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6.さんにん
403.冷たい
「心の病気のこととか、同性愛のこととか。小説も読んでるけど、そういう新書みたいなのも読んでみてる」
穂は…本当に、勉強熱心なんだな。
学校の勉強だけじゃなくて、そういう、自分の周りで起きていることに関心を持って勉強できるって、凄い才能だと思う。
私は、毎日生活するのにいっぱいいっぱいで、そんな風に努力しようと思ったことはなかった。
「でもね、読んでも読んでも、わからないことばっかりだよ」
「…そうなんだ」
「こうしてみたらいいのかも!って、読んだ後には思ったりもする。永那ちゃんに教えようかな?なんて…つい、余計な世話を焼こうとしちゃいそうになることもある。だけど、たぶん、そういう簡単な話じゃなくて」
涙が伝った跡がやたら寒くて、彼女の肩で涙を拭う。
「きっと、時間がかかるんだよ」
背中をトントンと優しく叩いてくれる。
「焦らないで、永那ちゃん」
彼女の優しい声に、胸の痛みが和らいでいく。
「焦らないで。私達、まだ17才だよ?時間は、きっと、たくさんある。ほら、大学生になったら2人で旅行もしたいし、いろんなところに行きたい。そう、話したでしょ?」
張り詰めていた何かが緩んで、今度こそ隠しきれないほどに涙が溢れた。
彼女がポケットからハンカチを出して、拭いてくれる。
「穂」
「ん?」
「好き」
フフッと彼女が笑う。
涙でボヤけた視界のなかでも、彼女の笑顔は素敵だった。
「私も、永那ちゃんが好き」
「…どうして?」
「え!?」
「こんな、めんどくさい性格してるのに」
「めんどくさくないよ?」
「こんな、泣いて…めんどくさいじゃん」
「めんどくさいなんて思ったこと、1度もないよ?永那ちゃんはいつも優しい。優しいから、泣くんでしょ?」
「…わけわかんないよ」
彼女が唇を尖らせて、考え込む。
“わけわかんない”に答えようとしなくていい。
ただの照れ隠しなんだから。
そう思って、彼女の唇に唇を重ねた。
彼女が目を見開く。
離れると、彼女は笑みを浮かべて歩き出した。
その後に続く。
彼女の後ろ姿が、すごく、頼もしく思えた。
「月曜、エッチすんの?」
穂は凄い勢いで振り向いた。
さっきエッチの話してたの、穂なのに。
…まあ、さっきはまだ駅が遠かったから人が少なかったけど。
「シーッ!」
楽しくなって、小走りに距離を詰めて彼女の横に立つ。
「すんの?」
「…す、少しだけ、ね?」
「少しだけで満足できんの?」
“むぅ”と、さっきよりも唇を尖らせる。
歩くスピードが速くなって、質問の答えを返す気はないらしい。
「穂!…ねえ、穂ってば」
呼びかけても、彼女は拗ねた子供みたいにぷいとそっぽを向いて、足早に歩く。
なんか、こういうとこ、千陽に似てきたな。
千陽は拗ねてもマイペースに歩くけど。
「わっ」
彼女がツルッと滑るから、反射的に腕を掴んだ。
「そんな速く歩いたら危ないよ?」
私がニヤニヤすると、彼女が悔しそうにする。
「穂とまだバイバイしたくないし。ゆっくり行こうよ」
彼女は深呼吸して、腕を掴んだ私の手をそっと握る。
上目遣いに見られて、それがあまりに可愛くて蕩けそうだ。
「あ、ありがとう…」
「うん。いいよ」
得も言われぬ満足感と高揚感。
好きだ。
叫びたくなるくらい、好きだ。
手を繋いで、ゆっくり歩く。
なのに駅がどんどん近づいて、あっという間に改札前についてしまった。
「また、明日ね」
「うん」
「気をつけて帰ってね」
「永那ちゃんもね」
「うん」
いつも通り、穂の背中を見送った。
1度振り向いて手を振ってくれたから、振り返す。
足元に気をつけながら家に帰った。
お母さんは少し膨れっ面だったけど、穂のご飯と今日いろんな人から貰ったチョコレートで機嫌をなおしていた。
ご飯を食べ終えると、お母さんは冷蔵庫からプラスチックのコップを取り出した。
「ハッピーバレンタイン!」
「わぁ…ありがとう、お母さん」
チョコレートのプリンみたいだった。
「簡単に作れるレシピ調べてね、マシュマロ使って作ったんだよ?」
「そうなんだ。買い物、大変じゃなかった?寒かったでしょ」
「全然平気!久しぶりにお菓子作って、楽しかったよ」
「そっか」
「食べて食べて!」
「うん」
スプーンで一口掬う。
「うん、美味しい」
「良かった~!お母さんも食べよ~っ」
口に入れた瞬間、“ん~!”と声を上げて美味しそうにプリンを食べる。
こうやって過ごす時間は、楽しいはずなのにな…。
翌日、穂は約束通り、みんなに配っていたチョコをくれた。
味が最高だったのは言うまでもない。
「誉、たくさんチョコ貰って帰ってきたんだよ!」
興奮気味に教えてくれて、その姿がちょっと珍しくて思わず笑った。
誉はモテるもんなー。
運動できて、成績も悪くなくて、ノリ良くて優しかったら、年齢問わずモテちゃうよね。
ちょっとお姉ちゃんっ子っぽいところも可愛らしいところだ。
それからあっという間に時間は過ぎた。
土日は、まるで少し前のお母さんみたいに眠りこけた。
眠り過ぎるとちょっと頭が痛くなるのが嫌なんだけど、どうしても起きられない。
今は、冬のせいってことにしておく。
穂は…本当に、勉強熱心なんだな。
学校の勉強だけじゃなくて、そういう、自分の周りで起きていることに関心を持って勉強できるって、凄い才能だと思う。
私は、毎日生活するのにいっぱいいっぱいで、そんな風に努力しようと思ったことはなかった。
「でもね、読んでも読んでも、わからないことばっかりだよ」
「…そうなんだ」
「こうしてみたらいいのかも!って、読んだ後には思ったりもする。永那ちゃんに教えようかな?なんて…つい、余計な世話を焼こうとしちゃいそうになることもある。だけど、たぶん、そういう簡単な話じゃなくて」
涙が伝った跡がやたら寒くて、彼女の肩で涙を拭う。
「きっと、時間がかかるんだよ」
背中をトントンと優しく叩いてくれる。
「焦らないで、永那ちゃん」
彼女の優しい声に、胸の痛みが和らいでいく。
「焦らないで。私達、まだ17才だよ?時間は、きっと、たくさんある。ほら、大学生になったら2人で旅行もしたいし、いろんなところに行きたい。そう、話したでしょ?」
張り詰めていた何かが緩んで、今度こそ隠しきれないほどに涙が溢れた。
彼女がポケットからハンカチを出して、拭いてくれる。
「穂」
「ん?」
「好き」
フフッと彼女が笑う。
涙でボヤけた視界のなかでも、彼女の笑顔は素敵だった。
「私も、永那ちゃんが好き」
「…どうして?」
「え!?」
「こんな、めんどくさい性格してるのに」
「めんどくさくないよ?」
「こんな、泣いて…めんどくさいじゃん」
「めんどくさいなんて思ったこと、1度もないよ?永那ちゃんはいつも優しい。優しいから、泣くんでしょ?」
「…わけわかんないよ」
彼女が唇を尖らせて、考え込む。
“わけわかんない”に答えようとしなくていい。
ただの照れ隠しなんだから。
そう思って、彼女の唇に唇を重ねた。
彼女が目を見開く。
離れると、彼女は笑みを浮かべて歩き出した。
その後に続く。
彼女の後ろ姿が、すごく、頼もしく思えた。
「月曜、エッチすんの?」
穂は凄い勢いで振り向いた。
さっきエッチの話してたの、穂なのに。
…まあ、さっきはまだ駅が遠かったから人が少なかったけど。
「シーッ!」
楽しくなって、小走りに距離を詰めて彼女の横に立つ。
「すんの?」
「…す、少しだけ、ね?」
「少しだけで満足できんの?」
“むぅ”と、さっきよりも唇を尖らせる。
歩くスピードが速くなって、質問の答えを返す気はないらしい。
「穂!…ねえ、穂ってば」
呼びかけても、彼女は拗ねた子供みたいにぷいとそっぽを向いて、足早に歩く。
なんか、こういうとこ、千陽に似てきたな。
千陽は拗ねてもマイペースに歩くけど。
「わっ」
彼女がツルッと滑るから、反射的に腕を掴んだ。
「そんな速く歩いたら危ないよ?」
私がニヤニヤすると、彼女が悔しそうにする。
「穂とまだバイバイしたくないし。ゆっくり行こうよ」
彼女は深呼吸して、腕を掴んだ私の手をそっと握る。
上目遣いに見られて、それがあまりに可愛くて蕩けそうだ。
「あ、ありがとう…」
「うん。いいよ」
得も言われぬ満足感と高揚感。
好きだ。
叫びたくなるくらい、好きだ。
手を繋いで、ゆっくり歩く。
なのに駅がどんどん近づいて、あっという間に改札前についてしまった。
「また、明日ね」
「うん」
「気をつけて帰ってね」
「永那ちゃんもね」
「うん」
いつも通り、穂の背中を見送った。
1度振り向いて手を振ってくれたから、振り返す。
足元に気をつけながら家に帰った。
お母さんは少し膨れっ面だったけど、穂のご飯と今日いろんな人から貰ったチョコレートで機嫌をなおしていた。
ご飯を食べ終えると、お母さんは冷蔵庫からプラスチックのコップを取り出した。
「ハッピーバレンタイン!」
「わぁ…ありがとう、お母さん」
チョコレートのプリンみたいだった。
「簡単に作れるレシピ調べてね、マシュマロ使って作ったんだよ?」
「そうなんだ。買い物、大変じゃなかった?寒かったでしょ」
「全然平気!久しぶりにお菓子作って、楽しかったよ」
「そっか」
「食べて食べて!」
「うん」
スプーンで一口掬う。
「うん、美味しい」
「良かった~!お母さんも食べよ~っ」
口に入れた瞬間、“ん~!”と声を上げて美味しそうにプリンを食べる。
こうやって過ごす時間は、楽しいはずなのにな…。
翌日、穂は約束通り、みんなに配っていたチョコをくれた。
味が最高だったのは言うまでもない。
「誉、たくさんチョコ貰って帰ってきたんだよ!」
興奮気味に教えてくれて、その姿がちょっと珍しくて思わず笑った。
誉はモテるもんなー。
運動できて、成績も悪くなくて、ノリ良くて優しかったら、年齢問わずモテちゃうよね。
ちょっとお姉ちゃんっ子っぽいところも可愛らしいところだ。
それからあっという間に時間は過ぎた。
土日は、まるで少し前のお母さんみたいに眠りこけた。
眠り過ぎるとちょっと頭が痛くなるのが嫌なんだけど、どうしても起きられない。
今は、冬のせいってことにしておく。
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