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5.時間
279.一緒
「穂、次ってテーマパークだよね?」
隣に座った永那ちゃんが笑う。
「穂?」
永那ちゃんの手をギュッと握って、頷く。
「やっぱ1番にアトラクションだよね。あ、でも穂は苦手か?…穂?どうした?具合悪い?」
「あ…いや…大丈夫」
永那ちゃんの左眉が上がる。
「なー優里」
「なにー?」
「やっぱさ、1番はアトラクションだよね?」
「乗りたいね!!」
「っしゃー!」
「永那達、ウチらと一緒に行動しようよー」
女子の誰かが言う。
「おー!いいよ!」
何も言えない自分が、情けない。
下唇を、強く噛む。
バスを下りて、班行動に移る。
「行くぞー!」
「永那テンション高っ」
みんなの笑い声が、うるさい。
「せっかくなんだから、楽しまないとだろ!」
胸が、ズキズキ痛む。
「穂」
千陽に腕を組まれる。
「あたし達は、カフェでも行こ?」
何も返せずにいると、フゥッと千陽が息を吐く。
「永那、あたし達、あっち行くから」
「はー?なんでだよ」
「穂、アトラクション苦手でしょ?…終わったら来て」
「りょーかい」
千陽に腕を引っ張られて、カフェに入る。
「おいしそう」
ショーケースを見て、千陽が言う。
「穂、さっきあんまりご飯食べられなかったでしょ?」
千陽がケーキを2つ頼む。
私はただ彼女に引っ張られて、席に座る。
「お母さん、何かあったの?」
心臓がドクンと鳴る。
「…わ、わからない」
「聞けなかった?」
涙がポタポタと落ちていく。
「怖くて」
「なにが?」
「永那ちゃんが…怖くて…」
「永那になんかされたの?」
首を横に振る。
「じゃあ…永那が、怒ってた、とか…」
奥歯を強く噛む。
「そっか…」
千陽がため息をつくと、ケーキと紅茶がテーブルに運ばれてきた。
「永那、怒ると怖いよね」
千陽がケーキにフォークを刺す。
「お姉さんと、喧嘩してるみたいだった」
「ふーん」
「壁に、頭打ち付けてた」
フッと千陽が笑う。
「怖っ。…そんなの、話聞けなくて当たり前じゃない?あたしも無理」
やっと顔を上げて、千陽を見ることができた。
優しく微笑まれて、視界がボヤけていく。
「…とりあえず、宿戻るまでは、放っておこう?」
「いいの、かな?」
「クラスメイト全員に、永那のキレるところを見られるよりはマシだと思うけど」
千陽がハンカチを差し出してくれる。
みんなで買った、お揃いのハンカチ。
「ありがとう」
ケーキを食べて、千陽がマップを広げてくれる。
「もうすぐハロウィンだから、ハロウィンのイベントがあるみたい」
「ハロウィン…さっきパンプキンがたくさんあったね。…あ、バラが咲いてるんだ」
「後で行く?」
「うん!」
千陽がニコッと笑う。
ジッと見つめていると「なに?」と頬杖をつく。
「千陽…ありがとう…」
「あたしのこと、もっと好きになった?」
「うん」
千陽の目が見開く。
すぐに口元を綻ばせて紅茶を飲んだ。
しばらくして、千陽のスマホが震えた。
「永那」
千陽がスマホを耳につける。
「なに?…うん、その近く」
「あ」
窓の外に永那ちゃん達がいた。
千陽もそっちを見て、スマホをしまう。
「永那が揺らしてきてさー、ホント怖かったんだけど!ひどくない!?」
優里ちゃんが千陽に言う。
「永那マジでテンション高すぎっ」
みんながケラケラ笑って、永那ちゃんがふざける。
「穂ー」
抱きしめられて、肩がビクッと上がる。
「穂も来れば良かったのに」
「ご、ごめんね…」
「いいよ?でもこの後はずっと一緒ね?」
私が頷くと、永那ちゃんは満足そうに笑った。
ギュッと手を繋がれて、アクティビティを楽しむ。
永那ちゃんのテンションは終始高くて、明らかにおかしかった。
トリックアートでは、写真を撮るときにキスされた。
「ね~!イチャイチャし過ぎ~!」
「マジ、自重しろよー!」
野次が飛んできて、私の顔が熱くなる。
暗い空間に入れば、すかさず抱きしめてきて、腰を擦られたり、お尻に触れられたりした。
観覧車には千陽と3人で乗って、お構いなしに舌を絡ませるキスをされた。
胸までさわられて、背筋がゾワリとする。
「永那、いい加減にして」
「あ?関係ないだろ」
「穂が嫌がってるの、わからないの?」
永那ちゃんに見つめられる。
「ハァ」とため息をついて、永那ちゃんは椅子に座る。
貧乏ゆすりをしながら、そっぽを向いて、外を眺めた。
それからは、私とは手も繋がず、他の子達と腕を組んだり肩を組んだりしていた。
永那ちゃんがたまに誰かのお尻をさわって、みんなが楽しそうにじゃれ合う。
「穂ちゃん…永那、なんかあったの?」
優里ちゃんがそばに立つ。
その横に森山さんもいた。
「後で聞くつもりだから」
私が答えられずにいると、千陽が言ってくれた。
「…そっか。2人もわかんないんだ」
優里ちゃんが苦笑する。
「永那がお尻さわったりするのなんて、しばらく見なかったからびっくりしちゃった。そうだ、永那ってこんなだったなって思い出したよ」
…前は、普通だったんだ。
私の前の永那ちゃんは、いつも優しくて、気遣い上手で、面白くて、かっこよかった。
隣に座った永那ちゃんが笑う。
「穂?」
永那ちゃんの手をギュッと握って、頷く。
「やっぱ1番にアトラクションだよね。あ、でも穂は苦手か?…穂?どうした?具合悪い?」
「あ…いや…大丈夫」
永那ちゃんの左眉が上がる。
「なー優里」
「なにー?」
「やっぱさ、1番はアトラクションだよね?」
「乗りたいね!!」
「っしゃー!」
「永那達、ウチらと一緒に行動しようよー」
女子の誰かが言う。
「おー!いいよ!」
何も言えない自分が、情けない。
下唇を、強く噛む。
バスを下りて、班行動に移る。
「行くぞー!」
「永那テンション高っ」
みんなの笑い声が、うるさい。
「せっかくなんだから、楽しまないとだろ!」
胸が、ズキズキ痛む。
「穂」
千陽に腕を組まれる。
「あたし達は、カフェでも行こ?」
何も返せずにいると、フゥッと千陽が息を吐く。
「永那、あたし達、あっち行くから」
「はー?なんでだよ」
「穂、アトラクション苦手でしょ?…終わったら来て」
「りょーかい」
千陽に腕を引っ張られて、カフェに入る。
「おいしそう」
ショーケースを見て、千陽が言う。
「穂、さっきあんまりご飯食べられなかったでしょ?」
千陽がケーキを2つ頼む。
私はただ彼女に引っ張られて、席に座る。
「お母さん、何かあったの?」
心臓がドクンと鳴る。
「…わ、わからない」
「聞けなかった?」
涙がポタポタと落ちていく。
「怖くて」
「なにが?」
「永那ちゃんが…怖くて…」
「永那になんかされたの?」
首を横に振る。
「じゃあ…永那が、怒ってた、とか…」
奥歯を強く噛む。
「そっか…」
千陽がため息をつくと、ケーキと紅茶がテーブルに運ばれてきた。
「永那、怒ると怖いよね」
千陽がケーキにフォークを刺す。
「お姉さんと、喧嘩してるみたいだった」
「ふーん」
「壁に、頭打ち付けてた」
フッと千陽が笑う。
「怖っ。…そんなの、話聞けなくて当たり前じゃない?あたしも無理」
やっと顔を上げて、千陽を見ることができた。
優しく微笑まれて、視界がボヤけていく。
「…とりあえず、宿戻るまでは、放っておこう?」
「いいの、かな?」
「クラスメイト全員に、永那のキレるところを見られるよりはマシだと思うけど」
千陽がハンカチを差し出してくれる。
みんなで買った、お揃いのハンカチ。
「ありがとう」
ケーキを食べて、千陽がマップを広げてくれる。
「もうすぐハロウィンだから、ハロウィンのイベントがあるみたい」
「ハロウィン…さっきパンプキンがたくさんあったね。…あ、バラが咲いてるんだ」
「後で行く?」
「うん!」
千陽がニコッと笑う。
ジッと見つめていると「なに?」と頬杖をつく。
「千陽…ありがとう…」
「あたしのこと、もっと好きになった?」
「うん」
千陽の目が見開く。
すぐに口元を綻ばせて紅茶を飲んだ。
しばらくして、千陽のスマホが震えた。
「永那」
千陽がスマホを耳につける。
「なに?…うん、その近く」
「あ」
窓の外に永那ちゃん達がいた。
千陽もそっちを見て、スマホをしまう。
「永那が揺らしてきてさー、ホント怖かったんだけど!ひどくない!?」
優里ちゃんが千陽に言う。
「永那マジでテンション高すぎっ」
みんながケラケラ笑って、永那ちゃんがふざける。
「穂ー」
抱きしめられて、肩がビクッと上がる。
「穂も来れば良かったのに」
「ご、ごめんね…」
「いいよ?でもこの後はずっと一緒ね?」
私が頷くと、永那ちゃんは満足そうに笑った。
ギュッと手を繋がれて、アクティビティを楽しむ。
永那ちゃんのテンションは終始高くて、明らかにおかしかった。
トリックアートでは、写真を撮るときにキスされた。
「ね~!イチャイチャし過ぎ~!」
「マジ、自重しろよー!」
野次が飛んできて、私の顔が熱くなる。
暗い空間に入れば、すかさず抱きしめてきて、腰を擦られたり、お尻に触れられたりした。
観覧車には千陽と3人で乗って、お構いなしに舌を絡ませるキスをされた。
胸までさわられて、背筋がゾワリとする。
「永那、いい加減にして」
「あ?関係ないだろ」
「穂が嫌がってるの、わからないの?」
永那ちゃんに見つめられる。
「ハァ」とため息をついて、永那ちゃんは椅子に座る。
貧乏ゆすりをしながら、そっぽを向いて、外を眺めた。
それからは、私とは手も繋がず、他の子達と腕を組んだり肩を組んだりしていた。
永那ちゃんがたまに誰かのお尻をさわって、みんなが楽しそうにじゃれ合う。
「穂ちゃん…永那、なんかあったの?」
優里ちゃんがそばに立つ。
その横に森山さんもいた。
「後で聞くつもりだから」
私が答えられずにいると、千陽が言ってくれた。
「…そっか。2人もわかんないんだ」
優里ちゃんが苦笑する。
「永那がお尻さわったりするのなんて、しばらく見なかったからびっくりしちゃった。そうだ、永那ってこんなだったなって思い出したよ」
…前は、普通だったんだ。
私の前の永那ちゃんは、いつも優しくて、気遣い上手で、面白くて、かっこよかった。
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