文字の大きさ
大
中
小
73 / 595
2.変化
73.王子様
■■■
佐藤さんから返事がなくて、戸惑う。
すごい家中見られてて少し恥ずかしい。
「あたし、空井さんの部屋見てみたい」
「え?」
「だめ?」
モテる人のテクニックなのかな?
この“だめ?”って聞くの。
まあ、永那ちゃんと一緒にいる時間が長ければ、そのうち言動も似てきたりするものなのかな?
…いつか、私も。
「いいけど」
私が自室に案内すると、佐藤さんは「わあっ」と声を出した。
そのままスポッとベッドに座る。
「ベッド広いねえ!」
「…あ、うん。セミダブルだからね。1人にしては広いよね」
佐藤さんは布団を撫でてから、部屋中を舐め回すように見る。
きっと相手が佐藤さんでなければ…例え相手が佐藤さんだったとしても、前の私であれば、私は「人の家に初めて来て、勝手にベッドに座るのはどうかと思う。まずは相手に確認を取るのが筋でしょ?」とか言ってしまいそうだ。
「あれ?穂の部屋で勉強するの?」
永那ちゃんが顔を出す。
「あたしが見たいって言ったの」
佐藤さんが答える。
「ふーん。…えっと、それで、どこで勉強する?」
「3人だし、リビングがいいかなって」
「そうだね」
永那ちゃんがリビングのローテーブルの横に鞄を置いて、床に座る。
部屋にあるローテーブルよりは広いけど、私はダイニングテーブルで勉強するつもりだったから、その姿に笑ってしまう。
視線を佐藤さんに戻すと、完全に寝転がってて驚愕する。
…すごい堂々としてるなあ。
「ねー、永那ー!」
「んー?」
「ベッドめっちゃ広いよー!」
「知ってるー」
私はギョッとして永那ちゃんを見る。
…待って。
永那ちゃん普通にトイレに入ったし、私の部屋も把握していたし、ベッドの広さも知ってるって…前に来たことあるって言ってるようなものじゃない?
ゴクリと唾を飲む。
「永那ー」
「なんだよー」
「来てよー」
佐藤さんは何も気にしてないみたいに、気づいてないみたいに振る舞う。
でも、絶対わかってるよね?
…大丈夫なのかなあ?
「なんだよ」
永那ちゃんが眉間にシワを寄せながら顔を出した。
「一緒に寝ようよー」
「はあ?勉強しにきたんでしょ?」
「ちょっとくらいいいじゃん。ねえ?」
佐藤さんに見られて、ビクッとする。
「え?…あぁ」
こういうとき、なんて答えればいいのかわからない。
人と話すときは、誉に叱るみたいに言うのが常だったから。
「千陽勉強しないなら帰れよ、マジで」
永那ちゃんの口調が荒い。
「ちょっとだけー、ねー?」
永那ちゃんがため息をついて「ごめんね」と私に言う。
「てかさ、人のベッドに勝手に寝るとか、どんな神経してんの?お前」
佐藤さんの目が薄くなる。
「空井さん、何も言ってないんだからいいじゃん」
「確認したの?」
佐藤さんの目の下がピクピク痙攣していて、本気で怒ってしまいそうだ。
「あ、あぁ、大丈夫だから」
佐藤さんの視線が私に向く。
冷めきった視線に気まずさを感じる。
「ほら、だから一緒に寝よ?」
永那ちゃんがため息をつきながら私のベッドに寝る。
その瞬間、土曜日が思い出される。
日曜日、シーツも布団も洗濯したけど、景色は変わらないから一瞬で思い出せるのが怖い。
下腹部が疼いて、目を瞑った。
へへへという幸せそうな笑い声で、私は目を開ける。
佐藤さんが永那ちゃんを抱き枕にするように寝転がっている。
眉頭に力が込もる。
「やめろよ!」
永那ちゃんが佐藤さんを突き飛ばす。
その勢いで佐藤さんが壁に頭をぶつけた。
「あ、ごめん」
佐藤さんの目に涙が浮かぶ。
「だ、大丈夫?何か冷やす物でも持ってこようか?」
佐藤さんは無反応で、ポタポタと涙を溢した。
「ごめんて」
永那ちゃんが佐藤さんの頭を撫でる。
佐藤さんは頷いて、指で涙を拭っている。
私はどうすればいいのかわからなくて、頬を掻いた。
佐藤さんから返事がなくて、戸惑う。
すごい家中見られてて少し恥ずかしい。
「あたし、空井さんの部屋見てみたい」
「え?」
「だめ?」
モテる人のテクニックなのかな?
この“だめ?”って聞くの。
まあ、永那ちゃんと一緒にいる時間が長ければ、そのうち言動も似てきたりするものなのかな?
…いつか、私も。
「いいけど」
私が自室に案内すると、佐藤さんは「わあっ」と声を出した。
そのままスポッとベッドに座る。
「ベッド広いねえ!」
「…あ、うん。セミダブルだからね。1人にしては広いよね」
佐藤さんは布団を撫でてから、部屋中を舐め回すように見る。
きっと相手が佐藤さんでなければ…例え相手が佐藤さんだったとしても、前の私であれば、私は「人の家に初めて来て、勝手にベッドに座るのはどうかと思う。まずは相手に確認を取るのが筋でしょ?」とか言ってしまいそうだ。
「あれ?穂の部屋で勉強するの?」
永那ちゃんが顔を出す。
「あたしが見たいって言ったの」
佐藤さんが答える。
「ふーん。…えっと、それで、どこで勉強する?」
「3人だし、リビングがいいかなって」
「そうだね」
永那ちゃんがリビングのローテーブルの横に鞄を置いて、床に座る。
部屋にあるローテーブルよりは広いけど、私はダイニングテーブルで勉強するつもりだったから、その姿に笑ってしまう。
視線を佐藤さんに戻すと、完全に寝転がってて驚愕する。
…すごい堂々としてるなあ。
「ねー、永那ー!」
「んー?」
「ベッドめっちゃ広いよー!」
「知ってるー」
私はギョッとして永那ちゃんを見る。
…待って。
永那ちゃん普通にトイレに入ったし、私の部屋も把握していたし、ベッドの広さも知ってるって…前に来たことあるって言ってるようなものじゃない?
ゴクリと唾を飲む。
「永那ー」
「なんだよー」
「来てよー」
佐藤さんは何も気にしてないみたいに、気づいてないみたいに振る舞う。
でも、絶対わかってるよね?
…大丈夫なのかなあ?
「なんだよ」
永那ちゃんが眉間にシワを寄せながら顔を出した。
「一緒に寝ようよー」
「はあ?勉強しにきたんでしょ?」
「ちょっとくらいいいじゃん。ねえ?」
佐藤さんに見られて、ビクッとする。
「え?…あぁ」
こういうとき、なんて答えればいいのかわからない。
人と話すときは、誉に叱るみたいに言うのが常だったから。
「千陽勉強しないなら帰れよ、マジで」
永那ちゃんの口調が荒い。
「ちょっとだけー、ねー?」
永那ちゃんがため息をついて「ごめんね」と私に言う。
「てかさ、人のベッドに勝手に寝るとか、どんな神経してんの?お前」
佐藤さんの目が薄くなる。
「空井さん、何も言ってないんだからいいじゃん」
「確認したの?」
佐藤さんの目の下がピクピク痙攣していて、本気で怒ってしまいそうだ。
「あ、あぁ、大丈夫だから」
佐藤さんの視線が私に向く。
冷めきった視線に気まずさを感じる。
「ほら、だから一緒に寝よ?」
永那ちゃんがため息をつきながら私のベッドに寝る。
その瞬間、土曜日が思い出される。
日曜日、シーツも布団も洗濯したけど、景色は変わらないから一瞬で思い出せるのが怖い。
下腹部が疼いて、目を瞑った。
へへへという幸せそうな笑い声で、私は目を開ける。
佐藤さんが永那ちゃんを抱き枕にするように寝転がっている。
眉頭に力が込もる。
「やめろよ!」
永那ちゃんが佐藤さんを突き飛ばす。
その勢いで佐藤さんが壁に頭をぶつけた。
「あ、ごめん」
佐藤さんの目に涙が浮かぶ。
「だ、大丈夫?何か冷やす物でも持ってこようか?」
佐藤さんは無反応で、ポタポタと涙を溢した。
「ごめんて」
永那ちゃんが佐藤さんの頭を撫でる。
佐藤さんは頷いて、指で涙を拭っている。
私はどうすればいいのかわからなくて、頬を掻いた。
感想 56
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?