254 / 595
4.踏み込む
253.爆弾発言(237.先輩と同時進行)
しおりを挟む
「ホントだね。優里を除け者にしようとしてるんだから」
「え!?マジの話!?…傷つくんだけど」
優里が項垂れる。
「…なんの話?」
穂は全くわからないようで、ジッとあたしを見ている。
「えー?穂ちゃんと永那が何か考えてるって…」
「何も…考えてないよ?…あ、記念日に2人で水族館に行こうとは話してるけど」
「それ?」
「違う」
あたしは勝手に冷蔵庫を開けて、お茶をコップに注ぐ。
「あ、私も~」
お茶を一気に飲み干して、唇を舐める。
目を細めて穂を見ても、彼女はなんのことかわからないみたいだった。
優里がのんびりやってるから、あたしは大股で穂のそばに寄る。
彼女の耳元に口を近づけて「3人で、シたいんでしょ?」と言うと、彼女の顔が一気に紅潮する。
穂は両手で顔を覆う。
「え!?なに!?なに!?」
「あ、あれは…永那ちゃんが言ったことで…私は…」
優里が走ってくる。
「私も聞きたい!」
「そんな…無理、だよ…」
「え!?」
「みんな、頭おかしいの」
あたしが笑うと、優里がキョトンとする。
穂は逃げるようにお風呂に入った。
「ねー、ホント、なんなの…聞きたくなくなってきたけど…」
「聞かないほうがいいんじゃない?」
優里は髪をぐしゃぐしゃにして「あー!」と叫ぶ。
「ちょっとだけ…ヒント…」
彼女がペロリと舌を出して、ウインクする。
「えっちなこと」
笑みを作ると「きゃー!」と顔を真っ赤にした。
「永那ー!!一体、何をしでかしたのー!?」
今回は、永那じゃなくて穂だけど。
「私は、不参加で!」
「はい」
優里は自分のほっぺを抓って「忘れる忘れる」と呟く。
「ただいまー」
穂のお母さんが帰ってきて、誉と3人で出迎えた。
「はい、みんなにお土産~」
「わー!ありがとうございます!」
お団子を食べていたら、穂がお風呂から上がった。
「あ、お母さん。おかえり」
「ただいまっ」
お母さんは誉の作ったご飯を食べながらスマホを見ていた。
穂と目が合って、そらされる。
…さっきあたしが言うまで忘れてたくせに。
それぞれドライヤーをかけて、歯磨きをした。
もう布団を敷いたから、お喋りしたりするのかと思ったけど、穂が勉強を始める。
「穂ちゃん…まだやるの…」
「あれ?」
穂が考える。
「…うん。優里ちゃんは休んでていいよ」
仕方ないからあたしは穂の隣に座って、教科書を開く。
普段、あたしはこんなにしないから、ちょっとびっくりする。
穂の趣味って勉強なの?
「千陽もするの…」
優里が布団に倒れる。
「私は…無理…」
「じゃあゲームする?」
誉が聞く。
「する…」
11時半きっかりに、穂が教科書を閉じた。
穂のベッドで寝たかったけど、それはあまりに不自然だから、仕方なく優里の隣で布団に潜る。
優里が大きくあくびをして、もう瞼が落ちかかっている。
お母さんはお風呂から出て、部屋に入った。
リビングの電気を消しても、ドアのすき間から光が漏れているから、まだ仕事をしているのかもしれない。
優里の寝息が聞こえてきても、お母さんの部屋の電気が消えても、全然、眠れなかった。
3人でするなら、どこでするんだろう?とか。
いやいや、いきなり3人とか絶対無理だし。とか。
永那に触れられるってどんななんだろう?とか。
いやいや、今更そんな目で見られても困るし。とか。
もしかして、穂にもさわってもらえるのかな?とか。
いやいや、絶対恥ずかしくて無理。とか。
いろいろ考えてしまって、眠れない。
…興味は、ないことはない。
でも、そんな簡単に受け入れられない。
そもそも、こんなことに、ほんの少しでも期待している自分が気持ち悪い。
普通じゃない。
全然普通じゃないし…もし…もしも…永那に乱暴にされたら、少し、怖い。
穂は絶対乱暴にしないって安心感があるけど、永那はわからない。
けっこう感情的になるし…怒ったら怖いし…。
そんなことを考えて、胸焼けにも似た感覚に襲われて、少し吐き気がする。
立ち上がって、廊下の洗面台でうがいをする。
鏡に映る自分を睨む。
「あたし、なにやってんの」
2人は、あたしの恋人じゃない。
じゃあ、なに?誰?
あたしを、大事にしてくれる人達。
大事にされたいと、あたしが願った。
愛されたいと、あたしが願った。
幸せになりたいと、あたしが願った。
それを、何故か彼女達は叶えようとしてくれる。
なんで?
まるで生き地獄。
そんなことない?…むしろラッキー?
永那に振られて、距離を置かれて、穂からも好かれていなかったら、今頃あたし、どうなってたんだろう。
自暴自棄になって、いろんな人とヤってたりして。
気持ち悪くて出来なかったかな。
どっちにしても地獄。
馬鹿馬鹿しくなって、笑みが溢れる。
開けっ放しの穂の部屋に入って、ドアを閉める。
彼女の布団のなかに強引に入った。
「千陽」
「起きてたの?」
「な、なんか、眠れなくて…」
「どうして?なに、考えてたの?」
返事はない。
「3人で、すること?」
「ち、ちが…う…」
「へえ。じゃあ、なに?」
「なんで、千陽…さっき、優里ちゃんに言ったの?」
「意地悪したかったから」
「優里ちゃんに?」
「そんなわけないでしょ」
彼女の背中に顔をつける。
「な、んで?」
「穂、あたしじゃなくて、誰でもいいのかなって思って。それなら、優里もいていいんじゃない?って」
「え!?ゆ、優里ちゃんは…友達だよ?」
「じゃあ、あたしはなに?」
「え!?マジの話!?…傷つくんだけど」
優里が項垂れる。
「…なんの話?」
穂は全くわからないようで、ジッとあたしを見ている。
「えー?穂ちゃんと永那が何か考えてるって…」
「何も…考えてないよ?…あ、記念日に2人で水族館に行こうとは話してるけど」
「それ?」
「違う」
あたしは勝手に冷蔵庫を開けて、お茶をコップに注ぐ。
「あ、私も~」
お茶を一気に飲み干して、唇を舐める。
目を細めて穂を見ても、彼女はなんのことかわからないみたいだった。
優里がのんびりやってるから、あたしは大股で穂のそばに寄る。
彼女の耳元に口を近づけて「3人で、シたいんでしょ?」と言うと、彼女の顔が一気に紅潮する。
穂は両手で顔を覆う。
「え!?なに!?なに!?」
「あ、あれは…永那ちゃんが言ったことで…私は…」
優里が走ってくる。
「私も聞きたい!」
「そんな…無理、だよ…」
「え!?」
「みんな、頭おかしいの」
あたしが笑うと、優里がキョトンとする。
穂は逃げるようにお風呂に入った。
「ねー、ホント、なんなの…聞きたくなくなってきたけど…」
「聞かないほうがいいんじゃない?」
優里は髪をぐしゃぐしゃにして「あー!」と叫ぶ。
「ちょっとだけ…ヒント…」
彼女がペロリと舌を出して、ウインクする。
「えっちなこと」
笑みを作ると「きゃー!」と顔を真っ赤にした。
「永那ー!!一体、何をしでかしたのー!?」
今回は、永那じゃなくて穂だけど。
「私は、不参加で!」
「はい」
優里は自分のほっぺを抓って「忘れる忘れる」と呟く。
「ただいまー」
穂のお母さんが帰ってきて、誉と3人で出迎えた。
「はい、みんなにお土産~」
「わー!ありがとうございます!」
お団子を食べていたら、穂がお風呂から上がった。
「あ、お母さん。おかえり」
「ただいまっ」
お母さんは誉の作ったご飯を食べながらスマホを見ていた。
穂と目が合って、そらされる。
…さっきあたしが言うまで忘れてたくせに。
それぞれドライヤーをかけて、歯磨きをした。
もう布団を敷いたから、お喋りしたりするのかと思ったけど、穂が勉強を始める。
「穂ちゃん…まだやるの…」
「あれ?」
穂が考える。
「…うん。優里ちゃんは休んでていいよ」
仕方ないからあたしは穂の隣に座って、教科書を開く。
普段、あたしはこんなにしないから、ちょっとびっくりする。
穂の趣味って勉強なの?
「千陽もするの…」
優里が布団に倒れる。
「私は…無理…」
「じゃあゲームする?」
誉が聞く。
「する…」
11時半きっかりに、穂が教科書を閉じた。
穂のベッドで寝たかったけど、それはあまりに不自然だから、仕方なく優里の隣で布団に潜る。
優里が大きくあくびをして、もう瞼が落ちかかっている。
お母さんはお風呂から出て、部屋に入った。
リビングの電気を消しても、ドアのすき間から光が漏れているから、まだ仕事をしているのかもしれない。
優里の寝息が聞こえてきても、お母さんの部屋の電気が消えても、全然、眠れなかった。
3人でするなら、どこでするんだろう?とか。
いやいや、いきなり3人とか絶対無理だし。とか。
永那に触れられるってどんななんだろう?とか。
いやいや、今更そんな目で見られても困るし。とか。
もしかして、穂にもさわってもらえるのかな?とか。
いやいや、絶対恥ずかしくて無理。とか。
いろいろ考えてしまって、眠れない。
…興味は、ないことはない。
でも、そんな簡単に受け入れられない。
そもそも、こんなことに、ほんの少しでも期待している自分が気持ち悪い。
普通じゃない。
全然普通じゃないし…もし…もしも…永那に乱暴にされたら、少し、怖い。
穂は絶対乱暴にしないって安心感があるけど、永那はわからない。
けっこう感情的になるし…怒ったら怖いし…。
そんなことを考えて、胸焼けにも似た感覚に襲われて、少し吐き気がする。
立ち上がって、廊下の洗面台でうがいをする。
鏡に映る自分を睨む。
「あたし、なにやってんの」
2人は、あたしの恋人じゃない。
じゃあ、なに?誰?
あたしを、大事にしてくれる人達。
大事にされたいと、あたしが願った。
愛されたいと、あたしが願った。
幸せになりたいと、あたしが願った。
それを、何故か彼女達は叶えようとしてくれる。
なんで?
まるで生き地獄。
そんなことない?…むしろラッキー?
永那に振られて、距離を置かれて、穂からも好かれていなかったら、今頃あたし、どうなってたんだろう。
自暴自棄になって、いろんな人とヤってたりして。
気持ち悪くて出来なかったかな。
どっちにしても地獄。
馬鹿馬鹿しくなって、笑みが溢れる。
開けっ放しの穂の部屋に入って、ドアを閉める。
彼女の布団のなかに強引に入った。
「千陽」
「起きてたの?」
「な、なんか、眠れなくて…」
「どうして?なに、考えてたの?」
返事はない。
「3人で、すること?」
「ち、ちが…う…」
「へえ。じゃあ、なに?」
「なんで、千陽…さっき、優里ちゃんに言ったの?」
「意地悪したかったから」
「優里ちゃんに?」
「そんなわけないでしょ」
彼女の背中に顔をつける。
「な、んで?」
「穂、あたしじゃなくて、誰でもいいのかなって思って。それなら、優里もいていいんじゃない?って」
「え!?ゆ、優里ちゃんは…友達だよ?」
「じゃあ、あたしはなに?」
35
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる