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5.時間
331.考える
「穂、起きて」
囁かれて、私は起き上がる。
千陽も起きて、抱きしめられた。
「ありがと」
洗面台のほうから、永那ちゃんが顔を洗う音がする。
チュッとキスされて、鼻が触れた。
その鼻が冷たくて、指で摘んだ。
「なに」
千陽が笑う。
「冷たいから」
千陽は顔を左右に振って、私の手をどかす。
その笑顔が可愛くて、愛しくて、本当に…千陽が、家族だったら…って…。
「なに?」
永那ちゃんが言っていたことを思い出す。
誉と、千陽が…結婚したら…。
「千陽、誉と結婚すればいいんだよ!」
「え!?」
「…穂、それは内緒だぞー?」
永那ちゃんがコップにお茶を注ぐ。
「は?…なに言ってんの?」
「だって、千陽が誉と結婚したら、私、千陽と家族になれる!」
「穂」
永那ちゃんの声がいつもより低い。
「ハァ」とため息をついて、私達のそばに永那ちゃんが座る。
「それは、私達が勝手に考えたことで、千陽と誉に押し付けちゃダメ」
子供に叱るように、優しく、まっすぐ、注意される。
「穂、自分でも言ってたでしょ?“誉はまだ小学生”って。あいつにはあいつの人生があるし…千陽にだって千陽の人生がある。2人がこれから、どんな人を好きになるのか…そんなの、私達が決めることじゃないでしょ?」
「でも」
「“でも”じゃないよ。私は、誉にいろいろ話してるけど、“仕込んだ”って言ったけど…あくまで、希望的観測というか…そうなったらいいかな?って、思っただけだよ。それを本人達に言っちゃダメだよ。逆に2人の関係が気まずくなるでしょ?」
「…ごめんなさい」
髪をわしゃわしゃと撫でられる。
「千陽、今の戯言だから。気にすんな」
「無理でしょ…」
フッと永那ちゃんが笑う。
「穂…あたし、男は…。誉は、嫌いじゃないけど…」
「うん。…ごめんね」
…思ったことを、勢いで言ってしまう癖。
全然、直ってないな。
また、振り回してしまうところだった。
「てか千陽さー、夜寝られなかったって、今日、楽しみにし過ぎじゃね?」
「悪い?」
ハハハッと永那ちゃんが軽快に笑う。
「私もめっちゃ楽しみにしてた」
「へえ」
千陽が座卓に頬杖をつく。
「もう、する?」
永那ちゃんがニヤニヤ笑うから、私は彼女の肩をポカポカ叩いた。
「永那ちゃんのバカ!」
「ホント、もうちょっとムードとか考えたら?」
「ムード?」
永那ちゃんは私の手を受け止めながら、左眉を上げる。
「ムードってなによ?」
「…穂とするとき、いつもそんな感じなの?」
「うん」
千陽が私を見る。
恥ずかしくなって、俯く。
「じゃあさ、千陽は、どんなムードがいいわけ?」
「は?」
千陽の耳が赤くなる。
「教えてよ」
永那ちゃんが意地悪な顔をして笑う。
「無理…」
「えー…自分で言ったんじゃん」
「私も…知りたい…」
千陽が眉間にシワを寄せて、口を結んでしまう。
私と永那ちゃんに見つめられ続けて、観念したように千陽は「ハァ」とため息をついた。
「まずは、可愛いとか…そういう言葉から、でしょ…」
「千陽可愛い」
永那ちゃんが言って、私の胸がズキリと痛む。
「…だから!ムードが全然ないんだって!」
「え?可愛いって言ったじゃん」
「うざ」
「はー!?」
ぐぅっとお腹が鳴って、永那ちゃんと千陽に見られる。
「あ、朝ご飯…食べよっか」
「だね」
永那ちゃんは楽しそうに表情を緩めた。
3人で昨日の夕飯の残りを食べる。
「おいし」
千陽が呟いて、タンポポの綿毛のように心がふわふわする。
「この揚げ出し豆腐、私が作ったんだよ」
永那ちゃんが言う。
「へえ」
千陽は豆腐を口に入れて、飲み込むと、すぐに次の豆腐を食べた。
「明日から3週間私の家だから…掃除とかしないとね」
「あー、そだね」
「また?」
千陽が言って、私は首を傾げる。
小さく首を振って、千陽はご飯を食べた。
「少し、寝ていいかな?」
朝ご飯を食べ終えて、私が言うと、2人が頷いた。
「あたしも、寝たい」
「んじゃ、3人で寝るか」
「永那も?」
千陽が目を細める。
「だめなの?」
永那ちゃんの眉間にシワが寄る。
「べつに…いいけど…」
2枚並んだ布団に、永那ちゃんを真ん中にして、寝転ぶ。
こうして3人で寝るのにも慣れた。
ホッとする。
永那ちゃんのお腹で、千陽と指を絡ませて手を繋ぐ。
「ねえ、私さ、敷布団も掛け布団も、ちょうど境なんだけど。ちょっと寒いんだけど」
「しょうがないでしょ」
千陽がぶっきらぼうに言う。
「なんでだよ!」
私は思わず笑ってしまう。
「もう…2人であったまるしかないか」
そう言って、永那ちゃんは私達を引き寄せた。
永那ちゃんの顔が、いつもより近い。
千陽の顔も…。
頬にキスができそうなくらい近くて、唇を触れさせると、永那ちゃんがへへへと笑った。
「2人ともエッチだなあ」
「うざ」
「どこがエッチなの?」
「ん?…同時にキスしてくるあたり」
そう言われて、一気に顔が熱くなった。
千陽も…してたんだ…。
繋ぐ手を、ギュッと握ると、ほとんど同時に、彼女からも握られた。
トクトクと、小さく心臓が鳴る。
息を吐いて、私は目を閉じた。
囁かれて、私は起き上がる。
千陽も起きて、抱きしめられた。
「ありがと」
洗面台のほうから、永那ちゃんが顔を洗う音がする。
チュッとキスされて、鼻が触れた。
その鼻が冷たくて、指で摘んだ。
「なに」
千陽が笑う。
「冷たいから」
千陽は顔を左右に振って、私の手をどかす。
その笑顔が可愛くて、愛しくて、本当に…千陽が、家族だったら…って…。
「なに?」
永那ちゃんが言っていたことを思い出す。
誉と、千陽が…結婚したら…。
「千陽、誉と結婚すればいいんだよ!」
「え!?」
「…穂、それは内緒だぞー?」
永那ちゃんがコップにお茶を注ぐ。
「は?…なに言ってんの?」
「だって、千陽が誉と結婚したら、私、千陽と家族になれる!」
「穂」
永那ちゃんの声がいつもより低い。
「ハァ」とため息をついて、私達のそばに永那ちゃんが座る。
「それは、私達が勝手に考えたことで、千陽と誉に押し付けちゃダメ」
子供に叱るように、優しく、まっすぐ、注意される。
「穂、自分でも言ってたでしょ?“誉はまだ小学生”って。あいつにはあいつの人生があるし…千陽にだって千陽の人生がある。2人がこれから、どんな人を好きになるのか…そんなの、私達が決めることじゃないでしょ?」
「でも」
「“でも”じゃないよ。私は、誉にいろいろ話してるけど、“仕込んだ”って言ったけど…あくまで、希望的観測というか…そうなったらいいかな?って、思っただけだよ。それを本人達に言っちゃダメだよ。逆に2人の関係が気まずくなるでしょ?」
「…ごめんなさい」
髪をわしゃわしゃと撫でられる。
「千陽、今の戯言だから。気にすんな」
「無理でしょ…」
フッと永那ちゃんが笑う。
「穂…あたし、男は…。誉は、嫌いじゃないけど…」
「うん。…ごめんね」
…思ったことを、勢いで言ってしまう癖。
全然、直ってないな。
また、振り回してしまうところだった。
「てか千陽さー、夜寝られなかったって、今日、楽しみにし過ぎじゃね?」
「悪い?」
ハハハッと永那ちゃんが軽快に笑う。
「私もめっちゃ楽しみにしてた」
「へえ」
千陽が座卓に頬杖をつく。
「もう、する?」
永那ちゃんがニヤニヤ笑うから、私は彼女の肩をポカポカ叩いた。
「永那ちゃんのバカ!」
「ホント、もうちょっとムードとか考えたら?」
「ムード?」
永那ちゃんは私の手を受け止めながら、左眉を上げる。
「ムードってなによ?」
「…穂とするとき、いつもそんな感じなの?」
「うん」
千陽が私を見る。
恥ずかしくなって、俯く。
「じゃあさ、千陽は、どんなムードがいいわけ?」
「は?」
千陽の耳が赤くなる。
「教えてよ」
永那ちゃんが意地悪な顔をして笑う。
「無理…」
「えー…自分で言ったんじゃん」
「私も…知りたい…」
千陽が眉間にシワを寄せて、口を結んでしまう。
私と永那ちゃんに見つめられ続けて、観念したように千陽は「ハァ」とため息をついた。
「まずは、可愛いとか…そういう言葉から、でしょ…」
「千陽可愛い」
永那ちゃんが言って、私の胸がズキリと痛む。
「…だから!ムードが全然ないんだって!」
「え?可愛いって言ったじゃん」
「うざ」
「はー!?」
ぐぅっとお腹が鳴って、永那ちゃんと千陽に見られる。
「あ、朝ご飯…食べよっか」
「だね」
永那ちゃんは楽しそうに表情を緩めた。
3人で昨日の夕飯の残りを食べる。
「おいし」
千陽が呟いて、タンポポの綿毛のように心がふわふわする。
「この揚げ出し豆腐、私が作ったんだよ」
永那ちゃんが言う。
「へえ」
千陽は豆腐を口に入れて、飲み込むと、すぐに次の豆腐を食べた。
「明日から3週間私の家だから…掃除とかしないとね」
「あー、そだね」
「また?」
千陽が言って、私は首を傾げる。
小さく首を振って、千陽はご飯を食べた。
「少し、寝ていいかな?」
朝ご飯を食べ終えて、私が言うと、2人が頷いた。
「あたしも、寝たい」
「んじゃ、3人で寝るか」
「永那も?」
千陽が目を細める。
「だめなの?」
永那ちゃんの眉間にシワが寄る。
「べつに…いいけど…」
2枚並んだ布団に、永那ちゃんを真ん中にして、寝転ぶ。
こうして3人で寝るのにも慣れた。
ホッとする。
永那ちゃんのお腹で、千陽と指を絡ませて手を繋ぐ。
「ねえ、私さ、敷布団も掛け布団も、ちょうど境なんだけど。ちょっと寒いんだけど」
「しょうがないでしょ」
千陽がぶっきらぼうに言う。
「なんでだよ!」
私は思わず笑ってしまう。
「もう…2人であったまるしかないか」
そう言って、永那ちゃんは私達を引き寄せた。
永那ちゃんの顔が、いつもより近い。
千陽の顔も…。
頬にキスができそうなくらい近くて、唇を触れさせると、永那ちゃんがへへへと笑った。
「2人ともエッチだなあ」
「うざ」
「どこがエッチなの?」
「ん?…同時にキスしてくるあたり」
そう言われて、一気に顔が熱くなった。
千陽も…してたんだ…。
繋ぐ手を、ギュッと握ると、ほとんど同時に、彼女からも握られた。
トクトクと、小さく心臓が鳴る。
息を吐いて、私は目を閉じた。
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