる。
3人で空井さんの家に向かう。
そういえば、あたしが誰かの家にお邪魔するのって、小学生ぶりじゃない?
…なんか、少し緊張してきた。
緊張を紛らわすように、なるべく2人を2人にしないように、あたしは永那に引っ付いた。
家についてすぐ、永那が「トイレ借りていい?」と聞いた。
空井さんが頷いて、なんの迷いもなく、永那は左の扉を開いて中に入った。
…来たことあるのね。
思ったよりも、辛い1週間になるかもしれない。
いざとなったら優里を召喚しよう。
「あ、佐藤さん。どうぞ」
あたしは空井さんに案内されるまま、リビングに進んだ。
「えーっと、私の部屋は狭いから、リビングでいいかな?そのうち弟が帰ってきちゃうと思うけど…」
私は家のなかをじっくり見た。
どこでセックスしたんだろう?
…やっぱり空井さんの部屋?
だとするなら、絶対見ておきたいよね。
あたしは永那から、セックスした話は何度も聞いたことがあるけど、具体的にどこでしたかとかは聞いたことがほとんどなかった。
具体的に聞いても、その場所を見る勇気なんて、前のあたしにはなかった。
でも今は、永那に積極的になるって決めた。
永那の好きなシチュエーションを知りたい。
そうすれば今からでも、もしかしたら永那は、あたしを見てくれるかもしれない。
だから、傷つくのも承知で、あたしは言う。
「ねえ、空井さんってけっこうモテるの?」
「え?なんで?」
「…永那がそんなに好きになるなら、そうなのかな?って」
永那は少し考えて、頷いた。
「詳しくはわかんないけど、モテるんじゃない?」
わりと適当に答えられる。
「そういうの、興味ないんだと思ってたけど」
永那はケラケラ笑う。
「そうだね、興味は全然なかったみたい」
まるで彼女のことならなんでも知ってるみたいな態度で、胸に痛みが走る。
彼女とヤッたのかヤッてないのか、聞きたい気持ちと知りたくない気持ちが入り交じる。
迷って、それを聞けば2人が付き合ってると認めるみたいになると思い、やめた。
「そういえば、テスト期間中、どうする?」
永那が“忘れてた”みたいな顔をした。
いつもあんなに楽しみにしてるのに。
「いつも通り、月から木は2人で過ごして、金曜だけみんなで集まる?」
「んー…ごめん、予定は未定で!」
「は?」
「月曜に決めるんじゃ、だめ?」
そんな聞き方されて“だめ”と言える人は少数派なんじゃないかと思う。
どうせ空井さんだろう。
今あたしが聞くまで忘れてて、あたしに聞かれて思い出して、空井さんの予定を聞いてみよう…と思った感じだろうな。
月曜日の朝。
「それで永那、どうするの?」
あたしはわざとらしく笑顔を作る。
永那は首を傾げて、全く覚えていないらしい。
こんな適当にされて、あたしって本当に大事にされてるのかな?と、少し苛立った。
あたし健気すぎない?
「テスト期間中の予定」
永那は何度も瞬きをして、口角をギュッとあげる。
あからさまな作り笑いだ。
「全部埋まった」
「は?」
へへへと笑う永那にイラつく。
「どんな予定か、詳しく」
あたしも笑顔で対抗して、絶対に聞き出すことを決意した。
「えーっと…」
「詳しく、ちゃんと言ってくれないと泣くよ?…あたし、ちゃんと今日まで待ったんだから。覚えてるよね?約束したの」
永那はあたしの“泣く”に弱い。
よっぽどあたしに泣いてほしくないらしい。
永那は顔を引きつらせて、ブツブツ呟く。
「なに?」
耳を口元に近づけると「穂の家で勉強会」と繰り返し言っていた。
「つまり月から金まで、ずっと空井さんの家ってこと?」
…ああ、胸糞悪い。
え、なに?
もしかして月から金までセックス三昧とか?
絶対嫌だ。
「それって、あたしも参加していいよね?」
永那の顔がバッと上がる。
「うぇ?」
「“勉強会”なんでしょ?べつにあたしがいてもいいよね?」
「…あ、あぁ、穂に聞いてみないと。穂の家なんだし…急にお邪魔するってなっても、ほら?家の人も困るかもしれないじゃん?」
どうせ永那だって直前に聞いたくせに。
「わかった、じゃあ聞いといて」
放課後、予定自体がなくなりそうだったけど、空井さんが行ってもいいと言ってくれた。
これで少なくとも、1週間のセックス三昧は回避。
もはや自分で自分が何をしたいのかわからなくなってる。
3人で空井さんの家に向かう。
そういえば、あたしが誰かの家にお邪魔するのって、小学生ぶりじゃない?
…なんか、少し緊張してきた。
緊張を紛らわすように、なるべく2人を2人にしないように、あたしは永那に引っ付いた。
家についてすぐ、永那が「トイレ借りていい?」と聞いた。
空井さんが頷いて、なんの迷いもなく、永那は左の扉を開いて中に入った。
…来たことあるのね。
思ったよりも、辛い1週間になるかもしれない。
いざとなったら優里を召喚しよう。
「あ、佐藤さん。どうぞ」
あたしは空井さんに案内されるまま、リビングに進んだ。
「えーっと、私の部屋は狭いから、リビングでいいかな?そのうち弟が帰ってきちゃうと思うけど…」
私は家のなかをじっくり見た。
どこでセックスしたんだろう?
…やっぱり空井さんの部屋?
だとするなら、絶対見ておきたいよね。
あたしは永那から、セックスした話は何度も聞いたことがあるけど、具体的にどこでしたかとかは聞いたことがほとんどなかった。
具体的に聞いても、その場所を見る勇気なんて、前のあたしにはなかった。
でも今は、永那に積極的になるって決めた。
永那の好きなシチュエーションを知りたい。
そうすれば今からでも、もしかしたら永那は、あたしを見てくれるかもしれない。
だから、傷つくのも承知で、あたしは言う。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。