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187.文化祭準備
眉頭にシワが寄って、ギリリと奥歯が鳴る。
人の噂がこんなにも早くに広まるとは。
大きくため息をつく。
「べつに、大丈夫だよ」
「でも」
「どうでもいいから、そんなこと。鬱陶しいだけで」
日住君の目が大きくなる。
「そうですか。さすが先輩です」
彼は苦笑する。
帰り支度をすると、日住君もついてくる。
「空井先輩」
呼び止められて、振り向く。
金井さんは日住君をチラリと見て、私に視線を戻す。
「少しお話、いいですか?」
すぐ、恋話だとわかって、私は首を横に振る。
歩き出そうとして「先輩!」と大きな声を出されて、思わず立ち止まる。
「先輩の話じゃないので、安心してください」
そう言われて、ハッとする。
自分の視野が狭くなっていた。
また鎧を作ろうとしていた。
フゥッと息を吐いて「わかった」と答えた。
3人でカフェに行った。
最初に日住君に恋愛相談をしたときの、カフェ。
「先輩、私達、恋人になりました」
金井さんと日住君が顔を見合わせてから、私を見て、微笑む。
「夏祭りの後、私から、告白しました」
「…そっか。…そっか!よかったね!」
「はい、ありがとうございます」
「まさか、金井が空井先輩に相談してるなんて知りませんでしたよ…」
日住君が照れたように笑う。
3人で話す時間に、癒やされた。
夏祭りが終わってから、学校が始まるまでの1週間、毎日会っていたという。
いろんなところに2人で行って楽しかった話をしてくれた。
2人と別れて、ため息をついた。
永那ちゃんは、部活もしていないのに後輩に広まるほどの人気者。
みんなが千陽と付き合っているのではないかと勘ぐっていたから、今まで何の問題も起きていなかった。
そのバランスが、崩れた。
まして相手が私で、良くも悪くも“生徒会長(副生徒会長)”という立場で、名前の知られている人間で、学校中の話題になるのは、考えてみれば当たり前に思えた。
その対策を、何も考えていなかった。
まさか永那ちゃんが自ら暴露するとは思ってもみなかったけど…それでも、遅かれ早かれバレていたかもしれない。
それを考えれば、何も対策を考えていなかった自分にも落ち度があるように思えた。
「穂」
マンションの前につくと、千陽が立っていた。
「穂…ごめんね」
千陽があまりに傷ついた顔をしているから、慌てる。
「ち、千陽…どうしたの?」
「あたしが、穂に抱きついたから…あんなことになって」
本当に、自分のことしか見えていなかった。
永那ちゃんはずっと寝ているし、起きても、みんなの質問を適当にはぐらかしていた。
その態度にイライラしていた。
千陽が、こんなに傷ついた顔をしていたなんて、全然見えていなかった。
「千陽は、悪くないよ」
「でも、穂が傷ついてる」
頬を包まれる。
そっと口付けされて、涙が零れた。
…傷ついてる?
イライラはしてた。
でも、傷ついていたかどうかは、わからない。
「穂」
大きな瞳に見つめられる。
「穂、あたし、2人の関係を壊したいなんて、思ってない。ただ、ちょっと困らせたかっただけで、かまってほしかっただけで…」
彼女の瞳からも、涙が零れ落ちていく。
「あたしのせいで、穂が傷つくなら、もう…これで、最後にする」
胸がズキズキ痛みだす。
…そうじゃ、ない。
「違う」
彼女の唇に、唇を重ねる。
彼女を壁に押しやって、舌をねじ込む。
唾液を混ぜ合って、彼女の胸を乱暴に揉む。
彼女が私の背中をギュッと掴んだ。
…震えている、気がした。
唇を離すと、彼女の瞳から涙が溢れ出ていた。
「ごめん」
「…いいよ」
怖い思いを…させた。
「あたし、穂のだもん」
彼女を抱きしめる。
「本当に…私を奪おうとは、してないよね?」
彼女が耳元でフフッと笑った。
「奪えるの?」
千陽を見ると、悲しげな笑みを浮かべていた。
「…奪えない」
手を繋ぐ。
指を絡めて、壁に寄りかかる。
「永那ちゃんと“自ら宣伝するようにバラすのはやめよう”って約束してたの」
「ふーん」
「なのに、なんで言っちゃったのかな…あんな、みんなのいるところで」
「よっぽど、あたしに穂を奪われるのが嫌だったんだろうね」
「私は、永那ちゃんのなのに」
首筋の痕をさする。
千陽の視線を感じて、手をどけて、俯く。
「穂は永那の、あたしは穂の、結果的に穂もあたしも永那の…なのにね」
千陽が上目遣いに私を見る。
「でも…あたしも、妬いてる」
「え?」
「そんなに綺麗に、割り切れない」
彼女をジッと見る。答えを知りたくて。
「あたしは永那も穂も好き。本当に。永那が穂とセックスしてるのも、穂が永那とセックスしてるのも、どっちにも妬く。…意味、わかんなくない?」
千陽が笑う。
「2人とも、あたしのになればいいのにって、思ってる。2人に、妬いてる」
その気持ちは、私には、わからない。
私にとって永那ちゃんが恋人で、千陽は、妹みたいな存在だから。
千陽は私の気持ちを見透かすような瞳で、私を見る。
人の噂がこんなにも早くに広まるとは。
大きくため息をつく。
「べつに、大丈夫だよ」
「でも」
「どうでもいいから、そんなこと。鬱陶しいだけで」
日住君の目が大きくなる。
「そうですか。さすが先輩です」
彼は苦笑する。
帰り支度をすると、日住君もついてくる。
「空井先輩」
呼び止められて、振り向く。
金井さんは日住君をチラリと見て、私に視線を戻す。
「少しお話、いいですか?」
すぐ、恋話だとわかって、私は首を横に振る。
歩き出そうとして「先輩!」と大きな声を出されて、思わず立ち止まる。
「先輩の話じゃないので、安心してください」
そう言われて、ハッとする。
自分の視野が狭くなっていた。
また鎧を作ろうとしていた。
フゥッと息を吐いて「わかった」と答えた。
3人でカフェに行った。
最初に日住君に恋愛相談をしたときの、カフェ。
「先輩、私達、恋人になりました」
金井さんと日住君が顔を見合わせてから、私を見て、微笑む。
「夏祭りの後、私から、告白しました」
「…そっか。…そっか!よかったね!」
「はい、ありがとうございます」
「まさか、金井が空井先輩に相談してるなんて知りませんでしたよ…」
日住君が照れたように笑う。
3人で話す時間に、癒やされた。
夏祭りが終わってから、学校が始まるまでの1週間、毎日会っていたという。
いろんなところに2人で行って楽しかった話をしてくれた。
2人と別れて、ため息をついた。
永那ちゃんは、部活もしていないのに後輩に広まるほどの人気者。
みんなが千陽と付き合っているのではないかと勘ぐっていたから、今まで何の問題も起きていなかった。
そのバランスが、崩れた。
まして相手が私で、良くも悪くも“生徒会長(副生徒会長)”という立場で、名前の知られている人間で、学校中の話題になるのは、考えてみれば当たり前に思えた。
その対策を、何も考えていなかった。
まさか永那ちゃんが自ら暴露するとは思ってもみなかったけど…それでも、遅かれ早かれバレていたかもしれない。
それを考えれば、何も対策を考えていなかった自分にも落ち度があるように思えた。
「穂」
マンションの前につくと、千陽が立っていた。
「穂…ごめんね」
千陽があまりに傷ついた顔をしているから、慌てる。
「ち、千陽…どうしたの?」
「あたしが、穂に抱きついたから…あんなことになって」
本当に、自分のことしか見えていなかった。
永那ちゃんはずっと寝ているし、起きても、みんなの質問を適当にはぐらかしていた。
その態度にイライラしていた。
千陽が、こんなに傷ついた顔をしていたなんて、全然見えていなかった。
「千陽は、悪くないよ」
「でも、穂が傷ついてる」
頬を包まれる。
そっと口付けされて、涙が零れた。
…傷ついてる?
イライラはしてた。
でも、傷ついていたかどうかは、わからない。
「穂」
大きな瞳に見つめられる。
「穂、あたし、2人の関係を壊したいなんて、思ってない。ただ、ちょっと困らせたかっただけで、かまってほしかっただけで…」
彼女の瞳からも、涙が零れ落ちていく。
「あたしのせいで、穂が傷つくなら、もう…これで、最後にする」
胸がズキズキ痛みだす。
…そうじゃ、ない。
「違う」
彼女の唇に、唇を重ねる。
彼女を壁に押しやって、舌をねじ込む。
唾液を混ぜ合って、彼女の胸を乱暴に揉む。
彼女が私の背中をギュッと掴んだ。
…震えている、気がした。
唇を離すと、彼女の瞳から涙が溢れ出ていた。
「ごめん」
「…いいよ」
怖い思いを…させた。
「あたし、穂のだもん」
彼女を抱きしめる。
「本当に…私を奪おうとは、してないよね?」
彼女が耳元でフフッと笑った。
「奪えるの?」
千陽を見ると、悲しげな笑みを浮かべていた。
「…奪えない」
手を繋ぐ。
指を絡めて、壁に寄りかかる。
「永那ちゃんと“自ら宣伝するようにバラすのはやめよう”って約束してたの」
「ふーん」
「なのに、なんで言っちゃったのかな…あんな、みんなのいるところで」
「よっぽど、あたしに穂を奪われるのが嫌だったんだろうね」
「私は、永那ちゃんのなのに」
首筋の痕をさする。
千陽の視線を感じて、手をどけて、俯く。
「穂は永那の、あたしは穂の、結果的に穂もあたしも永那の…なのにね」
千陽が上目遣いに私を見る。
「でも…あたしも、妬いてる」
「え?」
「そんなに綺麗に、割り切れない」
彼女をジッと見る。答えを知りたくて。
「あたしは永那も穂も好き。本当に。永那が穂とセックスしてるのも、穂が永那とセックスしてるのも、どっちにも妬く。…意味、わかんなくない?」
千陽が笑う。
「2人とも、あたしのになればいいのにって、思ってる。2人に、妬いてる」
その気持ちは、私には、わからない。
私にとって永那ちゃんが恋人で、千陽は、妹みたいな存在だから。
千陽は私の気持ちを見透かすような瞳で、私を見る。
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