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8.閑話
10.永那 中2 夏《室橋芹奈編》
「永那ってめっちゃ褒めてくれるしさ?かっこいいし?」
「ハァ」と永那がため息をつくから、(あたし、何か悪いこと言った?)って不安になる。
「永那、好き」
千陽が永那を後ろから抱きしめる。
「おー」
永那は千陽を見ないまま、右手を上げて千陽の頭を撫でた。
…この2人って、付き合ってないんだよね?
前に聞いたときは、付き合ってないって言ってたけど…。
馬鹿と付き合って、2ヶ月が経った、夏休み。
週に1回は馬鹿と会って、セックスしていた。
本当はもっと会いたいと言われていたけど、なんだかんだと理由をつけて断った。
痛みはだいぶ感じなくなっていたけど、セックスの何が良いのかは、全然わからなかった。
「うおー、あの子めっちゃ可愛い」
デート中、馬鹿が目で追うのは、色白の子。
「でもやっぱ千陽のが可愛いよなあ。千陽と付き合えねえかな、マジで」
…あたしと付き合ってるのに、平気でそういうことを言う。
夏休みも終盤に差し掛かった頃、「お前ってブスだよな」と笑われた。
「ブスと付き合ってる俺、優しすぎ~」
胸が苦しくなって、息が、できなくなった。
「な?」と聞かれて、あたしは必死に口角を上げた。
その日、ゴムをつけずに、中出しされた。
怖くて、誰に相談すればいいのかわからなくて、パニックになった。
ふと思い浮かんだのは永那で、気づいたら永那に電話をかけていた。
「うい」
「え、永那…」
「ん?どした?」
「永那…どうしよう…」
「ん?」
「な、中に…中に…された…」
「え?」
息が、上手く、できない。
「芹奈、今どこいんの?」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」
答えたいのに、何も、答えられない。
指先が震える。
全身から血の気が引いて、指先が痺れてきた。
「芹奈!!どこいんだよ!!」
永那の叫び声が脳に響いて、ようやくまともに息ができた。
「公園…!公園!!」
「わかった、すぐ行くから」
ベンチに倒れて、あたしは目を閉じた。
長い時間、そうしていた気がする。
「芹奈…芹奈…」
肩を揺らされて、重たい瞼を上げた。
「ほら」
「永那…」
「これ飲んで」
蓋の開いたペットボトルを渡されて、ゴクゴク飲む。
冷えたスポーツドリンクが全身に染み渡って、気持ち良い。
「んで…さっきの…」
思い出して、息が荒くなる。
永那が背中を撫でてくれて、あたしは彼女の肩に頭を乗せた。
「どうしよう…子供とか…できちゃったら…どうしよう…」
「排卵日は?」
「わ、わかんない…」
「これからは、ちゃんと記録つけなよ?」
あたしは頷く。
…ああ、なんか、すごい安心する。
「とりあえず、生理きたら大丈夫だけど…」
永那がスマホを出して、何かを調べ始める。
「んー…妊娠検査薬は…セックスしてから2週間後だって。病院に行けばアフターピルってのが貰えるらしいけど…お母さんに、相談できそう?」
「…無理」
「なんで?」
「こんなの…こんなの…言えるわけないじゃん!」
あたしにはお父さんがいない。
ママが結婚せずにあたしを生んで、そのままひとりで育ててくれてる。
毎日毎日、夜遅くまで働いてくれてるママに、なんて言えばいいの…。
昼はファミレス、夜はスナック…そんな苦労してるママに、これ以上心配させたくない。
あたしが肌のことでからかわれてるって八つ当たりしたときも、ママはすごく悲しそうな顔をしていた。
もう、あんな顔、見たくない。
それに、病院なんてほとんど行ったことないし、何されるのかわかんないし…怖い…。
「わかった…。とりあえず、妊娠検査薬は、一緒に買いに行こう。あと、あいつとはもう別れろ」
「…うん」
「もっと大事にしてくれる人見つけろよ」
「…いないよ」
「いるよ!」
「いない!あたし、ブスだし…」
「は?なに言ってんの?可愛いだろ」
「そんなの…言ってくれるの…永那だけだし」
永那が鼻で笑う。
「私だけじゃないでしょ。芹奈のお母さんだって、絶対そう思ってる」
「ママをいれないでよ…。余計悲しくなる」
ニシシと永那が笑った。
「…でも、ホントだよ。芹奈を可愛いって思ってくれる人、絶対いるって。ちゃんと大事にしてくれる人、いるから」
「誰?」
永那が黙るから、「永那、マジでクソ!」永那の頭を叩いた。
永那が楽しそうに笑う。
それに胸が締め付けられて、なんか、よくわからなくて、俯いた。
「永那ってさ…」
「うん?」
「女と付き合ったことあるんだよね?」
「ないよ」
「え?そ、そうなの?…あるって聞いたけど」
「ないよ。セックスはあるけど」
…それは、どうなの?
“付き合った”ってことにしておいたほうがよくない?
潔すぎて、永那が意味不明。
「…その…じゃあ…セックスってさ、良いものなの?あたし、全然わかんなくて。ただ、痛くて、キモくて…」
「私も、男とヤったときはキモいって思ったな~」
…男ともヤったんだ。
永那は、思ってたよりも…なんていうか…過激だな。
普段の姿からは想像できないのが怖い。
「でも、女の子とするのは、好きだよ」
ドキッとした。
いつもの永那の雰囲気とは全然違って…笑顔が、変にエロくて、あたしは唾を飲んだ。
慌てて顔をそらして、あたしは息を吐く。
「妊娠検査薬って、なにすんの?」
「んー?…おしっこかければいいみたいよ?」
「恥ずかしくないの…?」
「なにが?」
「その…お、おしっことか…さ…平気で、言って…」
フッと永那が笑う。
「芹奈も今言ったじゃん」
「うるさ!!!」
「ハァ」と永那がため息をつくから、(あたし、何か悪いこと言った?)って不安になる。
「永那、好き」
千陽が永那を後ろから抱きしめる。
「おー」
永那は千陽を見ないまま、右手を上げて千陽の頭を撫でた。
…この2人って、付き合ってないんだよね?
前に聞いたときは、付き合ってないって言ってたけど…。
馬鹿と付き合って、2ヶ月が経った、夏休み。
週に1回は馬鹿と会って、セックスしていた。
本当はもっと会いたいと言われていたけど、なんだかんだと理由をつけて断った。
痛みはだいぶ感じなくなっていたけど、セックスの何が良いのかは、全然わからなかった。
「うおー、あの子めっちゃ可愛い」
デート中、馬鹿が目で追うのは、色白の子。
「でもやっぱ千陽のが可愛いよなあ。千陽と付き合えねえかな、マジで」
…あたしと付き合ってるのに、平気でそういうことを言う。
夏休みも終盤に差し掛かった頃、「お前ってブスだよな」と笑われた。
「ブスと付き合ってる俺、優しすぎ~」
胸が苦しくなって、息が、できなくなった。
「な?」と聞かれて、あたしは必死に口角を上げた。
その日、ゴムをつけずに、中出しされた。
怖くて、誰に相談すればいいのかわからなくて、パニックになった。
ふと思い浮かんだのは永那で、気づいたら永那に電話をかけていた。
「うい」
「え、永那…」
「ん?どした?」
「永那…どうしよう…」
「ん?」
「な、中に…中に…された…」
「え?」
息が、上手く、できない。
「芹奈、今どこいんの?」
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」
答えたいのに、何も、答えられない。
指先が震える。
全身から血の気が引いて、指先が痺れてきた。
「芹奈!!どこいんだよ!!」
永那の叫び声が脳に響いて、ようやくまともに息ができた。
「公園…!公園!!」
「わかった、すぐ行くから」
ベンチに倒れて、あたしは目を閉じた。
長い時間、そうしていた気がする。
「芹奈…芹奈…」
肩を揺らされて、重たい瞼を上げた。
「ほら」
「永那…」
「これ飲んで」
蓋の開いたペットボトルを渡されて、ゴクゴク飲む。
冷えたスポーツドリンクが全身に染み渡って、気持ち良い。
「んで…さっきの…」
思い出して、息が荒くなる。
永那が背中を撫でてくれて、あたしは彼女の肩に頭を乗せた。
「どうしよう…子供とか…できちゃったら…どうしよう…」
「排卵日は?」
「わ、わかんない…」
「これからは、ちゃんと記録つけなよ?」
あたしは頷く。
…ああ、なんか、すごい安心する。
「とりあえず、生理きたら大丈夫だけど…」
永那がスマホを出して、何かを調べ始める。
「んー…妊娠検査薬は…セックスしてから2週間後だって。病院に行けばアフターピルってのが貰えるらしいけど…お母さんに、相談できそう?」
「…無理」
「なんで?」
「こんなの…こんなの…言えるわけないじゃん!」
あたしにはお父さんがいない。
ママが結婚せずにあたしを生んで、そのままひとりで育ててくれてる。
毎日毎日、夜遅くまで働いてくれてるママに、なんて言えばいいの…。
昼はファミレス、夜はスナック…そんな苦労してるママに、これ以上心配させたくない。
あたしが肌のことでからかわれてるって八つ当たりしたときも、ママはすごく悲しそうな顔をしていた。
もう、あんな顔、見たくない。
それに、病院なんてほとんど行ったことないし、何されるのかわかんないし…怖い…。
「わかった…。とりあえず、妊娠検査薬は、一緒に買いに行こう。あと、あいつとはもう別れろ」
「…うん」
「もっと大事にしてくれる人見つけろよ」
「…いないよ」
「いるよ!」
「いない!あたし、ブスだし…」
「は?なに言ってんの?可愛いだろ」
「そんなの…言ってくれるの…永那だけだし」
永那が鼻で笑う。
「私だけじゃないでしょ。芹奈のお母さんだって、絶対そう思ってる」
「ママをいれないでよ…。余計悲しくなる」
ニシシと永那が笑った。
「…でも、ホントだよ。芹奈を可愛いって思ってくれる人、絶対いるって。ちゃんと大事にしてくれる人、いるから」
「誰?」
永那が黙るから、「永那、マジでクソ!」永那の頭を叩いた。
永那が楽しそうに笑う。
それに胸が締め付けられて、なんか、よくわからなくて、俯いた。
「永那ってさ…」
「うん?」
「女と付き合ったことあるんだよね?」
「ないよ」
「え?そ、そうなの?…あるって聞いたけど」
「ないよ。セックスはあるけど」
…それは、どうなの?
“付き合った”ってことにしておいたほうがよくない?
潔すぎて、永那が意味不明。
「…その…じゃあ…セックスってさ、良いものなの?あたし、全然わかんなくて。ただ、痛くて、キモくて…」
「私も、男とヤったときはキモいって思ったな~」
…男ともヤったんだ。
永那は、思ってたよりも…なんていうか…過激だな。
普段の姿からは想像できないのが怖い。
「でも、女の子とするのは、好きだよ」
ドキッとした。
いつもの永那の雰囲気とは全然違って…笑顔が、変にエロくて、あたしは唾を飲んだ。
慌てて顔をそらして、あたしは息を吐く。
「妊娠検査薬って、なにすんの?」
「んー?…おしっこかければいいみたいよ?」
「恥ずかしくないの…?」
「なにが?」
「その…お、おしっことか…さ…平気で、言って…」
フッと永那が笑う。
「芹奈も今言ったじゃん」
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