いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

274.一緒

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この前のエッチを思い出して、全然眠れなかった。
優里ちゃんの寝息が聞こえてきて、ホッとする。
千陽が立ち上がってびっくりしていると、森山さんのそばに立った。
見ていると、森山さんの顔に顔を近づけて、心臓がぴょんと跳ねる。
千陽が戻ってきて、目が合う。
「みんな寝た」
そ、それを確認してたんだ…。
一瞬キスするのかと思って、びっくりしてしまった…。
「穂」
小声で言われる。
「なに?」
「教えて?」
目を見開く。
「ま、まだその話?」
「知りたいんだもん」
千陽の肩が、私の肩に触れる。
「何が、一番良かった?どんなこと、された?」
「もう…絶対、誰にも言わないって約束できる?」
「うん」
千陽が嬉しそうに笑う。
「…口と、手を…縛られたの…」
前髪を指で梳く。
「なに、それ…めっちゃエロい…。2人でそんなことしてるんだ」
「こ、声を出さないようにって…」
「手は関係ないじゃん」
何も言えなくて、唇を尖らせた。

千陽が私の手に手を重ねて、指が絡む。
「でも、あたしには…それは、無理かも。それされたら、ちょっと怖い…」
彼女に見つめられる。
「千陽は、されないよ…」
「そうだね」
フフッと笑って、彼女がうつ伏せに、私の上に体を半分乗せた。
彼女の胸の圧迫を感じて、顔が火照る。
「穂、好き」
「私も千陽、好きだよ」
唇が重なる。
「千陽」
「なに?」
「永那ちゃんがね…永那ちゃんと私が全然シてないのに、千陽とばっかりシていたら寂しいって言ってたの」
「うん」
「…だから…その…」
「減らせばいいのね?」
彼女が優しく微笑む。
「ごめんね…」
「全然、平気」
フッと彼女が笑う。
「…じゃ、ないかも。ちょっと、寂しい」

千陽の髪を撫でる。
「あのね、私と永那ちゃんが、たくさん…一緒にいられたら、3人でシてもいいって言われたよ」
千陽の鼓動が速くなるのがわかる。
「たくさん一緒にいられるようになるまでは、できないって言われた」
「わかった」
「千陽は…私が望むなら3人でシてもいいって言ってたけど、私が望むとか望まないとか関係なしに、シたい?」
「うん」
「え!?そうなの!?」
「うん」
「そ、そっか…」
即答で、驚きを隠せない。
そんなに千陽が積極的だったとは…全然わからなかった。
「穂、好き」
「私も、千陽好きだよ」
千陽が私から下りて、触れるだけのキスをして、私達は眠った。

アラームを止める。
目覚めた瞬間から抱く、違和感。
背中にぬくもりを感じて、胸元に何かが触れている。
目を開けた千陽と目が合う。
「おはよ」
「…おはよう、千陽」
「どうしたの?」
千陽が目を擦る。
上半身を起こして、ジッと私の後ろを見る。
千陽が私の布団を捲る。
「朝から何してんの?」
「私もわからないよ…」
浴衣の衿がはだけて、その中に手が伸びていた。
千陽は、まだ寝ている優里ちゃんと森山さんに目を遣ってから「ハァ」とため息をついた。

永那ちゃんの腕を、まるで汚い物をさわるかのように掴んで、ポイッと投げた。
私は浴衣の衿を直して、後ろを向いた。
綺麗な永那ちゃんの寝顔が見えた。
「あたし達が寝てる間に起きて、穂の胸をさわって、寝落ち…ってとこかな」
千陽が私の髪に触れて、首筋を見る。
「キスマーク」
「え!?ホントに!?」
「穂…起きなかったの?」
「…全然、起きませんでした」
「あたしのメイク道具貸してあげる」
「そ、そんなに目立つ?」
「うん」

私は慌てて起きて、鏡を見る。
うわあ…真っ赤…。
千陽が来て、後ろから抱きしめられる。
「あたしもしたい」
「だめ」
そう言うのに、彼女の唇が赤い痕に触れた。
チュッと吸われる。
鏡越しに上目遣いに見られる。
キュゥッと子宮が締めつけられて、目を閉じた。
彼女の唇が離れて、目を開ける。
また・・消えないかも、ね?」
千陽が口角を上げる。
「こ、困るよ…」
ティッシュを取って、首筋を拭いてくれる。
洗面台に置かれたポーチを開けて、コンシーラーで首筋の痕を隠してくれる。
「あんまりさわっちゃダメだよ?」
「うん」

「はい」
「ありがとう。私、本当に千陽がいてくれて良かった」
フフッと彼女が笑う。
「嬉しい。…お礼、して?」
もう…。
彼女の頬を両手で包んで、口付けを交わす。
2人で部屋に戻っても、まだ3人は寝ていた。

千陽が、永那ちゃんのお腹を蹴った。
「ゴホッ」と咳をして、永那ちゃんが蹲る。
「え、永那ちゃん!?大丈夫!?」
「いってー…なんだよ…マジで…」
涙目になりながら、永那ちゃんが千陽を睨む。
「あんたこそ…何やってんの?」
「はあ?」
千陽に私の首根っこを掴まれる。
「隠してあげたの。あたしが」
永那ちゃんが目を擦って、お腹をさすった。
「あー…」
「“あー”じゃない。ホント、あり得ない。クラス全員にヤりましたって言って歩くようなものでしょ?穂がこういうの嫌ってわからないの?」
永那ちゃんがポリポリ頭を掻く。
「だって…せっかくのお泊まりなのに…何もできないなんて、寂しいじゃん?」
千陽が永那ちゃんを睨む。
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