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6.さんにん
392.ふたり
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「順番が悪いんだ!なんで私が最後なの!?おかしい!ずるい!」
騒ぐ永那の口に、優里と誉がたこ焼きを入れる。
「ちゃんと噛むんだよ?」
穂が追い打ちをかけて、永那は項垂れながら噛んでいた。
「あーー!」
お茶をゴクゴク飲む。
優里は永那をからかって、誉が楽しそうに笑う。
穂と桜は苦笑していた。
あたしは…正直どうでもいい。
自分が罰ゲームを受けさえしなければ。
…でも、穂が罰ゲームを受けるところは、ちょっと見てみたいかも。
3回勝負だったから、その機会はもう訪れないけど。
そのまま、たこ焼きパーティーが始まった。
穂は匂いがつくからと、永那が着ていた学ランを脱がせていた。
穂が着替えるために部屋に入ろうとすると、永那がニヤニヤしながらついていこうとする。
永那が部屋に入る前に勢いよくドアが閉められて、みんなで笑った。
「パーティーだからね、チョコとかも用意したよ?」
誉がお皿にタコをはじめとした具材を山のように乗せて、運んでくる。
「いっそ、カラシのやつも作ろうぜー!ロシアンルーレットじゃー!」
「賛成賛成!!」
永那と優里が勝手に盛り上がる。
…穂が食べる機会が訪れたとも言える。
「私は、絶対に嫌」
穂が2人を睨む。
「す、穂~、ちょっとだけ!ね?」
「嫌。永那ちゃんが食べたいなら作ってもいいけど、私は食べないよ?」
「それじゃあロシアンルーレットにならないじゃん!私、ただのМみたいになっちゃうじゃん!」
穂がぷいとそっぽを向いて、断固として拒絶する。
永那がうなだれて、優里は“じゃあ、しょうがないか”と諦めの表情。
やっぱり、穂が罰ゲームを受けるところは見られないみたい。
…残念。
まあ、ロシアンルーレットだと、あたしが当たる可能性もあるし、やらないのが吉だとも思う。
結局、ただみんなでたこ焼きを作るだけだったけど、6時半頃まで盛り上がった。
あたしは初めてたこ焼きを作ってみたけど、あんまり上手にはできなかった。
まん丸く作るのが難しい…。
「永那ちゃん、時間大丈夫?」
「一応、メッセージは送った…。返事はないけど、大丈夫って信じる!!」
みんながそれぞれに心配そうな顔をしている。
あたしだけかな…?残っているたこ焼きをつまんで、普通にしているのは。
(こんなに食べちゃったから、明日から長めに運動とストレッチしなきゃな~)なんて、適当に考える。
「じゃあ!じゃあ!最後!!」
誉が立ち上がって、キッチンに向かう。
少しして、パチッと電気が消された。
「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー」
誉は歌いながら、ロウソクが揺らめくのを見つめて、ゆっくりこちらに向かってきた。
ピッとカメラの起動音が聞こえて、あたしは永那のほうを見る。
永那は、こういう記録大好きだよね。
永那、穂、桜が一緒に歌い始める。
仕方なくあたしも。
「「ハッピーバースデー ディア 優里」」
「あと!千陽も!!」
急に言われて、ドキッとする。
誉がニシシと笑った。
みんながあたしを見る。
みんなから笑顔を向けられて、顔が熱くなった。
「「ハッピーバースデートゥーユー」」
テーブルにケーキが置かれると、みんなが“わー!”と声を漏らす。
「優里と千陽、2人で火消して?」
誉に言われて、優里と目を合わせる。
「せーの」
言われて、フゥーッと息を吐いた。
みんなが拍手をして、誉は小走りに電気をつけに行く。
「昨日の夜、作ったんだ」
へへへと誉が笑う。
不器用に生クリームがスポンジに塗りたくられている。
それを隠すようにフルーツがたくさん乗っていて、いかにも“手作り”って感じがして、それが、妙に嬉しかった。
「おいしそ~!!めっちゃ嬉しい!!」
優里が顔を綻ばせる。
「すげー!誉が作ったの?」
「そう!スポンジは買ったやつだけどね…。生クリームとか、ミキサーでかき混ぜたとき、最初飛び散っちゃって、結構大変だった」
誉が照れながら言うと、穂は微笑ましそうに彼の頭を撫でる。
「俺から、優里と千陽に、誕生日プレゼント…」
「ありがと~!誉~!!ホントにホントに嬉しいよ~!」
優里は勢いよく誉に抱きついて、誉が床に押し倒される。
あたしは鞄から優里へのプレゼントを取り出して、テーブルに乗せた。
「優里、これ、あたしから」
「え!?ありがとう!!」
リップバーム。
永那、穂、桜もそれぞれプレゼントを渡して、みんなでケーキを食べて、お開きになった。
ケーキは、まあ…おいしくて、つい、たくさん食べた。
誉が嬉しそうにするからちょっと不服だったけど、食べた。
「永那ちゃん、これ、お母さんに。今日食べてもらってもいいし、明日永那ちゃんとお母さんで食べてもいいんだけど」
「わ!カボチャの煮物!…と、きんぴらだ!!ありがとう!!」
「うん」
…いいな。あたしも欲しい。
2人は当たり前のようにキスをした。
(さっきは穂、嫌がってたのに…帰るときはいいんだ…)
穂と誉に見送られながら、あたし達はエレベーターに乗って、帰途についた。
騒ぐ永那の口に、優里と誉がたこ焼きを入れる。
「ちゃんと噛むんだよ?」
穂が追い打ちをかけて、永那は項垂れながら噛んでいた。
「あーー!」
お茶をゴクゴク飲む。
優里は永那をからかって、誉が楽しそうに笑う。
穂と桜は苦笑していた。
あたしは…正直どうでもいい。
自分が罰ゲームを受けさえしなければ。
…でも、穂が罰ゲームを受けるところは、ちょっと見てみたいかも。
3回勝負だったから、その機会はもう訪れないけど。
そのまま、たこ焼きパーティーが始まった。
穂は匂いがつくからと、永那が着ていた学ランを脱がせていた。
穂が着替えるために部屋に入ろうとすると、永那がニヤニヤしながらついていこうとする。
永那が部屋に入る前に勢いよくドアが閉められて、みんなで笑った。
「パーティーだからね、チョコとかも用意したよ?」
誉がお皿にタコをはじめとした具材を山のように乗せて、運んでくる。
「いっそ、カラシのやつも作ろうぜー!ロシアンルーレットじゃー!」
「賛成賛成!!」
永那と優里が勝手に盛り上がる。
…穂が食べる機会が訪れたとも言える。
「私は、絶対に嫌」
穂が2人を睨む。
「す、穂~、ちょっとだけ!ね?」
「嫌。永那ちゃんが食べたいなら作ってもいいけど、私は食べないよ?」
「それじゃあロシアンルーレットにならないじゃん!私、ただのМみたいになっちゃうじゃん!」
穂がぷいとそっぽを向いて、断固として拒絶する。
永那がうなだれて、優里は“じゃあ、しょうがないか”と諦めの表情。
やっぱり、穂が罰ゲームを受けるところは見られないみたい。
…残念。
まあ、ロシアンルーレットだと、あたしが当たる可能性もあるし、やらないのが吉だとも思う。
結局、ただみんなでたこ焼きを作るだけだったけど、6時半頃まで盛り上がった。
あたしは初めてたこ焼きを作ってみたけど、あんまり上手にはできなかった。
まん丸く作るのが難しい…。
「永那ちゃん、時間大丈夫?」
「一応、メッセージは送った…。返事はないけど、大丈夫って信じる!!」
みんながそれぞれに心配そうな顔をしている。
あたしだけかな…?残っているたこ焼きをつまんで、普通にしているのは。
(こんなに食べちゃったから、明日から長めに運動とストレッチしなきゃな~)なんて、適当に考える。
「じゃあ!じゃあ!最後!!」
誉が立ち上がって、キッチンに向かう。
少しして、パチッと電気が消された。
「ハッピーバースデートゥーユー、ハッピーバースデートゥーユー」
誉は歌いながら、ロウソクが揺らめくのを見つめて、ゆっくりこちらに向かってきた。
ピッとカメラの起動音が聞こえて、あたしは永那のほうを見る。
永那は、こういう記録大好きだよね。
永那、穂、桜が一緒に歌い始める。
仕方なくあたしも。
「「ハッピーバースデー ディア 優里」」
「あと!千陽も!!」
急に言われて、ドキッとする。
誉がニシシと笑った。
みんながあたしを見る。
みんなから笑顔を向けられて、顔が熱くなった。
「「ハッピーバースデートゥーユー」」
テーブルにケーキが置かれると、みんなが“わー!”と声を漏らす。
「優里と千陽、2人で火消して?」
誉に言われて、優里と目を合わせる。
「せーの」
言われて、フゥーッと息を吐いた。
みんなが拍手をして、誉は小走りに電気をつけに行く。
「昨日の夜、作ったんだ」
へへへと誉が笑う。
不器用に生クリームがスポンジに塗りたくられている。
それを隠すようにフルーツがたくさん乗っていて、いかにも“手作り”って感じがして、それが、妙に嬉しかった。
「おいしそ~!!めっちゃ嬉しい!!」
優里が顔を綻ばせる。
「すげー!誉が作ったの?」
「そう!スポンジは買ったやつだけどね…。生クリームとか、ミキサーでかき混ぜたとき、最初飛び散っちゃって、結構大変だった」
誉が照れながら言うと、穂は微笑ましそうに彼の頭を撫でる。
「俺から、優里と千陽に、誕生日プレゼント…」
「ありがと~!誉~!!ホントにホントに嬉しいよ~!」
優里は勢いよく誉に抱きついて、誉が床に押し倒される。
あたしは鞄から優里へのプレゼントを取り出して、テーブルに乗せた。
「優里、これ、あたしから」
「え!?ありがとう!!」
リップバーム。
永那、穂、桜もそれぞれプレゼントを渡して、みんなでケーキを食べて、お開きになった。
ケーキは、まあ…おいしくて、つい、たくさん食べた。
誉が嬉しそうにするからちょっと不服だったけど、食べた。
「永那ちゃん、これ、お母さんに。今日食べてもらってもいいし、明日永那ちゃんとお母さんで食べてもいいんだけど」
「わ!カボチャの煮物!…と、きんぴらだ!!ありがとう!!」
「うん」
…いいな。あたしも欲しい。
2人は当たり前のようにキスをした。
(さっきは穂、嫌がってたのに…帰るときはいいんだ…)
穂と誉に見送られながら、あたし達はエレベーターに乗って、帰途についた。
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