文字の大きさ
大
中
小
559 / 595
9.移ろい
492.新学年
私は、穂と付き合ってから、千陽のことも切ろうとした。
そんな私が、その他大勢を重視しているはずがなかった。
私は私が思っていたよりも冷たい人間だったんだな。
やっぱ、優しくなんかないじゃん。
「ってかさ~、千陽の惚気話、ヤバかったね~」
「だね」
「千陽の好みって、かっこいい感じかと思いきや、可愛い系?ピュアとか言ってたし」
「んー、たしかに。優里と桜のこと気に入ってるのも千陽だしね」
燈夏が寂しそうに頷く。
「千陽って完全に、相手、女じゃないと無理なんだよね?」
「たぶんね。…前、男とくっつけようとしたのバレて、ハッキリ無理って言われたし」
「え!?そんなことしようとしてたの!?」
「そー。穂と付き合いたての頃、私の代わりを見つけたいなーって思って」
「永那の代わり?」
「千陽のお守り役」
「お守りって!」
ペシッと肩を叩かれる。
「あいつには必要なんだよ、お守りが。優里じゃアホ過ぎて務まんないし」
「まあ、たしかに、優里はアホだね」
「バド部、忙しそうだしね」
「だねー。優里、すごい頑張ってるよね。前、千陽と一緒に試合見に行ったことあるけど、バドミントンやってる時の優里は、なんか、めっちゃかっこいいなって思った」
「ステージマジックってやつ?」
「なにそれ?」
「普段は全然かっこよくないのに、ステージに立つと何故かかっこよく見える現象のこと…だった気がする」
「へえ…。じゃあ、それだっ」
「優里に失礼」
プッと燈夏が笑う。
「永那が言ったんじゃんっ」
「まあね」
笑い合う。
「お守り役、見つかって良かったね」
「…どうかな」
「えっ、もしかして、見つかったら見つかったで寂しい感じ?永那でもそんなこと思うんだ!」
「“永那でも”ってなんだよ。…ってか違うし。そもそもお守り役は、四六時中あいつのそばにいれなきゃダメなんだよ」
「あ、そっか!学校が違うんじゃ、無理だもんね」
…相手が穂なのだとしたら(さっきの惚気話で完全に穂だと特定できたけど)、学校は同じだ。
でも!穂は私の恋人なんです!!
同じ学校じゃなくてもいいけど、せめて一緒に遊ぶ時のお守りは欲しい。
誉が適任だと思ったけど、千陽、嫌がるしなー。
「ま、そゆこと。結局、学校とか、みんなで遊ぶ時とか、私が変わらずお守りをしなきゃいけないってこと。私は穂とイチャイチャしたいのに」
「十分してるって」
「もっとしたい」
「空井さん、大変そう…」
「みんなそれ言うな!?なんで!?好き同士だったらイチャイチャするもんなんじゃないの!?」
「いや、だから十分過ぎるくらいイチャイチャしてるって」
「え~…燈夏は、好きな人にこんなにイチャイチャされたら嫌?」
「学校では…嫌かも…」
「マジで!?」
割と本気でショックを受けた…。
ショックを受けたところで、ちょうど図書館についたので、お喋りをやめて、席を探す。
学校終わりだからか、自習スペースはかなり学生がいた。
なんとか2席空いているのを見つけて、座る。
それから5時半近くまで、ほとんど喋ることはなかった。
たまに燈夏はスマホを弄っていたけど、図書館の人に注意されるほどではなかった。
「ん~!疲れた~!!」
外に出ると、燈夏が伸びをする。
「おつかれ」
「おっつ~」
「駅まで送ったほうがいい?」
「送ってくれるの?」
燈夏がちょんと唇を突き出し、あひる唇を作る。
「…まあ、マップ見ればひとりで帰れるか」
「え!?永那から言ってきたくせに~っ」
「一応、ね?」
「後から断るくらいなら最初から言うなしっ」
「ごめんごめん」
「べつにいいけどさっ」
本当に大丈夫そうな反応。
「永那と…久々にちゃんと話せて楽しかった」
「私も、楽しかったよ」
「本当…?」
「うん。…もっと学校でも構ってあげなきゃなって反省しました」
ニヤリと口角を上げると「は~!?超上から目線なんですけど~っ」と彼女が笑う。
「初カノが出来て、浮かれすぎてたかな」
「ホントそれ」
「でも穂が可愛すぎるんだよな~、それが悪い!」
「空井さんの可愛さは、私にはわかんないわ。キツいイメージしかないし」
「はっ、燈夏はまだまだだな」
「なにが?」
「あの真面目さと!2人きりになった時に甘えられた時のギャップが!とてつもない破壊力を持ってるんじゃん!」
「空井さん…甘えるんだ?」
燈夏は目を細めて、聞いちゃいけないことを聞いたみたいに、恥ずかしげに、緩む口元をモゴモゴと動かした。
「甘えてくれる。マジで最高、可愛いの頂点」
「今度、また聞かせてよ。そういう話」
「うん。…穂が嫌がるだろうから、詳しくは言えないけどね」
「あ~、嫌がりそ~。永那、怒られるんじゃない?」
「だから詳しくは言わないって」
「とか言って、調子乗ってペラペラ喋ってそうなのがウケる」
「うわー、自分でも想像できたわ」
「気をつけなよ~?」
「燈夏も、気をつけて帰ってよ」
彼女がフフッと笑う。
長い髪が春の風に靡く。
「また明日ね」
「また明日」
そんな私が、その他大勢を重視しているはずがなかった。
私は私が思っていたよりも冷たい人間だったんだな。
やっぱ、優しくなんかないじゃん。
「ってかさ~、千陽の惚気話、ヤバかったね~」
「だね」
「千陽の好みって、かっこいい感じかと思いきや、可愛い系?ピュアとか言ってたし」
「んー、たしかに。優里と桜のこと気に入ってるのも千陽だしね」
燈夏が寂しそうに頷く。
「千陽って完全に、相手、女じゃないと無理なんだよね?」
「たぶんね。…前、男とくっつけようとしたのバレて、ハッキリ無理って言われたし」
「え!?そんなことしようとしてたの!?」
「そー。穂と付き合いたての頃、私の代わりを見つけたいなーって思って」
「永那の代わり?」
「千陽のお守り役」
「お守りって!」
ペシッと肩を叩かれる。
「あいつには必要なんだよ、お守りが。優里じゃアホ過ぎて務まんないし」
「まあ、たしかに、優里はアホだね」
「バド部、忙しそうだしね」
「だねー。優里、すごい頑張ってるよね。前、千陽と一緒に試合見に行ったことあるけど、バドミントンやってる時の優里は、なんか、めっちゃかっこいいなって思った」
「ステージマジックってやつ?」
「なにそれ?」
「普段は全然かっこよくないのに、ステージに立つと何故かかっこよく見える現象のこと…だった気がする」
「へえ…。じゃあ、それだっ」
「優里に失礼」
プッと燈夏が笑う。
「永那が言ったんじゃんっ」
「まあね」
笑い合う。
「お守り役、見つかって良かったね」
「…どうかな」
「えっ、もしかして、見つかったら見つかったで寂しい感じ?永那でもそんなこと思うんだ!」
「“永那でも”ってなんだよ。…ってか違うし。そもそもお守り役は、四六時中あいつのそばにいれなきゃダメなんだよ」
「あ、そっか!学校が違うんじゃ、無理だもんね」
…相手が穂なのだとしたら(さっきの惚気話で完全に穂だと特定できたけど)、学校は同じだ。
でも!穂は私の恋人なんです!!
同じ学校じゃなくてもいいけど、せめて一緒に遊ぶ時のお守りは欲しい。
誉が適任だと思ったけど、千陽、嫌がるしなー。
「ま、そゆこと。結局、学校とか、みんなで遊ぶ時とか、私が変わらずお守りをしなきゃいけないってこと。私は穂とイチャイチャしたいのに」
「十分してるって」
「もっとしたい」
「空井さん、大変そう…」
「みんなそれ言うな!?なんで!?好き同士だったらイチャイチャするもんなんじゃないの!?」
「いや、だから十分過ぎるくらいイチャイチャしてるって」
「え~…燈夏は、好きな人にこんなにイチャイチャされたら嫌?」
「学校では…嫌かも…」
「マジで!?」
割と本気でショックを受けた…。
ショックを受けたところで、ちょうど図書館についたので、お喋りをやめて、席を探す。
学校終わりだからか、自習スペースはかなり学生がいた。
なんとか2席空いているのを見つけて、座る。
それから5時半近くまで、ほとんど喋ることはなかった。
たまに燈夏はスマホを弄っていたけど、図書館の人に注意されるほどではなかった。
「ん~!疲れた~!!」
外に出ると、燈夏が伸びをする。
「おつかれ」
「おっつ~」
「駅まで送ったほうがいい?」
「送ってくれるの?」
燈夏がちょんと唇を突き出し、あひる唇を作る。
「…まあ、マップ見ればひとりで帰れるか」
「え!?永那から言ってきたくせに~っ」
「一応、ね?」
「後から断るくらいなら最初から言うなしっ」
「ごめんごめん」
「べつにいいけどさっ」
本当に大丈夫そうな反応。
「永那と…久々にちゃんと話せて楽しかった」
「私も、楽しかったよ」
「本当…?」
「うん。…もっと学校でも構ってあげなきゃなって反省しました」
ニヤリと口角を上げると「は~!?超上から目線なんですけど~っ」と彼女が笑う。
「初カノが出来て、浮かれすぎてたかな」
「ホントそれ」
「でも穂が可愛すぎるんだよな~、それが悪い!」
「空井さんの可愛さは、私にはわかんないわ。キツいイメージしかないし」
「はっ、燈夏はまだまだだな」
「なにが?」
「あの真面目さと!2人きりになった時に甘えられた時のギャップが!とてつもない破壊力を持ってるんじゃん!」
「空井さん…甘えるんだ?」
燈夏は目を細めて、聞いちゃいけないことを聞いたみたいに、恥ずかしげに、緩む口元をモゴモゴと動かした。
「甘えてくれる。マジで最高、可愛いの頂点」
「今度、また聞かせてよ。そういう話」
「うん。…穂が嫌がるだろうから、詳しくは言えないけどね」
「あ~、嫌がりそ~。永那、怒られるんじゃない?」
「だから詳しくは言わないって」
「とか言って、調子乗ってペラペラ喋ってそうなのがウケる」
「うわー、自分でも想像できたわ」
「気をつけなよ~?」
「燈夏も、気をつけて帰ってよ」
彼女がフフッと笑う。
長い髪が春の風に靡く。
「また明日ね」
「また明日」
感想 56
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?