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5.時間
278.一緒
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「穂、寝ちゃうの?」
彼女の優しい声が耳元で聞こえる。
返事もできずに、ただ彼女に身を任せる。
フッと笑う声が聞こえた。
ほんの少し胸に肌寒さを感じてから、太ももに彼女の手が触れる。
私の恥部に移動して、何度か押される。
…眠い。
ショーツのなかに入ってきて、茂みに触れられる。
閉じていた瞼をなんとか上げる。
「んっ…」
蕾に刺激が与えられる。
太ももにギュッと力が入って、体が揺れる。
「だめ…」
なんとか口を開く。
「でも、穂のここ、びしょ濡れだよ?」
「だめなの」
「なんで?」
「みんな、いるし…私、今、シたくない」
彼女の手が止まる。
「眠い…」
「わかった」
その言葉にホッとしたのに、彼女の指がなかに入ってきて、背を丸めた。
「不安なんだ。…だから、穂を、感じてたい」
ゴクリと唾を飲む。
「動かさないから…寝て、いいよ」
そんなの、無理だよ。
なんて思ったのに、気づけば意識が手放されていた。
彼女が私のなかからいなくなる瞬間、薄っすら目が覚めた気がするけれど、またすぐに寝てしまった。
アラームを止めて、あくびをする。
同じ布団で永那ちゃんが寝ていて、彼女の髪を撫でた。
「おはよ」
「あ、おはよう。千陽」
「また…?」
私は苦笑する。
はだけた浴衣を直す。
「キスマーク、ないよね?」
「昨日のはまだ残ってるけど…他は大丈夫そう」
千陽が私の髪に触れる。
「良かった。また、お願いしてもいい?」
「うん」
千陽に、昨日よりも少し薄くなった痕を隠してもらって、永那ちゃんを起こす。
何度か唇を指で撫でると、彼女の目が薄く開く。
「穂」
「おはよう、永那ちゃん」
「おはよ」
彼女の髪を撫でると、また目を閉じてしまったから、慌てて起き上がらせた。
ギュッと抱きしめられる。
「…幸せ。毎日穂といたい」
「朝から熱々デスネ…羨ましい!」
ぐっすり眠れたのか、優里ちゃんの目覚めが良かった。
今日はバスでの移動が長い。
1時間ちょっと乗っている間、永那ちゃんはやっぱり寝ていた。
目的地に到着して、遊覧船に乗る。
永那ちゃんは気持ち良さそうに風を浴びていた。
お昼を食べている最中、永那ちゃんがスマホを見た。
眉間にシワを寄せながら、ご飯をかき込んだ。
「ちょっと、トイレ」
「食べるの早っ!」
優里ちゃんが言うけど、私はそこはかとなく嫌な予感がして、千陽を見た。
千陽も同じことを考えていたのか、目を合わせてくれる。
「私も…行ってくる…」
慌てて永那ちゃんを追いかけた。
トイレにはいなくて、外に出ようとすると「おう、空井、どうした?」と先生に聞かれた。
「あ、あの…両角さんは」
「ああ、忘れ物したってバスに行ったぞ」
「じゃあ、私も」
「え、おい!…ったく」
永那ちゃんを探す。
鼓動が速くなる。
駐車場のトイレに人影が見えて、走って向かう。
「うっせーよ!」
永那ちゃんの怒鳴り声で、足を止める。
「連絡しただろ、何度も」
壁から少しだけ顔を出すと、スマホを耳に当てながら俯く永那ちゃんがいた。
「なんで私のせいになるんだよ!お姉ちゃんが帰ってくれば良かっただけの話だろ!?…は?私だって努力したわ!…なんだよ…お姉ちゃんは修学旅行行っただろ?いいよな!楽しい思いして、お母さんから逃げられて…金だけ渡せばいいと思って」
彼女の瞳からポタポタと涙が零れる。
「っざけんな!2人でやっていかなきゃいけないって言ったのはお前だろ!だったら少しは協力しろよ!」
壁に何度も頭を打ち付けて、彼女が叫ぶ。
「私ばっか、どんだけ我慢すりゃいいんだよ!…知らねーよ!」
思わず顔をそらして、壁に寄りかかる。
私の目からも涙が溢れて、手で口を押さえて、漏れ出そうになる声を殺す。
「うるせー!クソがっ、勝手にやれよ!」
ドクドクと心臓が鳴る。
「あぁ…ああっ…もう…あ゙あ゙あ゙あ゙っ」
ドンッドンッと痛々しい音が響く。
…どうすればいいか、わからない。
遠くに、学校の制服を着た集団が建物から出てくるのが見えた。
私は、どう永那ちゃんに声をかければいいかわからず、走った。
涙を拭って、走った。
まだ私のクラスは外に出ていなくて、屋内に入る。
「あれ?永那は?」
優里ちゃんが聞く。
私はぎこちなく笑って、首を傾げた。
千陽がそばに立つ。
ギュッと手を握って、顔を覗き込まれた。
千陽の瞳に見つめられて、やっとまともに息ができた気がした。
「空井、両角どうした?まだバスにいたか?」
「…あ、いえ…いなかったです」
「あー?どこ行ったんだ、あいつ」
そう言って、先生は頭を掻いた。
「とりあえず、バス戻るぞー」
クラス全員が歩き出して、バスに向かっている途中、永那ちゃんが走って戻ってきた。
「おい、両角!どこ行ってたんだよ?勝手にどっか行くな」
「すんません」
永那ちゃんがへへへと笑う。
その笑顔が、痛々しくて、胸が痛い。
「あそこのトイレ行ってました」
「ったく。今度からはちゃんと言うように」
「あい、すんません」
彼女の優しい声が耳元で聞こえる。
返事もできずに、ただ彼女に身を任せる。
フッと笑う声が聞こえた。
ほんの少し胸に肌寒さを感じてから、太ももに彼女の手が触れる。
私の恥部に移動して、何度か押される。
…眠い。
ショーツのなかに入ってきて、茂みに触れられる。
閉じていた瞼をなんとか上げる。
「んっ…」
蕾に刺激が与えられる。
太ももにギュッと力が入って、体が揺れる。
「だめ…」
なんとか口を開く。
「でも、穂のここ、びしょ濡れだよ?」
「だめなの」
「なんで?」
「みんな、いるし…私、今、シたくない」
彼女の手が止まる。
「眠い…」
「わかった」
その言葉にホッとしたのに、彼女の指がなかに入ってきて、背を丸めた。
「不安なんだ。…だから、穂を、感じてたい」
ゴクリと唾を飲む。
「動かさないから…寝て、いいよ」
そんなの、無理だよ。
なんて思ったのに、気づけば意識が手放されていた。
彼女が私のなかからいなくなる瞬間、薄っすら目が覚めた気がするけれど、またすぐに寝てしまった。
アラームを止めて、あくびをする。
同じ布団で永那ちゃんが寝ていて、彼女の髪を撫でた。
「おはよ」
「あ、おはよう。千陽」
「また…?」
私は苦笑する。
はだけた浴衣を直す。
「キスマーク、ないよね?」
「昨日のはまだ残ってるけど…他は大丈夫そう」
千陽が私の髪に触れる。
「良かった。また、お願いしてもいい?」
「うん」
千陽に、昨日よりも少し薄くなった痕を隠してもらって、永那ちゃんを起こす。
何度か唇を指で撫でると、彼女の目が薄く開く。
「穂」
「おはよう、永那ちゃん」
「おはよ」
彼女の髪を撫でると、また目を閉じてしまったから、慌てて起き上がらせた。
ギュッと抱きしめられる。
「…幸せ。毎日穂といたい」
「朝から熱々デスネ…羨ましい!」
ぐっすり眠れたのか、優里ちゃんの目覚めが良かった。
今日はバスでの移動が長い。
1時間ちょっと乗っている間、永那ちゃんはやっぱり寝ていた。
目的地に到着して、遊覧船に乗る。
永那ちゃんは気持ち良さそうに風を浴びていた。
お昼を食べている最中、永那ちゃんがスマホを見た。
眉間にシワを寄せながら、ご飯をかき込んだ。
「ちょっと、トイレ」
「食べるの早っ!」
優里ちゃんが言うけど、私はそこはかとなく嫌な予感がして、千陽を見た。
千陽も同じことを考えていたのか、目を合わせてくれる。
「私も…行ってくる…」
慌てて永那ちゃんを追いかけた。
トイレにはいなくて、外に出ようとすると「おう、空井、どうした?」と先生に聞かれた。
「あ、あの…両角さんは」
「ああ、忘れ物したってバスに行ったぞ」
「じゃあ、私も」
「え、おい!…ったく」
永那ちゃんを探す。
鼓動が速くなる。
駐車場のトイレに人影が見えて、走って向かう。
「うっせーよ!」
永那ちゃんの怒鳴り声で、足を止める。
「連絡しただろ、何度も」
壁から少しだけ顔を出すと、スマホを耳に当てながら俯く永那ちゃんがいた。
「なんで私のせいになるんだよ!お姉ちゃんが帰ってくれば良かっただけの話だろ!?…は?私だって努力したわ!…なんだよ…お姉ちゃんは修学旅行行っただろ?いいよな!楽しい思いして、お母さんから逃げられて…金だけ渡せばいいと思って」
彼女の瞳からポタポタと涙が零れる。
「っざけんな!2人でやっていかなきゃいけないって言ったのはお前だろ!だったら少しは協力しろよ!」
壁に何度も頭を打ち付けて、彼女が叫ぶ。
「私ばっか、どんだけ我慢すりゃいいんだよ!…知らねーよ!」
思わず顔をそらして、壁に寄りかかる。
私の目からも涙が溢れて、手で口を押さえて、漏れ出そうになる声を殺す。
「うるせー!クソがっ、勝手にやれよ!」
ドクドクと心臓が鳴る。
「あぁ…ああっ…もう…あ゙あ゙あ゙あ゙っ」
ドンッドンッと痛々しい音が響く。
…どうすればいいか、わからない。
遠くに、学校の制服を着た集団が建物から出てくるのが見えた。
私は、どう永那ちゃんに声をかければいいかわからず、走った。
涙を拭って、走った。
まだ私のクラスは外に出ていなくて、屋内に入る。
「あれ?永那は?」
優里ちゃんが聞く。
私はぎこちなく笑って、首を傾げた。
千陽がそばに立つ。
ギュッと手を握って、顔を覗き込まれた。
千陽の瞳に見つめられて、やっとまともに息ができた気がした。
「空井、両角どうした?まだバスにいたか?」
「…あ、いえ…いなかったです」
「あー?どこ行ったんだ、あいつ」
そう言って、先生は頭を掻いた。
「とりあえず、バス戻るぞー」
クラス全員が歩き出して、バスに向かっている途中、永那ちゃんが走って戻ってきた。
「おい、両角!どこ行ってたんだよ?勝手にどっか行くな」
「すんません」
永那ちゃんがへへへと笑う。
その笑顔が、痛々しくて、胸が痛い。
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