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番外編・皇太子の憂鬱(レイヴァン視点)21

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 今にも震え上がるぐらいに最悪な夢だった。
 私はエルザに会ってから密かに憧れていた事があった。花がたくさんしている庭で可愛い子供達と一緒に過ごすこと。そこにはエルザも居て、優しく微笑みかけてくれるんだ。まさに幸せな光景。
 しかし今、私がやっているのは、それとはまったく真逆だった。やればやるほど幸せな光景とは、かけ離れていく。彼女の笑顔を奪っていく。
 違う。こんなの自分が望んだことじゃない。絶望した気持ちに胸が締め付けられそうだった。涙が余計に溢れて止まらない。
 会いたい。エルザに無性に会いたい。そして全部ぶちまけたい。
 でも、それが出来ない自分に無性に惨めで悲しくなる。ベットの上で、ただ泣くことしか出来なかった。

 それから二年が経つ。季節が何度か変わり、私達の関係は相変わらず。
 だが、最大の問題である卒業シーズンになる。待っているのは婚約破棄だった。
 私は卒業パーティーでエルザに濡れ衣を着せて婚約破棄をし、彼女を追放しないといけない。まさに胃が痛むような思いだ。
 そのせいで、二度目の胃潰瘍になってしまい、クリスに白い目で小言を言われてしまう。『貴様は死にたいのか?』と言われた時は何も言い返せなかったが。
 私は死にたい訳じゃない。でも、これで上手く行かず、エルザに嫌われた日にはストレスで本当に死ぬかもしれないと思った。だから、何としてでも成功させないといけない。もちろん、そのために準備もしてきた。
 幽閉と名目ではあるが、もともとあった森の奥にある邸宅を大改造させる。少しでも彼女の気が和らげるように皇妃邸である『ホワイトキャッスル』に似せてインテリアも替えさせた。
 護衛から侍女やメイドまで信頼おけてレイナの手中に無い者を。その辺はトムソンに任せてある。しかし問題なのは最近新人で入ってきた侍女のハンナ。この女性は、レイナの信者だった。
 情報を漏らす役割と暗殺者をエルザが送ったと濡れ衣を着せるためにサファード公爵家の所有するペンダントを盗む事が目的だとクリスに教えてもらった。本来ならすぐに重罪として捕まえて死刑したいところ。しかし、それだと濡れ衣を着せた際の承認が居ないのと困ると言われた。確かに……。 
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