いたずらはため息と共に

常森 楽

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7.向

456.バランス

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「これ、下げていいの?」
肩紐を撫でられる。
「永那の好きにして?」
「ん」
トクトクと心臓が動き始める。
ゆっくり肩紐を下ろされ、かろうじて布が突起に引っかかって、乳首までは見えていない。
乳房が露出し、彼女が吸い付く。
判を押すように、そこだけ温かい。
永那…興奮してくれてる?
してくれてるといいな。
彼女の髪を撫でる。
チュッと音がして離れると、今度はそこだけ冷たくなった。
「やらかい」
「また言って…穂がヤキモチ妬くよ?」
「いいんだよ。妬かせたいから」
「あっそ」
下から支えるように乳房を揉まれる。
手が動くたびに布がずれて、徐々に乳輪が見え始める。

「腰、動いてるよ?」
言われて、顔が火照る。
「一晩焦らされたんだから、当たり前じゃん」
彼女が満足そうに笑って、突起に触れる。
「ぁっ」
お腹が小刻みに震える。
手に力が込もる。
布を捲られ、舐められた。
ビクッと体が揺れる。
押されるように、あたしはベッドに手をついた。
舌先で突起を弄られ、微弱な刺激がくすぐったさと焦れったさを生む。
目を閉じて、この時間を思う存分楽しむ。
自分の荒い呼吸がよく聞こえる。
「んっ」
甘噛みされ、ピリピリと電流が流されるみたい。
吐き出す息が震える。
「気持ちぃ…気持ちいぃ、よ…」

彼女の足がモソモソと動く。
少し腰を浮かせると、お尻の下にあった足が引っ込み、あたしはベッドに座ることになった。
永那の膝の上、嬉しかったのに…。
そのままベッドに倒された。
…うん、こっちの方がいいかも。
でも、また後で永那の膝に座りたい。
勝手にそんなことを思いながら、彼女にされるがままになる。
本格的に気持ち良くしてくれるらしい。
彼女の顔が目の前に来て、心臓がギュッと鷲掴みにされる。
眼鏡が少しずり落ちているのに、気にせずあたしの胸を口に含む。
上目遣いに見られて、思わず息が溢れた。
「ぁぁっ…好きッ」
目が、離せない。
永那も、なぜかあたしをずっと見てる。
…そんなに、見ないで。
「んっ」
気持ち良さに、目を瞑る。
「ぁっ」
永那にジッと見られている姿が頭に浮かぶ。
かっこよくて、可愛くて、優しくて、いつも守ってくれて、そんな永那が、あたしは大好きで…。
普段はふざけたり寝たりしてるだけなのに、スイッチ入るとがエロくなって。
いつか、永那に愛されたいと、ずっと想ってきた。
同時に恐怖心もあって、それすらも彼女はわかっていてくれて。
でも…今は…ただ彼女に身を任せたいと思ってる。

永那に、ちゃんとシてもらったのは2回。
そのどちらも、穂への罪悪感が付き纏った。
でも、今日は…今日は…あんまり感じない。
どうしてだろう?
「千陽」
呼ばれて、目を開ける。
「お前、何か考え事してるでしょ?」
彼女の左眉が上がる。
「なん、で…?」
「全然イかないから」
「…永那が、下手なんじゃない?」
「あ?」
目を細め、睨まれながらも、彼女の口角は上がっている。
「…へた」
嘘。
本当に気持ち良かった。
…イかなくたっていいじゃん。
永那は目の下をピクピクと痙攣させてから、深呼吸する。
「お前は…ホントに、口が悪いなあ?もっと言い方ってもんがあるでしょ!」
「知らない」
「…ムードのせいかなぁ?」
ポリポリと頭を掻く。

「穂」
穂がひょこっと顔を出す。
口元を本で隠していた。
…可愛い。
「私下手なんだって」
「永那ちゃんは…上手だよ?たぶん…」
「たぶん!!穂まで…!!たぶんって!!地味にめっちゃ傷つく!!」
永那は天井を見上げて、両手で目を覆った。
「あ、そ、それは…ほら、私、永那ちゃんと千陽としか、その…経験がないから…わからないという意味で…」
本を閉じて、穂がベッドに乗る。
「千陽、気分じゃないの…?」
髪を撫でられる。
「気分だよ」
穂の目がまん丸くなる。
“うーん…じゃあ、どうしてだろう?”という表情になる。
彼女の首根っこを掴んで、強引にキスする。
舌を出すと、困惑しながらも絡めてくれる。
穂とのキス…慣れたキス。
彼女が髪を耳にかける。

「欲張りな奴だな」
胸にぬくもりが戻ってくる。
しょうがないじゃん、あたしの、最初から欲張りコースだったんだから。
「んっ」
…愛されてる、2人から。
頭の中が、少しずつ、真っ白になっていく。
そっか。そうだった。あたし、2人から愛されたいんだ。
穂の唾液が流れ込んできて、ゴクリと飲んだ。
飲んだことなんてないけど、まるで媚薬みたい。
奥の芯が炭火のようにパチパチと火花を散らし始める。
子宮が疼いて、体が熱を持つ。
「フん…ッ」
指先がピリピリする。
快感が押し寄せてくる。
舌を出していられなくなって、ただ穂の首の後ろをギュッと掴んだ。
「ぁっ…ハァッあッ」
足の指が全部開いて、ガクガクと体が揺れた。
「ハァ…やっとイったか」
“やっと”ってなに…。
穂が優しく笑う。
「穂、好き」
「私も好きだよ、千陽」
「おいおい、私は!?」
無視する。
穂の顔を近づけて、もう一度口づけする。
永那のため息が聞こえてくるけど、知らない。
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