いたずらはため息と共に

常森 楽

文字の大きさ
507 / 595
8.閑話

22.永那 中1 春《相澤芽衣編》

しおりを挟む
「この前さ、クラスの友達とカラオケ行こうってなったんだけど…お金、足りなくて…貸してもらって…めっちゃ恥ずかしかった…」
こういうことがあるから、貧乏と金持ちは相容れない。
たぶん、私みたいな中間の人間とも。
「そっか」
永那の頭を撫でる。
「早く働きたいよ」
胸が、痛くなる。
「高校行かないの?」
「…行きたい。けど、どうかな」
永那が起き上がって、自嘲するように笑った。
「体売って稼ごうかな」

気づいたら、永那の頬を引っ叩いていた。
「なんだよ」
睨まれる。
「…お姉さんにも、そんなこと言ったの?」
「言ってないけど」
「じゃあ、私にも言わないで。…っていうか」
「ハァ」と息を吐いて、気持ちを落ち着かせる。
「私は…体を売らないでほしい。永那が、どんな苦労してるのかわからない。でも…永那のこと、大切に思ってるから」
「でも私、もう似たようなことしてるよ」
「知ってる」
「え?」
「知ってるよ。ここと、同じ階なんだから」
永那の目が見開かれる。
「いつ、から…?」
「秘密」

私は永那のうなじに手を伸ばす。
「ねえ、永那?…私もお金あげるからセックスしてって言ったら、するの?」
永那がゴクリと唾を飲む。
「私達、ほぼ毎日キスしてたけど…それも本当は、お金が欲しかったの?」
「ちが…」
「じゃあ、なんでキスしてるの?私達」
「芽衣が…慰めてって…」
そっと、唇が触れ合う。
「じゃあ、私はお金払わなくていい?」
「芽衣から貰いたいなんて、思ったことないよ…」
「ふーん?エッチしてって言っても?」
永那の眉間にシワが寄る。
「…したい、の?」
私は少し考えるフリをする。
「…うん」

永那の顔が近づいて、口付けされる。
胸に触れられて、それだけであの光景が思い出された。
「永那」
舌を絡める。
私は彼女の膝の上に乗って、夢中になってキスをした。
彼女の手が動き出して、太ももがピクピクと反応する。

良いところだったのに、残酷にもチャイムが鳴った。
自分の唇を舌で舐める。
「永那…明日、続き、シようね」
永那が小さく頷く。

次の日、多目的室で待っていたら、永那が俯きがちに入ってきた。
「可愛い。緊張してるの?」
「…そ、そりゃ…する、でしょ…。芽衣は、しないの?」
フフッと笑って誤魔化す。
緊張、してるに決まってるじゃん。
夜も眠れなかった。
「永那、上手・・なんでしょ?リードしてよ」
永那は“うっ…”と罰が悪そうな顔をする。
私は両手を後ろに回す。
上目遣いに、可愛く、ゆっくり、一歩ずつ前に進んで永那の前に立った。
「永那、去年より身長伸びた」
私は自分の頭に手を当てて、永那の頭まで伸ばしていく。
「ほら」
「…芽衣は、ちっちゃいからね」
「ひどーい。…可愛いってこと?」
「うん、可愛いよ」
へへへと笑って、永那にチュッとキスをする。

永那が両頬を包んで、唇と唇が重なった。
私はゆっくり目を閉じる。
優しいキス。
何度も、何度も重ねる。
私が目を開けると、薄く目を開けていた永那と目が合った。
フフッとお互いに笑い合う。
もう一度重ねて、永那が私の下唇を舐めた。
チュッと優しく吸われて、また舐められる。
私が舌を小さく出すと、永那が絡めてくれる。
永那の舌って、なんでこんなに気持ち良いんだろう?
立っているのが辛くなって、永那の背中のシャツをギュッと握った。
…好き。
でも、まだ言っちゃダメ。

永那の手が胸に触れる。
興奮して、唾液が出る。
それを舌に纏わせてもう一度絡め合うと、もっと気持ち良い。
永那が私の唾液を舐め取るように舌を吸って、ゴクリと唾を飲む。
だから楽しくなって、私はまた舌に唾液を絡ませた。
フフッと永那が笑って、繰り返す。
私は永那を壁に押しやって、口の中で唾液を溜めた。
口付けして、それを彼女の中に流し込む。
永那が躊躇なく飲み込んだ。
優しく触れられていた胸が揉まれる。
“生きてる”って実感できるくらい、心臓が脈打っている。
体が熱い。
まだ春が来たばかりだというのに、春を飛ばして夏が来たみたい。

1つずつボタンが外されていく。
自分の呼吸する音がうるさい。
うるさい…のかな?
この音で、余計に興奮させられるような…。
永那の唇が離れて、髪を耳にかけられる。
首筋を彼女の舌が這っていく。
開いた胸元まで来て、彼女の頭が目の前にある。
私はそれを撫でて、ギュッと髪を掴む。
スカートにインしていたシャツの裾が引っ張られる。
ちょっと雑…。
「永那」
「ん?」
「優しく引っ張って?シャツが肌に擦れる」
「あ、ごめん」
「いいよ」
キャミソールの裾は、優しく引っ張ってくれた。
確認するように私の顔を見上げるから、可愛くて笑っちゃう。
それで安心したのか、永那はゆっくりキャミソールを上げていく。
彼女のあたたかい手が肌に触れる。
「ぁっ…」
くすぐったいような、気持ち良いような…。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...